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ゴーストタウンで見た中国失速の実態

活気なき建設ラッシュ・楽観と倦怠感が交錯する農村部

2015年5月7日(木)

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2010年に訪れた「中国のパリ」こと杭州郊外のゴーストタウン。エッフェル塔を取り囲む荒涼とした景色の中で、新婚カップルが記念撮影をしていた

 中国人観光客が温水洗浄便座やスナック菓子を日本で爆買いする様子を伝える報道が増えるのと比例するように、昨年あたりから日本のネット上で再び目立ち始めていることがある。中国語で「鬼城」、すなわちゴーストタウンが中国の各地に増え始めているというものである。たいていはまず中国のメディアがどこかのゴーストタウンを取り上げ、日本のメディアがそれを転載し、それを見た中国在住の人たちが、報道されていたゴーストタウンを実際に訪れたり、自分の周囲のゴーストタウンを写真に撮ってブログにアップしたりする、というパターンで広まっている。

「爆買い」の裏で増殖するゴーストタウン

 一口にゴーストタウンといっても、100万都市を目指して開発を始めたものの実際には3万人しか住んでいないといわれる内モンゴル自治区オルドスのように町全体がゴーストタウンになっているところもあれば、売れ行きの悪い分譲マンション、さらに、テナントも客も入らず廃虚のようになっているショッピングモールやデパートなど取り上げる対象は様々だ。そしてこれらの報道に共通するのは、「中国経済、大丈夫か」という懸念で締めくくられていることだろう。

 先に「再び目立ち始めた」と書いた通り、中国のゴーストタウンがクローズアップされるのは最近が初めてではない。オルドスのゴーストタウン化が言われ始めたのは2010年頃のこと。同じ2010年には、浙江省の省都(県庁所在地に相当)杭州の郊外に、パリの町並みを再現しエッフェル塔まで建てた大規模な分譲地がそっくりゴーストタウンになっているという話が広まった。私も当時、日本からのこの「中国のパリ」を取材しにやってきた日本の写真家を案内して現地を訪れたのだが、確かに見事なゴーストタウンっぷりだった。パリのアパルトマンを模した町にはゴミを収集する人しか見当たらない。むき出しの土に岩と雑草だらけという整地されない荒れ果てた地面にポツンと建つエッフェル塔の下で、ウェディングドレスとモーニングに身を包んだカップルが記念写真を撮っているというシュールな光景に出くわしたりした。

 中国でゴーストタウンの話が盛り上がると、上海でも時を同じくして、「空き店舗が目立つようになったな」「店に客が減ったな」と不景気を感じるようになる。そして、メディアや市場で、中国経済は果たしてハードランディングするのか、それともソフトランディングで落ち着くのかという話が活発になってくる。

コメント14件コメント/レビュー

現地での実際の見聞からの報告はとても興味深く拝読させて頂きましたが、やはり中国の現状と先はなかなか想像しにくいです。 成約率が居住率より高いのは、バブルが弾けた後の完全金余り状態である事の証左では無いでしょうか?だとしたら、その後の展開は、不景気です。ですが、その場合、中国はどうなるのか? 一番のハードランディングは、文中指摘のような単なる財政破綻では無く、それはソフトランディングの一つでは無いかと個人的には思います。最悪のハードランディングは、中国国内の内戦による国家分裂です。その場合は日本への影響はどのようになるのか?また、その辺りの可能性は如何程かが、知りたい部分です。日経ビジネスとして、中国崩壊分裂の仮想シナリオの特集も検討して頂きたいです。(2015/05/09)

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「ゴーストタウンで見た中国失速の実態」の著者

山田 泰司

山田 泰司(やまだ・やすじ)

ノンフィクションライター

1992~2000年香港で邦字紙記者。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。2010年からは、「EMSOne」編集長も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

現地での実際の見聞からの報告はとても興味深く拝読させて頂きましたが、やはり中国の現状と先はなかなか想像しにくいです。 成約率が居住率より高いのは、バブルが弾けた後の完全金余り状態である事の証左では無いでしょうか?だとしたら、その後の展開は、不景気です。ですが、その場合、中国はどうなるのか? 一番のハードランディングは、文中指摘のような単なる財政破綻では無く、それはソフトランディングの一つでは無いかと個人的には思います。最悪のハードランディングは、中国国内の内戦による国家分裂です。その場合は日本への影響はどのようになるのか?また、その辺りの可能性は如何程かが、知りたい部分です。日経ビジネスとして、中国崩壊分裂の仮想シナリオの特集も検討して頂きたいです。(2015/05/09)

中国の抱える問題の一つに近い将来に訪れるの労働人口の低下となかなか進まない労働生産性の向上と労働者全体のの質(知識と技能)が先進国に追いつかないことにあるかと思います。都市部よりも農村部では教育にかける経済的な余裕もないようですので、農村部や漁村部では経済的な地盤低下は深刻となるでしょう。加えて少なくとも中国国内では不動産とインフラ投資主体の経済優先の考えから脱却できないようです。(共産党政府は知っていても国民の反発が出る政策は打てないのかも)すでに前政権では問題の先送りに終始していたようですし、現政権でも強権による根本的な解決を目指していないように思えます。だからでしょうか、AIIBという中国にとっての金の成る木を育てようとしているのは。でも、国内がどうしようもなさすぎるので、中国は決して明るい方向へは進まないでしょう。(2015/05/09)

中国の政治的都市化に関しては当初より懐疑的に見ておりましたが、日経ビジネスを始め「日本はこのようなプロジェクトに参加すべく、企業はもっと役人の懐に入るべき」という記事がほとんどでした。確か天津も何百万人の都市を作ると言っていたはずですが、その後はどうなったのでしょう?(2015/05/08)

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