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増原 裕子(ますはら・ひろこ)

LGBTアクティビスト/コンサルタント。株式会社トロワ・クルール代表取締役。

増原 裕子

2011年よりレズビアンであることをオープンにして社会に対して積極的に発信をしている。 2015年渋谷区パートナーシップ証明書交付第1号(2017年末にパートナーシップ解消)。 慶応義塾大学文学部卒業、同大学大学院修士課程修了。ジュネーブ公館、会計事務所、IT会社勤務を経て起業。ダイバーシティ経営におけるLGBT施策の推進支援を手がける。経営層、管理職、人事担当者、営業職、労働組合員等を対象としたLGBT研修・講演の実績多数。著書に『ダイバーシティ経営とLGBT対応』『同性婚のリアル』等5冊がある。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

今、日本企業に求められるLGBT対応

無自覚にハラスメントに加担していませんか?

2018年10月12日(金)

(写真:PIXTA)

 第2回の記事で触れたSOGIハラ(ソジハラ。性的指向・性自認に関するハラスメント)について、最終回でもある今回はケーススタディもまじえて解説してみよう。

 まずは次のやりとりを読んでほしい。

 「ねぇ知ってる? あの人ってこっちらしいよ」(片手を頬にそえるしぐさとともに)
 「え? そうなの。言われてみたらなんとなくそれっぽいかも(笑)」

 社内で、あるいは飲み会の席でこんな会話で盛り上がっているとき、その場で凍りついている、カミングアウトしていないLGBTの当事者がいるかもしれないと想像したことがあるだろうか。

 連載第1回でも紹介したように、LGBTの社員は、13人に1人くらい、7.6%の割合でじつは社内にもいる可能性がある。そしてそのほとんどが職場ではカミングアウトしていない。

 多くの働くLGBTから聞こえてくるのは、「職場での『ホモネタ』がつらい。LGBTを嘲笑うような環境では、絶対にこの職場では自分のことは話せないと感じる」という悲痛な声だ。

 言っている方からすれば、「ただの冗談なんだからそんなに真面目に反応されても、、」と困惑するかもしれない。それに、これまではこうした話題が、ある種「会話の潤滑油」として機能してしまっていたという側面も否めない。だが、その背後には、これまではイヤだと思っても「おかしい」とか「やめてください」と声をあげられなかったという現実がある。

 2010年代に入って、LGBTをとりまく社会の変化と、当事者の意識の変化がうねりのように起きている。「性的指向(Sexual Orientation):好きになる相手の性別」と「性自認(Gender Identity):自分の性別の認識」=SOGI(ソジ)を尊重してほしい、SOGIに関してからかいやいじめ、差別をしてほしくない、という当事者の切実な声の高まりを受けて、2017年にSOGIハラという言葉が生まれた。

 マタハラ(マタニティ・ハラスメント)という言葉を例にとるとわかりやすい。マタハラという言葉は、10年前にはなかった。被害を受けていた女性たちがその実態をハラスメントと名づけ、広めたことで、社会問題化し、2017年からは法改正を受けて、マタハラ防止の措置義務が事業主に課されるようになった。

 同じタイミングでの男女雇用機会均等法の改正で、セクハラ防止指針が改正され、セクハラの対象はSOGIにかかわらない旨が明記された。また、セクハラの背景としてSOGIハラに該当する言動が盛り込まれ、あわせて周知されている。

 ハラスメントかどうかは、シンプルに判断できる。とても大切な存在や、大事な取引先の社長やその配偶者を相手にしても、同じ言動を行えるかと問われ、「イエス」と即答できない言動は、ハラスメントに該当する可能性が高い。

 LGBTの本人やLGBTが家族や友人、同僚など身近にいる人の場合では、そうでない人に比べて、ホモネタなどSOGIハラへの感度が上がり、「受けたことがある・見聞きしたことがある」という割合が4倍近く高くなるというデータもある(連合「LGBTに関する職場の意識調査」)。

 多くの人がLGBTをまだ身近な存在として感じられていない中では、見えないところでLGBTの社員を傷つけて、うつや離職の原因になっている可能性があるSOGIハラがどんなもので、どんな対策ができるのかについて知識を得ることがまずは重要だ。

 LGBTの社員ものびのびと安心して働ける、心理的安全性が確保されている環境の方が、パフォーマンスも向上するという関連性については連載第1回の記事(リンク)で説明した。

 心理的安全性を簡単に下げてしまう要因である、SOGIハラのケースをいくつか見ていこう。

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