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私がエンジェル投資家の仕事を始めた理由

KEIRETSU JAPAN最高顧問の本澤実氏に聞く

  • 山下 勝己=日経BP総研未来ラボ客員研究員

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2018年10月10日(水)

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 混迷を極める世界。未来は、視界良好とは言えない状況にある。その中で、企業が成長していくためには、溢れかえる情報の中から、確度の高いものを探し出し、そこに経営資源を集中させていく必要がある。今後生き残るためには、高度な情報収集能力、判断力、決断力などを兼ね備えることが求められるわけだ。

 KEIRETSU JAPAN(ケイレツ・ジャパン)は、2000年に創設されたエンジェル投資家グループ「KEIRETSU FORUM」の日本支部だ。本澤実氏は日本支部の最高顧問を務める。ミッションは、国内のベンチャー起業家や経営者と、世界のエンジェル投資家をつなぐこと。そのためには、将来、どのような社会状況が訪れ、その際にどのようなテクノロジーが求められ、その結果どのような市場が醸成されるのかを高い精度で見通すことが求められる。

 そうした仕事に取り組む本澤氏に今回、エンジェルに関わる仕事を始めた理由、現在注目しているテクノロジー、今後の社会や市場の行方などについて聞いた。

英国でのビッグバン遭遇が転機に

本澤 実(ほんざわ・みのる)氏
KEIRETSU JAPAN 最高顧問/埼玉学園大学大学院客員教授。東京大学農学部卒、英国ケンブリッジ大学院、埼玉大学大学院修了、博士(経済学)。国内外の金融機関で国際金融取引に従事。その後日本政策投資銀行とともに投資会社を設立し、多くの企業再生・バイアウトに関与。現在は、スタートアップ支援などを通じて、先端技術の発掘・振興、事業化を通じた価値創造とグローバル展開の推進、これらを支える人材の育成や活用、並びに資金調達に尽力している。とくに最近は、人間の根本テーマに関連する先端技術の発掘に注力しており、関連技術を有する多くの中小企業を支援している。

本澤さんが最高顧問を務めるKEIRETSU JAPANと、現在取り組んでいる業務について教えてください。

本澤:「KEIRETSU FORUM」は、1990年代に不動産投資業で成功を収めたCEO(最高経営責任者)のランディ・ウィリアムが2000年に立ち上げたエンジェル投資家のネットワークです。名称は日本語の「系列」に由来します。

 投資家と起業家を結ぶコミュニティーとして、世界の26カ国から3300人を超えるエンジェル投資家が会員として参加し、テクノロジー、ヘルスケア/ライフサイエンス、エネルギー、消費財など様々な分野のスタートアップ企業に対する資金支援および事業支援活動を展開しています。2017年末から日本に拠点を構え、ケイレツ・ジャパンとして本格的に活動を開始しました。

 まずは、私がこのエンジェルの仕事に携わることになった背景をお話ししたいと思います。そのためには後ほど述べる金融を巡る歴史を理解しておくことが重要ですが、ここでは現在の状況について述べます。

 現在の日本にはお金があふれています。これは米国の金融政策の転換が始まった1980年代初めに比べると、あらゆる面で資金調達が容易になっていることを意味します。米国でエンジェル投資が本格的に始まったのも1980年代です。こうした状況にもかかわらず、日本のスタートアップの活動は、欧米に比べるとかなり遅れているのが現状です。

 特に日本のスタートアップは日本国内に留まり、海外へ雄飛する企業が非常に少ないことに危機感を感じています。現在のように資金調達が容易な環境がいつまでも続くとは考えられないので、今のうちに日本のスタートアップの活動を活性化することのお役に立てればと考えたのです。人間は目の前のことに集中しがちなので、現在だけを見ていると本質的な部分を見失ってしまうケースが少なくありません。現在をよく理解するために、歴史的視点を常に持つことはとても重要だと思います。

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