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“優越感”から脱却しよう

「国の勢い」「経済規模を誇ること」「比べること」の意味を考える

2011年1月12日(水)

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 「上手に付き合うために、正しく理解しよう」。

 7年間、中国という、一言では表現できない空間で戦ってきた率直な感想である。そして、十人十色の中国人と交わる過程で心がけてきたプリンシプルである。

 初めて中国に降り立った2003年ころ、当時留学生であった筆者の「中国観」は、みじめなものだった。なにしろ、「秦の始皇帝」、「揚子江」、「毛沢東」、「共産主義」、「反日感情」といったイメージしか持ち合わせていなかった。これらのイメージをもって、中国各地を回り、各層の間で実際に起っていることを目撃すると、ショックを受ける。己の愚かさに、嫌気がさした。現実は、これらのイメージとは全く異なるものだった。

日本の政治家と議論した

 先日、久しぶりに日本に帰国し、政治家たちと中国について交流する機会を持った。2011年から始まる「第12次5カ年計画」の内容から、当局が政策をどのように論議しているかまで、いろいろ紹介した。

 筆者は申し上げた。

 「最近、中央規律検査委員会(日本の特捜のような働きをする対権力監視機関)が政治家や役人の腐敗の取り締まり強化し、逮捕する状況が相次いでいます。“地方政府がゼネコンと組んで、農民の土地を不法に収用していた”、“公安関係者が政治家や役人に対して便宜を図る代わりに多額の賄賂を受け取っていた”などのニュースが日々流れています」。

 「日本メディアの政治報道の大半を占める『政局』や『人事』に関する報道はまだまだ少なく、基本は発表報道です。しかし、こと『政策』となれば、政策決定者だけでなく、学者やオピニオンリーダー、一般の市民などがインターネット上のフォーラムなどでぶつかり合い、積極的に議論しているんです。そのテーマは、土地、医療、教育、経済、軍事など、多岐にわたります」。

中国政府や中国メディアの発言は評価に値しないのか?

 ある野党の議員が「反射的に」反論してきた。
「へえ、なるほどね。でも政局だって立派なニュースでしょ。それが国民の耳元に届かないようじゃまだまだ途上国だよ」。

 筆者は同意を表明した。
 「私もそう思います。まだまだ途上国です。過大評価すべきではありません」。

 「中国が、形式的には、現状を『社会主義の初期段階』と定義しているのはご存じの通りです。マルクス主義から始まるイデオロギーを継承するため、変えられない掟もある。ただ実態に目を向ければ、国を開放し、外資を呼び込み、市場を盛り上げ、公共投資でインフラや教育を充実させている」。

 「改革のゴールははっきりしている。『国民1人当たりのGDPを1万ドルに引き上げる』。『優秀で勤勉な農村からの出稼ぎ労働者に都市戸籍を与える』。『都市、農村を問わず、義務教育レベルにおける一切の費用を免除する』。など、具体的であり、成果も上げてます」。

 筆者は続けた。
 「中国の政府機関は明らかに実行可能性の低いものを公開することはしません。選挙に勝つために、日本の政党がシンボリックに掲げるマニフェストとは異なります。この点は非常に重要です。内政・外交、経済、軍事を含めて、表に出てくる政策関連の情報は、基本的にポリシー・メーカーが実現可能だと認識しているものです。それらが報道機関のニュースとなって、国民の耳元に届きます。それを各界の人間がオープンに、徹底的に議論しているんです」。

コメント11件コメント/レビュー

>「中国に抜かれるのではないか?」(日本人)こんな事が心配で中国に反発してる人いるんですか?ただ単にあいも変わらず反日デモ繰り返して他国は武力で恫喝してガス田は盗掘し、日本の領土をあからさまに狙ってくるからでしょう。実害があるから嫌われてるだけです(2011/01/13)

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「“優越感”から脱却しよう」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>「中国に抜かれるのではないか?」(日本人)こんな事が心配で中国に反発してる人いるんですか?ただ単にあいも変わらず反日デモ繰り返して他国は武力で恫喝してガス田は盗掘し、日本の領土をあからさまに狙ってくるからでしょう。実害があるから嫌われてるだけです(2011/01/13)

 加藤氏の記事は中国の複雑な現状を正確に理解するうえで大変役に立つ。記事中に出てくる日本の(多分年配の)政治家や財界人。 こういう人材が上にいるかぎり日本のジリ貧状態は続くので、手遅れになる前に世代交代が必要。  中国(韓国も)の記事が出るたびにどのメディアでもすぐにシンプルで感情的な反応をする人たちの意見ばかりが露出しすぎているのはウンザリする。 日本との関係を二国間だけの問題として捉えるのはとても危険なことだという危機感が、政治家にもマスコミにも足りない。 中国はたとえ今はどんなに未熟な国に見えたとしても、近い将来圧倒的な経済成長が期待できる数少ない国。今や世界の国々は日本よりも中国と仲良くしたいのだ、という現実を冷静に理解し、近隣諸国と安定した互恵関係を形成できなければ日本の将来は暗い。 最近のロシアの行動でも分かるように、今中国とあからさまに対立すれば、他国に利用されるスキを自ら露呈するようなもの。 どちらが上か下かという無意味で不毛な議論は幼児的。 日本はもっと狡猾な外交力と政治力を備えた国家にならなければ、国力はどんどん落ちていく一方。 やみくもに頑張るだけの時代はとっくに終わった。 経済の成長が期待できなくても、成熟した国家に成長することは可能なはず。 (2011/01/12)

「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。 多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない。」とはユリウス・カエサルの言葉だったかと思いますが、その政治家にぴったりだと思います。中国の問題点はたくさんありますが、それらを挙げたからといって日本の問題が解決するわけではありません。見たいことしか見ない思考停止状態から脱し、真摯に自他を観察し、自分の頭で考えて行動しなければ、中国のバブルが崩壊する前に日本が破たんする気がしています。(2011/01/12)

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