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池田 和弘(いけだ・かずひろ)

大阪観光大学国際交流学部教授

池田 和弘

京都大学卒業後、通訳養成学校を経て、専門学校や予備校での教鞭、執筆活動を行う。ベストセラーを記録した著書は数々。その後、大阪大学大学院言語文化研究科にて、理論的ベースを固め、同大学工学部工学研究科で原子力、ナノフォトニクスのESPプログラムを開発・実施。「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など最新の知見を駆使して、受験英語と実用英語を融合できる日本有数の英語学習法のスペシャリストである。

◇主な著書
こうすれば速く覚えられるTOEICテストの英単語』(日本実業出版社) 2010
英語がスラスラ分かるようになる魔法の本』(日本実業出版社) 2009

◇関連リンク
オフィシャルブログ
これから英会話を始める人の基礎固め「スピークエッセンス」
初心者向け実践英会話教材「リッスントーク」

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日本語を活用した英会話習得法

TOEICで「突破」を引き起こす2つのポイント

2018年9月22日(土)

(写真=PIXTA)

 日本では、今でも英語で苦労している人が圧倒的に多いです。そして、ありがちな例として、焦ってあれやらこれやらに手を出して、結局どこにも行きつけないというパターンがあります。とくに語学は、いわば「太刀筋」の見えにくい学習で、何をどうすれば力が付くのか分からない、本を読んだり、サイトを見たり、教材を試しても、なかなか「こうすれば良い!」という確信が持ちにくい、というやっかいなところがあります。

 ある程度こうすれば良いという感触を持って勉強していても、なぜか効果をなかなか実感できず、せっかく良い切り口でアプローチしているのに中途半端なところでそれをあきらめる。このような例が起こりやすい――それが語学というものです。

「テスト」を忘れる。

 英語に対してブレークスルーを引き起こすには、まずとにかく一度「テスト」というものをきれいに忘れることが大切です。なぜなら、テストというのは、往々にして、トラウマになるケースがよくあるからです。

 本来、テストというものは、「テストがあるから頑張りたい!」と、学習者を前向きな気持ちにするためのツールです。また、その気持ちが続くようなものでないといけません。ところが、その逆になるケースが多々あるわけです。

 そのもっとも大きな理由は、「実力型のテスト」(proficiency test)のみが社会的に唯一認められたテストだという点です。「実力型のテスト」というと聞こえが良く、私たちも「それこそがテストのあるべき姿だ」と思いがちですが、ここが大きな落とし穴で、このタイプのテストの場合、「これをこうすれば必ず成果が出る」「努力がストレートに結果として現れる」ということがありません。

 その代表がTOEICです。これは何もTOEICがおかしなテストだという意味ではなく、「実力を測る」という目的をもったテストを、私たちが勝手に誤解して、適切な練習もせずに(=実力を養成せずに)いきなり「障害物レース」に出場するような無謀なことをしがちなのです。

 たとえば、「とにかくTOEICの問題をたくさん解けば良い」「どんどん受ければスコアは上がる」などというアドバイスを聞いたり目にしたりすることがありますが、これは絶壁の淵に立っている人に対して、「本当のことを教えてあげよう。じつは君は飛べるんだよ。自分を信じてやるんだ!」と檄を飛ばしているようなもので、当然ながら120%、確実に墜落(失敗)します。墜落する角度によっては、4メートル(スコアにして40点ぐらい)は前方に着地(というか激突)するかもしれませんが、こんなことを2度3度とやると、ほぼ確実にトラウマになり、心が萎縮して学習は崩壊します。

 どこかのサイトで、1カ月に1回のペースでTOEICを受けさせている会社があるというような記述を見かけたことがありますが、おそらく死屍累々たる結果になっているはずです。これは決して笑い事ではありません。ネガティブなインパクトを受けると、それは業務や、その他さまざまなところに悪い影響を及ぼします。しかし、一方で、そのような無茶な要請が出るのも、それだけ英語の事情がひっ迫しているということだという点も見落とすべきではないでしょう。

 いずれにせよ、一つの目標として、TOEICを設定することには何の問題もありません。しかし、そこにダイレクトに行こうとするところに問題があるのです。そこで、「一度テストを忘れよう」ということになるわけです。

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小田嶋 隆 コラムニスト