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全国に開設相次ぐ中国版「赤ちゃんポスト」

遺棄される子供は毎年10万人以上

2014年2月7日(金)

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 2014年1月29日の早朝4時、広東省の省都“広州市”の天河区龍湖路233号にある“広州市社会児童福利院(児童養護施設)”の入り口に設置された“嬰児安全島(赤ちゃんポスト)”で最初の赤ちゃんが収容された。赤ちゃんは小さな綿入れに包まれた生後4~5カ月位の男の子だったが、収容後に職員が粉ミルクを与えてもすぐに嘔吐したので、比較的重い病気を持っている可能性が高く、具体的病状の確定には詳細な検査が必要であるという。

 広州市社会児童福利院の「赤ちゃんポスト」は、“春節(旧正月)”を3日後に控えた1月28日に、広東省で初めての試みとして開設された。赤ちゃんポストの開放時間は、毎晩7時から翌朝の7時までとなっている。赤ちゃんポストの中は明るい照明が灯り、赤ちゃんを捨てる親が内部に設置されたボタンを押せば、守衛所のベルが鳴り、3分以内に捨てられた赤ちゃんを収容する規定になっている。

 赤ちゃんポストは面積約7平方メートルの鉄骨構造で、風雨を防ぐと同時に保温機能も備える。建設費用は約12万元(約200万円)であった。内部にはベビーベッド、保育器、夜具、赤外線感知器、換気扇、空調機、紫外線消毒装置などが備えられ、赤ちゃんに安全な生存環境を提供している。

 さらに、ポスト内の壁には伝言簿が掛けられてあり、赤ちゃんを捨てる親が赤ちゃんの基本情報(姓名、生年月日、病状など)を福利院側へ伝えられるようになっている。なお、赤ちゃんポスト自体には監視カメラは設置されていないが、周辺には幾つかの監視カメラが置かれている。

 赤ちゃんポストは広州市児童福利院の入り口に設置された、赤い屋根に灰色の壁を持つユニークな建物で、守衛所とは50メートルの距離にある。赤ちゃんポストの内部には青空が描かれ、ピンクのベビーベッドの上には月と星の装飾品が掛けられ、シーツには漫画のキャラクターがプリントされている。また、ベビーベッドの傍らに置かれた保育器には、文字とイラストで使用方法の説明書が添えられていた。

 広東省“民政庁”によれば、“棄嬰(捨てられた赤ちゃん)”の救助活動を強化し、赤ちゃんポスト建設の試験範囲を拡大し、今年中に“地級市(市レベルの都市)”以上のすべての都市に1カ所以上の赤ちゃんポストを設置する意向であるという。

真冬に全裸の嬰児を遺棄

 2013年12月3日の朝7時頃、北京市の中心から東南に20キロメートル程の距離にある“通州区馬駒橋鎮大葛庄村”の公衆便所の門前にあるゴミ箱の中に男の赤ちゃんが全裸で捨てられているのが発見された。最初の発見者である孫さんによれば、赤ちゃんは村のゴミ集積場のゴミ箱の中に横たわり、額は何かにぶつかったかのように青紫色を呈し、口から血を流し、腹部には19センチメーター程の長さのへその緒がまだ残っていた。見たところでは、赤ちゃんは体重3.5キログラム以上でまるまるとしていたが、生まれた直後にゴミ箱に投げ込まれ、額を鉄板に強打したようだった。

 それでも赤ちゃんは、発見時にはまだ足を動かしていたが、20分後には動かなくなり、通報を受けて駆け付けた救急隊員が7時40分に到着した時点で死亡が確認されたのだった。

 地元の派出所の警官によれば、周辺の監視カメラを精査したところ、赤ちゃんの遺棄は当日早朝の5~6時の間に行われたと判断された。ということは、7時に赤ちゃんが発見されるまでに1.5~2時間が経過していたことになる。12月3日当日の通州地区の気温は、最高13℃、最低-1℃であったから、明け方の5~6時は0℃前後であったものと思われる。その凍てつく外気の中に全裸で捨てられた赤ちゃんがどれほど寒かったは想像を絶するものがある。それでも赤ちゃんは懸命に生きようともがいたが、発見されるのが遅かったのだ。早朝のまだ明けきらない暗闇の中で遺棄が行われたために、監視カメラの映像からは赤ちゃんを遺棄した人物は特定できず、公安当局は捜査を継続しているというが、恐らく犯人が特定されることはないだろう。

コメント1件コメント/レビュー

赤ちゃんポストは日本でも初めて報道された時には驚いたものだ。しかしよく考えてみると、それは関係者による苦渋の措置であり、取組みであった。中国は広く、人口は多い。経済及び社会の発展段階がまだまだいびつで、様々な問題が次々に発生する。ここで必要な視点は、一般的に政府自身が誰もが理不尽と思うことに関わっているのかどうか、ということである。そうでなければ、このような事柄について先進国と途上国との比較という上から目線で見ることになるような情報提供には十分な注意が必要ではないか。グローバル化が進む時代に「日本に生まれて良かった!」とも受け取れる他国の情報は、その取扱いを慎重にすべきと考える。そうでないと相変わらずの偏狭なナショナリズムに囚われたコメントが繰り返される。それは決して筆者の本意ではないだろう。(2014/02/07)

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北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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赤ちゃんポストは日本でも初めて報道された時には驚いたものだ。しかしよく考えてみると、それは関係者による苦渋の措置であり、取組みであった。中国は広く、人口は多い。経済及び社会の発展段階がまだまだいびつで、様々な問題が次々に発生する。ここで必要な視点は、一般的に政府自身が誰もが理不尽と思うことに関わっているのかどうか、ということである。そうでなければ、このような事柄について先進国と途上国との比較という上から目線で見ることになるような情報提供には十分な注意が必要ではないか。グローバル化が進む時代に「日本に生まれて良かった!」とも受け取れる他国の情報は、その取扱いを慎重にすべきと考える。そうでないと相変わらずの偏狭なナショナリズムに囚われたコメントが繰り返される。それは決して筆者の本意ではないだろう。(2014/02/07)

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