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青島 健太(あおしま・けんた)

スポーツライター

青島 健太

1958年新潟県新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経て、1985年ヤクルトスワローズに入団。5年間のプロ野球生活の後、オーストラリアで日本語教師となる。帰国後、スポーツライター、テレビキャスターとして活躍。2005年、社会人野球「セガサミー野球部」の監督に就任。07年、千葉市長杯争奪野球大会で初優勝後、退任。現在は、スポーツライター、TBSラジオの野球解説のほか、鹿屋体育大学、流通経済大学、日本医療科学大学の客員教授。新潟市が運営する新潟サポーターズ倶楽部の会長も務めている。近著に『メダリストの言葉はなぜ心に響くのか?』(フォレスト2545 新書)がある。

◇主な著書
“オヤジ目線”の社会学』(日経BP) 2010
長嶋的、野村的』(PHP新書) 2011
メダリストの言葉はなぜ心に響くのか?』(フォレスト2545新書) 2012

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

青島健太「スポーツ社会学」

グローブに塗った油の香りとプロ野球の夢

2018年10月20日(土)

グローブに塗った油の匂いと野球少年時代の夢(写真:PIXTA)

 今回は難しいテーマに挑戦してみようと思う。スポーツと「香り」「匂い」の関係についてだ。

 なぜそんなことを思ったのか? 秋の香りの代名詞「マツタケ」を食べたからではない。残念ながらまだ食べていない。いや、こんな言い方をすると毎年食べているように聞こえてしまう。正確に言うなら、今年はまだご相伴にあずかっていない。基本的には「マツタケ」を食べないで終わる秋が、当方の普通の秋である。

 冒頭から愚痴を言っている場合ではない。あるテレビ番組を見ていて思ったのだ。毎週土曜日の夜にやっている「日立 世界ふしぎ発見!」だ。この番組が大好きで見逃すことはまずない。その夜は、モンゴルを特集した内容だった。番組の詳細は省かせていただくが、当方の印象に残ったのは、番組内でクイズの問題にもなったモンゴルでの挨拶の慣習についてだ。

 懐かしい人同士が久しぶりに会った時に、どんな挨拶をかわすのか? それがクイズ問題になっていたのだが、答えは「お互いに匂いを嗅ぎ合う」というものだった。モンゴルの文化に詳しい研究者が実際にやって見せてくれたのだが、相手の額の髪の生え際あたりに鼻を近づけて、挨拶としてその匂いを嗅ぐのだ。

 研究者はその理由を以下のように説明していた。

 「人は匂いで様々なことを思い出す。モンゴルでは人の香りだけでなく、風や大地の匂い、すべての要素が故郷そのものなのです。だから亡くなった親の服を残しておいて、その香りを嗅いで思い出したりもするんです」

 そのモンゴルの慣習を知って、長い間、私は大事なことを忘れていたことに気が付いた。そう、私の中の多くのスポーツは、「香り」や「匂い」で記憶されているのだ。

 例えば、野球のグローブを手入れする固形の油だ。その匂いを今も忘れることはない。

 缶に入ったその油を最初に手にしたのは、小学校に上がるか上がらないかの頃だったと思う。グローブと一緒に油も買ってもらった。ポケット(ボールを捕るところ)に油を刷り込んで擦り切れないようにするのと同時に、全体に薄く塗って汚れを落とす。毎晩のその作業は、上手くなるためには欠かせない日課だと思っていた。あの油の匂いは、少年野球の記憶であり、夢(プロ野球選手)に向かう助走路の香りだった気がする。

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