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米国、「貧困」と「貧困予備軍」が人口の3分の1に

雇用不安、住宅ローン、賃金切り下げで中間層が疲弊し、経済は弱体化

  • 中原 圭介

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[2/4ページ]

2012年4月16日(月)

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 預金の保護を行っているアメリカ連邦預金保険公社(FDIC)によると、破綻した銀行は、2008年の25行から2009年には140行、2010年には157行と急増しました。2011年こそ92行に減少しましたが、最新の2011年12月末の集計では、米国にある8000あまりの地方金融機関のうち、健全性に問題がある(=いつ破綻してもおかしくない)銀行は、依然として813行もあることになっています。この数字は、リーマンショック後で最悪だった2011年3月末の888行からさほど大幅には減少していません。

 地方経済と不動産融資は密接に結びついているため、不動産バブル崩壊の影響は、地方に深刻な事態をもたらしているのです。地方金融機関の財務が悪化すれば、当然のことながら、中小企業への融資は減少します。その結果、資金繰りを心配する中小企業は、人件費を含めたコスト削減に踏み切らざるをえません。米国では民間の雇用の7割を中小企業が担っていますから、地方金融機関の経営不安は、地方の雇用不安というよりも米国全体の雇用不安を生じさせることになっています。

 米国経済の本当の姿を見極めようとするには、私たちは「ウォール・ストリート」ではなく、「メイン・ストリート」の状況をよく見なければならないのです。それは、私が日頃から言っている「米国経済を見るには、雇用と住宅価格に注目せよ」という言葉と同じ意味でもあります。

メイン・ストリートの苦悩

 日本において米国経済というと、まずNYダウ平均株価や大企業の業績ばかりに目が行ってしまいますが、米国の企業のうち約7割が中小企業で、雇用の7割は中小企業によるものです。また、その多くが大都市ではなく地方都市に存在しています。

 したがって、米国経済の先行きを見るならば、注目すべきは「メイン・ストリート」経済のほうで、NYダウ平均株価や大企業の業績ではなく、中小企業や雇用の情勢、さらには住宅価格を見なければなりません。

 では、2012年3月末の段階で、中小企業や雇用、そして住宅価格はどうなっているのでしょうか。

 中小企業や雇用については、依然厳しい状態が続いていると見るべきでしょう。ただでさえ、地方の銀行はバブル期に不動産融資にのめり込んでしまったために、大手銀行に比べて財務の改善が一向に進んでいません。加えて、FRBの金融緩和により、短期金利がゼロのままで長期金利の低下が進み、銀行が行う貸し出しの利益幅は縮小し続けてきました。その結果、銀行の収益力は著しく低下することになりました。そこで銀行は、融資先を財務内容が健全な企業に絞り込まざるをえなくなりました。

 収益力が高かった以前であれば、100の企業に同じ金額だけ貸し出して1つや2つの企業が倒産しても十分に利益が上がりました。しかし、長期金利が2%前後の今となっては、1つの企業が倒産するだけでも利益が出なくなってしまう可能性があるため、融資先を絞らざるをえません。そして、そのしわ寄せは一般的に大企業と比べて信用力も財務内容も劣る中小企業への貸し渋りとして表れているのです。

 そんな状況下で、雇用が増えるはずがありません。米国の失業率は、リーマンショック後、一貫して9~10%前後と高い水準で推移していました。さらに企業では、正社員を減らして派遣社員を増やすという「日本化」が進行しつつあります。

 2012年1~2月の失業率は8.3%、3月が8.2%と、2011年6~8月の9.1%から0.9ポイントの改善を見せていますが、この数字は決して額面通りには受け取れないのです。実際には、長引く雇用環境の悪化から職探しをあきらめる人々が増えたことで、労働参加率が1983年以来の水準に低下しているからです。

 したがって今後は、多少なりとも景気が上向いたと感じられる指標が出て来た時には、再び職探しを始める人々が増えてくることが予想されます。ですから、失業率がこのまま低下傾向を維持し、7%台に下がって定着するということはなかなか考えられないでしょう。

コメント2件コメント/レビュー

外食が普通のアメリカ人にとって、どんなレベルの外食産業が混んでいるのかというのは、一つの景気指標ではないかと思うのですが、少なくとも沿岸部を見る限り、人々はどこにお金を持っているのだろうかと思うくらい中級レベルのレストランが去年よりも混んでいる印象を受けます。 年代差もあまり感じない。なんなんでしょうね。住宅の値段はフォアクロージャーの遅れで、供給サイドがタイトだったのが、ここへきてキャッチアップしてきたのでという事情もあるのでは。(2012/04/17)

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外食が普通のアメリカ人にとって、どんなレベルの外食産業が混んでいるのかというのは、一つの景気指標ではないかと思うのですが、少なくとも沿岸部を見る限り、人々はどこにお金を持っているのだろうかと思うくらい中級レベルのレストランが去年よりも混んでいる印象を受けます。 年代差もあまり感じない。なんなんでしょうね。住宅の値段はフォアクロージャーの遅れで、供給サイドがタイトだったのが、ここへきてキャッチアップしてきたのでという事情もあるのでは。(2012/04/17)

日本もアメリカも相似形であることを痛感しました。一時の円安株高、復興需要で何となく上向きを期待される日本経済も、足元を見れば資産の取り崩しで何とか食いつなぐ惨状、構造的な変革もないまま間もなく増税高負担が待ち受けます。経済記事を読むとき、書き手のポジションに注意をしています。それは一見ニュートラルに見える内容でも、事実、確信、予想、期待、願望に色分けされます。ひどい論評になると、煽り唆し、扇動の類で自らは反対に売り抜けようというものまであります。今回の記事は余計なバイアスもなく非常に参考になりました。(2012/04/16)

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