青島 健太

青島 健太

スポーツライター

青島健太「スポーツ社会学」 甲子園から丸刈りの球児が姿を消す日

タイブレーク導入で個人を尊重する時代に

  • 2018年08月18日(土)
高校球児の髪型は丸刈りが「伝統」だ(写真:PIXTA)

 2018年8月12日は、期せずして「タイブレークの日」になった。夏の甲子園では、愛媛県代表の済美高校と石川県代表の星稜高校が、壮絶なタイブレーク(済美が13 対11で逆転サヨナラ勝ち)を演じ、その日の夜には、ソフトボール世界選手権決勝(ZOZOマリンスタジアム)で日本と米国がこれまた手に汗握るタイブレークを戦い、米国がサヨナラ勝ちを収めた。

 

 いずれも観る者を釘付けにするスリリングなゲームだった。言えば、これがタイブレークの醍醐味という試合だった。その導入も正解だったと思い知らされるような熱戦だった。早速メディアもこの2試合を受けて、「タイブレークが生んだドラマ」と好意的な論調で報じた。

 高校野球やソフトボールのタイブレークとは延長線を早く決着させるために、ランナーを置いた状態で回を始める特別ルールだ。このシステムの導入には依然として懐疑的なファンもいるだろうが、白熱の試合を観た人たちの多くは、「タイブレークも悪くない」との感想を持ったのではないだろうか。

 タイブレーク導入の狙いについては、高校野球にもソフトボールにも共通するものがあるが、本稿では高校野球に焦点を当てて話を進めたいと思う。ただ、最初に申し上げておくが、ここでタイブレークそのものの是非を論じるつもりはない。なぜならもう導入が決定しているシステムであり、前述のように、その運用も始まっているからだ。

 ここで私が指摘したいのは「タイブレークの導入」が「丸刈りの高校球児を減らす」という方向に導くだろうということだ。突拍子もないことを言い出しているのは承知しているが、その脈略を丁寧に説明していきたいと思う。

 実は、タイブレークの導入は、この春の甲子園からすでに始まっていた。しかし、春の選抜大会では1試合もタイブレークに持ち込まれる試合がなかった。ゆえに甲子園で初めてタイブレークが実施されたのは、今大会2日目(8月6日)の第4試合、佐久長聖高校(長野県代表)対旭川大高校(北北海道代表)の一戦だった。この時は、5対4で佐久長聖が勝っている。

 そして大会2回目のタイブレークとなったのが、前述の済美対星稜の試合だ。延長12回まで戦って9対9の同点。高校野球では、ここから(12回まで戦って同点の場合)タイブレークに突入する。

    著者プロフィール

    青島 健太

    青島 健太(あおしま・けんた)

    スポーツライター

    1958年新潟県新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経て、1985年ヤクルトスワローズに入団。5年間のプロ野球生活の後、オーストラリアで日本語教師となる。帰国後、スポーツライター、テレビキャスターとして活躍。2005年、社会人野球「セガサミー野球部」の監督に就任。07年、千葉市長杯争奪野球大会で初優勝後、退任。現在は、スポーツライター、TBSラジオの野球解説のほか、鹿屋体育大学、流通経済大学、日本医療科学大学の客員教授。新潟市が運営する新潟サポーターズ倶楽部の会長も務めている。近著に『メダリストの言葉はなぜ心に響くのか?』(フォレスト2545 新書)がある。

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