連載

気鋭の経済論点

転換すべき住宅過剰社会 「建てる」より「使う」にシフト

空き家問題対策

2017年9月8日(金)

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野澤千絵(のざわ・ちえ)
東洋大学理工学部 建築学科教授

2002年東京大学大学院都市工学専攻修了。博士(工学)。07年東洋大学准教授。15年から現職。近著に「老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路」(講談社現代新書)。

 日本の住宅事情は世界を見渡しても珍しい。新築が建ち続ける一方で、空き家も増えている。人口は減り、空き家も増えているのに、新築は大量に作り続ける「住宅過剰社会」だからだ。

 新築ラッシュを下支えしているのが金融機関だ。日本銀行のデータによると、2016年の個人向けの住宅資金などの新規貸し出しは16兆7000億円だった。過去最高だった05年(17兆円)に迫る水準で推移している。

金融機関が住宅過剰社会を後押し
●金融機関による新規貸出額の推移
出所:日本銀行調べ

 16年の新設住宅着工戸数は前年比6.4%増の96万7237戸と2年連続で増加した。都市部ではタワーマンションが乱立し、地方の不便な立地でさえ戸建てや賃貸アパートの建設が進む。人口1000人あたりの新築住宅着工戸数を欧米と比較すると、日本がいかに住宅を大量に作り続けているかが分かる。米国の2.3倍、英国の2.8倍にもなる(下のグラフ)。

欧米に比べ日本の住宅着工は多い
●人口1000人あたりの新設住宅着工戸数の推移
出所:住宅経済研究会編著「住宅経済データ集2015年度版」

日経ビジネス2017年9月11日号 82ページより

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