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【最終回】“奇跡”をものにする、山岳カメラマンの「運のつかみ方」

  • 梶原 しげる

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2016年12月22日(木)

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トレイルランニングの迫力ある映像撮影の裏側

 今注目の「トレイルランニングレース」。マラソンや駅伝とは違い、舗装されていない山野を走り抜け何十キロも走って順位を競う競技だ。

 先日テレビで見たのはジャングルのような山中。木々に覆われた急な斜面や岩だらけの道を駆け上がり駆けおりる男女選手たちが顔を歪め、汗を飛び散らせ疾走する映像だった。

 「大変なスポーツだなあ」と感心する一方で「これはどうやって撮影したんだろう?マラソンのように伴走車からカメラを向けるというわけにもいかないし……」。

 この疑問に答えてくれたのが山岳カメラマンで、トレイルランニングの撮影も行う平賀淳さんだ。

(写真:PIXTA)

梶原:「カメラやバッテリーをかついで選手とあのスピードで並走するなんて、すごい脚力ですねえ」

平賀:「そう勘違いしていただくのは大変嬉しいことですが、実はあれには仕掛けがありまして……」

梶原:「マウンテンバイクに乗ったり?」

平賀:「いえ。ものすごく原始的な手法です。レース全体は、コースの要所要所にカメラを置いてフォローしていきます。俯瞰映像を撮るために空撮を使ったりもします。梶原さんが言った『選手の汗がレンズに飛び散り、荒々しい息づかいが生々しく伝わる表情』は、僕らがカメラを回しながら選手とおなじスピードで必死に追いかけ真横から撮影するからです」

梶原:「わあ、選手よりハンデをしょっておなじスピード! カメラマンはランナーよりすごい?」

平賀:「とんでもない。選手は50km、長いのは100kmとか走るところを、僕らは『ここが見せ場』という限られた場所で選手を待ち構え、100mほどの距離だけ、カメラを肩に、死ぬ気で追いかけるんです。全体としては選手の僅か100分の1も走らない。たった20秒そこそこの「疾走」を何度か繰り返すだけですが、それでいっぱいいっぱいです。何人かのカメラマンが、それぞれの場所でこうやって『手作り』で撮影したいくつかの接写映像が、レースの魅力をさらに引き立てるんだと自分に言い聞かせながら走りますけどね……」

 「しゃれた映像作品」も意外に「素朴で土着的な技」を駆使して撮影されていることを知った。そして「最先端カメラマン」が最後に頼るのは「テクノロジー」ではなく「運」だというのだ。

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