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荻島 央江(おぎしま・ひさえ)

フリーランスライター

荻島 央江

食品販売会社在職中に映画紹介・評論記事の執筆活動を開始。2002年からフリーランスライターとなり、情報誌や女性誌などで取材・執筆を手掛ける。現在はビジネス誌を中心に活動しており、「日経トップリーダー」や「日経メディカルオンライン」などに執筆。著名経営者へのインタビューや中小企業のルポを得意とする。

◇主な著書
「社長、辞めます! 」 ジャパネットたかた 激闘365日の舞台裏』(日経BP) 2014
なぜか「クセになる」ホテル 東横インの秘密』(日経BP) 2017

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

ベンチャー最前線

低迷脱却、新日本プロレス黄金時代再び!

2018年11月1日(木)

(写真:新日本プロレスリング)

 数々のスターを生み出しながら低迷した新日本プロレスリング。タカラトミーで経営手腕を発揮、赤字から脱却させた実績を持つハロルド・G・メイ新社長にカウント2.9からの復活の要因を聞いた。

新日本プロレスリング(以下、新日本プロレス)は長らく低迷していました。何が原因だったのでしょうか。

メイ:新日本プロレスは46年という長い歴史を持つ会社です。プロレス団体としての規模も世界で2番目に大きい。かつてはゴールデンタイムにテレビ放送もされ、人気は絶大でした。ところが、2000年代に入ると人気に陰りが出て、05年には過去最大の赤字を計上してしまいます。

 落ち込みの理由は、プロレスのエンターテインメント性に魅力を感じるファンのニーズと乖離してしまったからだと考えています。観客は少なくなり、テレビ放送枠もゴールデンタイムから深夜になり、それでまたファンが減りと、いつしかマイナスのスパイラルに陥ってしまったのです。

 暗黒期はしばらく続きましたが、12年にゲーム会社のブシロードがユークスから新日本プロレスを買収したことが転機になりました。以来、業績は好調です。債務超過の厳しい経営状態から一転、18年7月期の売上高、経常利益ともに過去最高となりました。

選手に感情移入できるか

V字回復に至った要因は何でしょうか。

ハロルド・G・メイ氏
1963年オランダ生まれ。少年期を日本で過ごす。米ニューヨーク大学大学院修了。サンスター、日本コカ・コーラ副社長を経て、2014年タカラトミー入社。15年に社長兼CEO(最高経営責任者)に就任。赤字から脱却、大幅黒字に転換させV字回復に導く。18年6月から現職(写真:稲垣純也)

メイ:理由は主に3つあります。1つ目が、レスラー一人ひとりのブランドの構築です。プロレスの人気はレスラーのブランド力と連動します。そして各人のブランド力を高めるには、個性と共感が大事になります。ただ個性的なだけでは駄目。ファンが感情移入、自己投影ができる個性でないと興味を持たれません。

 そうした方針の下、12年以降、彼ら一人ひとりの個性をいかに伝えるか、レスラー個人も会社も本腰を入れるようになりました。

 レスラーにツイッターを始めてもらったり、レスラーそれぞれが抱える物語をエモーショナルな映像で伝えたりしました。プライベートや練習風景のほか、どんな思いで今回の試合に臨んでいるか、何を乗り越えて今リングに上がっているのかなどを、動画サイトや試合会場で流したのです。

 例えば、上映時間2時間の映画があったとして、最後の10分がクライマックス、決闘シーンだとしましょう。プロレスの試合はいわばその最後の10分なんですよ。

 もちろん、そこだけを観ても十分楽しんでもらえる。しかし、ケガからの復活や選手同士の因縁など決闘シーンに至る1時間50分のストーリーを知っていたら、感情移入と自己投影で何倍も試合が面白くなる。

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