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「通信の秘密」は金科玉条のごとく守るべきなのか?

再燃するケータイにおけるプライバシー問題

  • クロサカ タツヤ

バックナンバー

[1/3ページ]

2010年11月11日(木)

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 ケータイでプライバシーはどのように扱われるべきか。以前から議論を繰り返してきたこの古くて新しい問題が、このところ国内外で改めて注目を集めつつある。

 10月末には、警察庁から「非出会い系サイトに起因する児童被害の事犯に係る調査分析」という調査報告が発表された。ここでは、性犯罪や略取誘拐などを含む、非出会い系サイト(大手事業者を含む一般的なSNS[ソーシャル・ネットワーキング・サービス]といったサービス)に起因する青少年の犯罪被害について、ケータイ経由のアクセスが9割を超えていること、またサイト内のミニメール(メッセージングといったサービス)がその温床となっていることなどが明らかになった。国内のケータイ産業全体にとって極めて重い課題が、相変わらず突きつけられたままである。

 また時を同じくして、OECD(経済開発協力機構)のプライバシーガイドライン制定30周年を記念したシンポジウムと、各国のプライバシー政策担当者や事業者が一同に会したプライバシーコミッショナー会議が、イスラエルで開催された。以前から日本政府やOECDの個人情報・プライバシー検討をお手伝いしている関係で、今回筆者も参加してきたが、パソコンベースのネット環境がスマートフォンによって「持ち歩かれる」時にプライバシーをどう考えるかが、大きなテーマの一つとして採り上げられていた。

 これらは、前回でも触れた「コネクション・マネジメント」という問題に直結する、大きなテーマである(参照:「KDDIはSkypeでパンドラの箱を開けたのか? 『コネクション・マネジメント』という新たな役割」。そこで今回は、国内外で繰り広げられている議論に触れながら、ケータイ産業としてこの問題とどう向き合うべきかを、考えてみたい。

コンセンサスを得る難しさ

 まず、プライバシーと一言で括っても、その問題の性質は国々によっても異なれば、産業分野によっても捉え方は千差万別である。

 米国では、オープン・インターネットを前提とした情報通信環境が、既に社会インフラとして定着している。そのため、プライバシーに関しても、サービス事業者の取り組みやセキュリティ、また事業者の収益基盤(例えば知的財産権など)といった点に関心が集まる。一方、欧州では、プライバシーは基本的人権に係る問題として取り扱われる。これは、第二次世界大戦下の欧州大陸での歴史を踏まえて、個人の自由を守る意識が強いことと関係している。

 また今回会議が開催されたイスラエルは、いまだ地域紛争の真っ只中にあることから、「ナショナルセキュリティ(国家安全保障)を守るうえでのプライバシーの検討の重要性」という、欧米ともまた一線を画する問題意識を有する。さらにアジア勢も、新興国であれば「プライバシー意識よりも経済成長」が重んじられるし、日本やシンガポールのように欧米との結びつきが強い先進国であれば海外サービスと国内事情との摺り合わせや国内でのプライバシー意識の基準をどこに設定するかが課題となる。

 このように、背景にある文化や社会事情、またそれらを礎として形成される経済活動の違いによって、プライバシーは大きく異なる。それは、プライバシーが個人の権利として規定されていること、そして元々は政府などの国家体制と個人の関係を規定していることを源流としていることと、無縁ではない。コミュニティの成り立ちが各国で異なり、政府や政策の位置づけや役割もまた各国の状況に依存する以上、プライバシーに対する考え方は、むしろ各国で異なって当然とも言える。

 一方で、OECD加盟国のように、ある程度似通った社会・文化・経済を有する国々では、共通する課題も出てくる。例えばSNSを舞台とした青少年の犯罪被害は、冒頭で触れた警察庁の報告にもあるように、都市型社会とケータイの高度化が進んだ日本が課題面でもほかの先進国を一歩リードしているようにも見える。しかし、SNS上でかつての恋人の「恥ずかしい写真」を流出させるような行為は既に欧米のいずれでも起きており、各国とも似たり寄ったりの状況だ。

 また米国「以外」の国々で共通するのは、国境を越えて押し寄せる米国発の巨大事業者たちとどう向き合うか、ということである。例えば、「Facebook(フェイスブック)」や「Google(グーグル)」、最近では「Twitter(ツイッター)」でもあるのだが、いずれも米国発のサービスであるということは、米国の規制や規範を前提としたサービスだということである。しかし前述のように、プライバシーに関する事情が各国で異なるのだとしたら、あちこちで齟齬を来すのは自明である。

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