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財部 誠一(たからべ・せいいち)

経済ジャーナリスト

財部 誠一

1980年、慶應義塾大学を卒業し野村證券入社。出版社勤務を経て、1986年からフリーランスジャーナリスト。1995年、経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」設立。金融、経済誌を中心に数多く寄稿し、気鋭のジャーナリストとして活躍。BSイレブン「財部誠一の『異見拝察』」などに出演。
『京都企業の実力』、『シェール革命 繁栄する企業、消える産業』、『ローソンの告白』、『メイド・イン・ジャパン消滅! 世界で戦える「製造業」をどう守るか』、『日本経済 起死回生のストーリー』など、著書多数。

◇関連リンク
財部誠一オフィシャルホームページ
財部誠一の「異見拝察」

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

財部誠一の「ビジネス立体思考」

スシローGHDの増益見通し、もう一つの理由

2018年8月16日(木)

業績は順調だが…(写真=ロイター/アフロ)

 日本企業による、国境を越えた企業買収が近頃、目立っている。

 買収の結末がどうなるかは誰にもわからない。狙いが外れることはしばしば起こる。結果的に東芝を存亡の危機まで追い込んだのも米国の原子力関連企業、ウェスチングハウス買収だったことを思えば、例えば武田薬品工業によるアイルランドの大手製薬企業シャイアー買収も到底、楽観視できない案件の一つだ。

 筆者は、一部の財界人の間で、武田薬品工業のM&A(合併買収)をめぐる経営に異を唱える意見を数多く耳にしていた。

 問われているのはシャイアー買収の是非だ。買収に要した金額が6兆8000億円と日本のM&A史上最大となったうえに、買収後の武田が背負いこむ債務の巨額さが不安を煽っている。

 買収金額のうち3兆8000億円は新株発行でまかなうが、残りの3兆円は銀行借入だ。さらに合併するシャイアーの有利子負債2兆円と、従来からの有利子負債1兆円も合わせると、武田が背負い込んだ借金は総額6兆円にも膨れ上がる。

 シャイアー買収を疑問視する財界人の多くは武田の経営の急激な「多様化」にも不安を抱いている。例えば、タケダ・エグゼクティブチームと呼ばれるトップマネジメント14人のうち11人は外国人で、日本人は3人だけだ。

 これこそが本当のグローバル経営というものなのかもしれないが、そこには創業1781年の老舗の顔は見えない。将来のトップマネジメントと期待されながら、経営に異を唱えて武田を去っていった者もいる。

 6兆8000億円もの買収は、こうした内部事情を抱えた中で実行された。英国の半導体メーカー、アーム社を3兆3000億円で買収したソフトバンクや、米国のウイスキー大手のビーム社を1兆6500億円で買収したサントリーともスケールが違う。武田のグローバル志向は日本企業の域を完全に超えている。

買収「金額」の妥当性がここでも俎上に

 武田の「シャイアー買収は世界トップ10入りの最後のチャンス」という主張に嘘はない。ロシュ(スイス)、ファイザー(米)、ノバルティス(スイス)など世界の巨人についていくためには、シャイアー買収は必然だった。

 昨年の世界売り上げランキングで、武田は19位、シャイアーは20位だが、統合すれば、7位のジョンソン・エンド・ジョンソンにつぐ規模となる。また日本市場中心の武田に対して、シャイアーは米国市場に強い。シャイアーが得意とする希少疾患の製薬技術は潜在的な創薬力を秘めてもいるという。

 だが、日本企業によるM&Aでいつも問題になるのは買収金額の妥当性だ。どんなに正しい戦略でも、拙速に、収支がまるで合わない高値掴みをすれば命とりになる。日本の大企業による外国企業買収の多くはひとえに実業の成長だけを狙っており、良くも悪くもマネーゲーム的な要素が入り込む余地がない。その分、論理先行の頭でっかちになり、損得勘定をシビアに考える姿勢に欠けがちだ。

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