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社長が代わればクルマは変わる(2)
~豊田章男新社長がやるべきこと

  • 牧野 茂雄

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2009年10月29日(木)

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 気持ちよく回るトヨタのエンジンを味わった。ある研究グループが改造したエンジンである。アクセルペダルをじわっと踏んでスタートすると、アクセルペダルの踏み加減に応じてエンジンが小気味よく反応する。ペダルを踏む足を止めれば、エンジンの回転数は一定になる。ペダルを踏む力を緩めれば、緩めたぶんだけ回転数が下がる。アクセルペダルを踏む右足に込める力とクルマの速度の増減が見事に対比している。

 アクセルペダルそのものは、全く踏んでいない全閉の状態から奥まで目一杯踏み込んだ全開まで、ストローク(踏み込み長さ)は60ミリほどあるが、その60ミリの中の5ミリ程度の「踏み」「戻し」にエンジンがきちんと反応する。自分の足でクルマをコントロールしている味わいだ。

 日本国内仕様のAT(オートマチック)あるいはCVT(無段変速器)のトヨタ車に乗ると、アクセルペダルは全開/中開/全閉の3段階スイッチのように感じる。しかし、このトヨタ製エンジンとATの組み合わせは、スムースな連続無段階式抵抗器のようだった。

トヨタほどの開発力があれば優秀なエンジンをつくれるはず

 何をやったのかと聞けば、エンジン制御プログラムの変更である。ペダルを踏めばエンジンのシリンダー内に空気が入ってくる。その空気量に適した燃料が噴射される。ペダルを戻せば、入ってくる空気が絞られ、燃料も絞られる。ただそれだけの制御だ。単純明快な制御に変えたトヨタのエンジンは見違えるほどだった。

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 制御の専門家は「トヨタのエンジンは良くできている。制御プログラムさえ工夫すれば意のままに操る楽しみが加わる。燃費はもっと良くなる」と言う。国内外のエンジン研究会社や研究機関、エンジン部品のサプライヤーなどは、こういう制御プログラム研究を盛んにやっている。

 トヨタおよびトヨタグループのサプライヤーでエンジンを担当しているエンジニア諸氏と話をすると、「VW(フォルクスワーゲン)のスーパーチャージャーとターボチャージャーを併用したツインチャージエンジンのような、小排気量で効率の良いダウンサイジングエンジンをつくってみたい」という声をよく聞く。「トヨタほどの開発力があれば簡単でしょ?」と尋ねると、言葉が途切れてしまう。

 90年代半ば以降、一気に拡大したトヨタの世界展開は、エンジニアを超多忙にした。地域ごとのアプリケーションだけで大変な作業になる。しかも、ツインチャージのようなまっさらの新規開発でコストのかかるエンジンはやらせてもらえないようだ。前例主義とはほど遠い会社だったはずのトヨタが、いつの間にか“官僚組織”になってしまった。なぜだろうか。

 病気療養で退任した豊田達郎社長の後を受けた奥田碵社長以降、その後の張富士夫社長、渡辺捷昭社長、就任したばかりの豊田章男社長と、トヨタ社長は4代続けて非エンジニア社長である。以前の豊田姓社長はエンジニアだった。

 奥田社長はかつて、グループ傘下のサプライヤーがトヨタ以外の自動車メーカーに提供していたエンジン部品の存在を知って激怒した。バブルが崩壊し、トヨタの生産台数が落ち込み、サプライヤーは苦しい状況だった。しかし、グループ会社と言えども、すべてをトヨタが独占できるはずはない。独占したいのであれば、設備費も開発費もすべて面倒を見るべきであり、そのうえで最低買い取り量の保証も行うべきだ。

コメント4件コメント/レビュー

下から3番目の方の意見に私も賛成します。ただ、その道を辿ったとするとTOYOTAも数十年後(もしかすると近い将来)には今のGMのようになっちゃったりしないかな?と危惧しなくもないです。むしろ、デンソーやアイシン精機が自社ブランドで自動車を製造できるようになったら・・・! そのほうが将来のTOYOTAを想像するより何十倍も面白いし希望がありそうな気がしてくるコラムでした。某サプライヤーの「クルマ全体を見わたせるエンジニアが少なくなった」という言葉。筆者は前回のコラムでエンジンに言及したが、実際にはエンジン以外のパーツや構造物に対しても既にエンジンと同じようなことが起きているのは間違いないでしょう。余談・初代プリウスに10年乗っています。3代目、興味あったけどレンタカーで借りてみてお仕舞いだな? コラムの情報だけで判断しなければならないとしたら絶対購入したくないし、マイチェンや派生モデルも興味がわかない。(2009/11/27)

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下から3番目の方の意見に私も賛成します。ただ、その道を辿ったとするとTOYOTAも数十年後(もしかすると近い将来)には今のGMのようになっちゃったりしないかな?と危惧しなくもないです。むしろ、デンソーやアイシン精機が自社ブランドで自動車を製造できるようになったら・・・! そのほうが将来のTOYOTAを想像するより何十倍も面白いし希望がありそうな気がしてくるコラムでした。某サプライヤーの「クルマ全体を見わたせるエンジニアが少なくなった」という言葉。筆者は前回のコラムでエンジンに言及したが、実際にはエンジン以外のパーツや構造物に対しても既にエンジンと同じようなことが起きているのは間違いないでしょう。余談・初代プリウスに10年乗っています。3代目、興味あったけどレンタカーで借りてみてお仕舞いだな? コラムの情報だけで判断しなければならないとしたら絶対購入したくないし、マイチェンや派生モデルも興味がわかない。(2009/11/27)

筆者の最後の結論に賛成である。スーパースポーツカーも超高級車もトヨタはやるべきではない。理由は簡単で、組織が目指すべき目標なり価値観がぼやけてしまうから。どうしてもやりたいのなら別会社を作ってやるべきだ。フォルクスワーゲンとアウディ、さらにはポルシェとの関係のように。レクサスなどは販売部門だけでなく設計開発・製造部門も分社化して高級車メーカとしてベンツ、BMW等に対抗。スポーツカーはスバルに集約しポルシェに対抗する。そしてグループ全体の象徴として豊田家が君臨する。というようなメリハリの効いたマネージメントが必要なのではないだろうか。(2009/10/29)

レースでプライベーターに勝てなかったとしても、出場しなければ端っこさえ掴めない市場こそレスサスであり、欧州市場なのだと思います。スーパーカーを造らなくてもいい=それらのマーケットは不要という事にもなるのではないですか?そして、そのマーケットはサブカルチャーを認めない事でも知られています。亜流の一線を引かれるわけです。貴兄の今回のエントリーはその一線の手前で商売すべきとのご指摘だとも取れましたが、僕は同意できませんし、アクセルがスイッチのようだという比喩と矛盾しませんか?。24時間レースで新社長がサーキット場のピットで隣ピットのアストンマーチンの社長と意気投合し?その場でIQのアストンマーチンバージョンを提案、契約に及んだという逸話もご存知かと思います。欧州市場をも含めたナンバーワン企業としての自負と期待を背負い、同時に試されていると肝をすえ、果敢に挑戦してほしいのです。 軽を除く大半の国産車の美的デザインや味わいは、中身の先進性や機能性や信頼性とのバランスが未だ不釣り合いです。プリウスも見た目が性能に負けてます。それが美徳として通用する場合もありますが、ほぼ日本だけです。(GTRは昇華に成功)もっと美的、感覚的に成熟できる伸びしろが日本の小型車普通車にはあります。既存の感覚基準の大半は欧州が産んだ価値観を我々が享受、認知して成り立ってます。欧州にも我々の価値観を享受、認知させなければというプライドは良いものだと思います。その成熟の中身には無駄なファンクションのリストラも含まれるでしょう。ユーザーに対しての啓蒙も含めて、その分野(特に官能的なデザインやリニア感)では未だ高度成長分野だと思いますし、中国の追撃を彼方に追いやる最良の手段でもあるはずです。EVになれば更に表面化するテーマですし、TOYOTAがやらねば意味がないのです。(2009/10/29)

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