世界鳥瞰

「1つの中国」政策の限界

2018年6月21日(木)

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米朝首脳会談が実現した日、台湾では米国の対台湾窓口機関の新庁舎落成式が行われた。「台湾は中国の一部」であることを世界中に認めさせたい中国は、最近の米国の対台湾政策に神経をとがらせる。台湾・蔡政権のインド洋・西太平洋地域における外交戦略も台湾の存在感を高めており、中国にとっては厄介だ。

AIT台北事務所の落成式の様子(写真=AFP/アフロ)

 ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩委員長がシンガポールで米朝首脳会談を実現させたのと同じ日、台湾では米国在台協会(AIT)台北事務所の新庁舎落成式が行われた(米国と台湾の間には国交がない。AITは正式な大使館ではないが、台湾に関する実務を維持する役割を担う)。

 世界を沸かせた米朝会談の陰で、この件が大々的に報道されることはなかった。しかし中国当局は、米国の外交官や連邦議会議員に、台北での式典に誰を参加させるか、うるさいくらい注文をつけてきた。この様子を見ていると、中国は朝鮮半島における地政学的な問題と同じくらい、いやもしかするとそれ以上に、米国が台湾問題でどう動くか、気にしているように思える。

 米国は中国との国交を正常化した1979年に台湾と断交し、以来「1つの中国」という原則を対中関係の基本としてきた。台湾を国家と呼ばず、たとえ中国と台湾がその定義を巡り意見を異にしていても「中国は1つという見解を中国と米国の双方が持つ」との認識は不変とするスタンスを貫いている。 こうした空手形を切りながら、米国は非公式に台湾と親密な関係を築いてきた。米国がAITという非公式の対台湾窓口機関を台北に置くことに関し、中国はあまり気にしてこなかった。長い間、AITの事務所は台北市内のさえないエリアにある、元軍事施設の薄汚い建物内に構えられていた。

日経ビジネス2018年6月25日号 88~89ページより

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