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15人のニートが「超限界集落」の廃校に集う理由

AI時代先取り? 必要最低限働き「寅さん」のように生きる

2018年1月16日(火)

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 携帯電話の電波も十分には入らない和歌山県の山奥の限界集落。そこに引きこもり経験を持つ若者や会社を辞めて無職となった若者など、いわゆる「ニート」を集めて共同生活を営む団体がある。NPO法人「共生舎」(和歌山県田辺市)だ。

 廃校となった小学校に住みついたニートたちは、村の住民から農作業の手伝いを依頼されたり、近くの旅館やキャンプ場で働いたりして、各自月2万~3万円程度で生計を立てている。山奥の生活共同体でともに暮らすニートたちが目指すものはいったい何なのだろうか。自らも引きこもり経験を持ち、共生舎の理事をつとめる石井新(あらた)さんに話を聞いた。

(聞き手は、柳生譲治)

山にへばりつくように立つ共生舎(和歌山県田辺市)。廃校となった校舎を利用している。同じ敷地内にある離れ(家)を改造して暮らしている住人もいる。

和歌山の“秘境”から、ニートの山奥暮らしを発信

到着が予定よりも遅くなりましてすみません。石井さんのブログ「山奥ニートの日記」に、最寄駅から1時間半ほどと記述されていたのを読んで、グーグルマップでざっと道路の「予習」はしていたのですが…ちょっと考えが甘かったです。文字通りのすごい山奥ですね。

石井:皆さんここに来られた方は口をそろえて、そうおっしゃいますね。口の悪い人の中には“秘境”と言う人も。道路も狭いので、確かに車の運転は慣れないと危ないです。近くで脱輪して動けなくなった車を道路に戻すために、僕たちニートが引上げ作業の手助けをさせてもらったこともあります。

少なくとも30分以上は、対向車が来た時にすれ違うのもままならない細い道で、片側はずっと深い谷…時には事故を起こす車もあるでしょう。最近降ったと思われる雪がアイスバーンになって残っている場所もあり、ひやりとしました。

ただでさえ道幅が狭いのに、工事のためにさらに狭くなっている場所も。通り抜けるにはギリギリの道幅だ。右側の谷底には川が流れている。

石井:確かに不便なところですし、共生舎から車で30分ほどのところに近づくと携帯の電波も圏外になってしまうのですが、幸い有線のインターネットはつながります。食料や生活用品をアマゾンで注文すると届くまでわずか2日。配達の人には申し訳ないですけど。今の時代、ネットさえつながれば現代の生活を享受できるものです。ネットを通じて無料で手に入る楽しみはたくさんありますし、移住当初からブログやニコニコ生放送(編集部注:現在はユーチューブを使っている)、ツイッターなどを通じて山奥暮らしの情報発信もして反響を得てきました。

名古屋から和歌山の山奥へ、「すごいことが起こる」と期待

ここは廃校になった小学校の校舎ですよね。2010年頃から地域のNPO「共生舎」が、ニートや引きこもりを集め、この過疎地で共同生活をさせる計画を進めていて、それを知った当時は引きこもりの石井さんが応募。2014年の3月末、第1号の移住者兼管理人としてここにやって来られたと聞いています。約4年が過ぎたことになりますが、ここに移住する時に不安はなかったのですか?

石井:「不安だったでしょう?」とよく聞かれるのですが、むしろこれからすごいことが起こるのだという予感があり、興奮していました。会社勤めをして定年退職までやりたいことを我慢するなんて、僕にはできなかったですし。

 ここでは狭くとも畑を耕せば食料は自給できるし、水も電気ある。無料で住める空き家もある。何より、現代では山奥でもネットさえつながれば何でもできる。

田舎での新しい暮らしへの期待しかなかった?

石井:ただ1つ、移住当初にとても残念なことが起こりました。僕たちニートを呼んで下さった、山本利昭さんという方──元養護学校の校長先生でニートや引きこもりにとても理解のある当時のNPO共生舎の理事長さん──が、僕らがやってきた直後にお亡くなりになってしまって…。大変ショックを受けました。

 その後、理事長は山本さんの奥さんの山本佐知子さんに代わり、実質的には、僕ら居住者が自主運営を任されています。理事は僕と、初期からのメンバー2人の合計3人。山本さんが作った共生舎の理念に照らして、現代社会には居場所がなく生きづらさを感じている人たちを集め、共同生活をしているというわけです。

NOP法人 共生舎 理事
石井 新(いしい・あらた)氏
1988年9月生まれ、愛知県名古屋市出身。ブログやSNSなどインターネット上では「葉梨(ばなし)はじめ」を名乗る。子供の頃から映画「男はつらいよ」シリーズの車寅次郎(寅さん)のような自由な生き方に強い憧れを持つが、「世間の圧力に負けて」関東にある大学の教育学部に進学。教育実習での体験などから「引きこもり」となり、大学は中退、故郷の名古屋に戻る。2011年、東日本大震災が発生した時には被災地にかけつけボランティアを行う。その後、偶然、共生舎(和歌山県田辺市)が過疎となった集落へのニート・ひきこもりの移住を募っていることを知り、応募。2014年3月末から山奥で、ほかのニートたちと共同生活を行っている。自称「山奥ニート」。

コメント16件コメント/レビュー

働きアリについて勘違いしているコメントがありますね。
アリの世界で働かない2割というのは、高齢のアリのことではありません。

アリの社会では、年を取ると隠居して余生を過ごすどころか、外界にエサをとりに行く、もっとも危険な仕事を担当するようになるので、少子高齢化が起きたりはしません。
人間社会で働かないアリが増える歪みが起きているのは高齢者に偏った福祉、とりわけ、強制の医療保険が原因です。

若い時に働かずいつ働くか?
8割の働きアリがデス・スパイラルに陥ったりして絶滅した時ですよ?
その時に備えたピンチヒッターがニート・アリです。

守るべきは女王アリと卵であるから。

ニート・アリは能力的には下位集団、あるいは、異質集団です。
『環境の変化』に対応して種を残すための自然の知恵。

環境リスクが増したら、あまりエサをとれない下位集団を働かせて、『健康で文化的な最低限度の生活』で我慢する。
あるいは、これまで通りのエサの取り方だと天敵に端から食われて、8割の働きアリは『一匹残らずいなくなってしまった』ので、これまで異端としてハブっていた、じゃなかった、『とっておきの』『違う発想のアリ』に働いてもらう。

すべては、正義とか正論とかでなく、単なる自然の知恵であり、自然科学的な事実です。

人類が危機に瀕しているのは若者が働かないからではなく、働かない高齢者が死なないからです。
ちょっと賢い人が人口統計を観察すれば、すぐに、恐ろしくもシンプルな事実が見えてきます。
20~60歳の働き盛りと、その上下(子供と高齢者)を合計した数は、何十年も前から、ほぼ同数です。
明らかに、高齢者が増えた分、子供が減っています。
現役世代が『養える人数』は今も昔も同じ。
高齢者が増えて強制の福祉負担が増した分、現役世代の下位集団が結婚できなくなって、子供が減っているんですよ。

既得権者の群れが「高齢者だから、働かなくてもすべて面倒みてもらえて当たり前なのだ」という歪んだ権利意識の異常を自覚して改めない限り、国家の滅亡は避けられません。
自然界には既得権とかありませんから、こんな愚かな滅び方はしないんですけどね。
既得権というアイディアこそは、神の怒りを買った「禁断の知恵の実」であろうと思います。(2018/08/21 08:09)

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「15人のニートが「超限界集落」の廃校に集う理由」の著者

柳生 譲治

柳生 譲治(やぎゅう・じょうじ)

日経BP総研 主任研究員

業界紙記者、雑誌編集者、建設作業員など様々な職業に就いた後、2001年日経BP社入社。日本経済新聞社デジタル編成局プロデューサー、日経ビジネス副編集長などを経て、2018年8月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

働きアリについて勘違いしているコメントがありますね。
アリの世界で働かない2割というのは、高齢のアリのことではありません。

アリの社会では、年を取ると隠居して余生を過ごすどころか、外界にエサをとりに行く、もっとも危険な仕事を担当するようになるので、少子高齢化が起きたりはしません。
人間社会で働かないアリが増える歪みが起きているのは高齢者に偏った福祉、とりわけ、強制の医療保険が原因です。

若い時に働かずいつ働くか?
8割の働きアリがデス・スパイラルに陥ったりして絶滅した時ですよ?
その時に備えたピンチヒッターがニート・アリです。

守るべきは女王アリと卵であるから。

ニート・アリは能力的には下位集団、あるいは、異質集団です。
『環境の変化』に対応して種を残すための自然の知恵。

環境リスクが増したら、あまりエサをとれない下位集団を働かせて、『健康で文化的な最低限度の生活』で我慢する。
あるいは、これまで通りのエサの取り方だと天敵に端から食われて、8割の働きアリは『一匹残らずいなくなってしまった』ので、これまで異端としてハブっていた、じゃなかった、『とっておきの』『違う発想のアリ』に働いてもらう。

すべては、正義とか正論とかでなく、単なる自然の知恵であり、自然科学的な事実です。

人類が危機に瀕しているのは若者が働かないからではなく、働かない高齢者が死なないからです。
ちょっと賢い人が人口統計を観察すれば、すぐに、恐ろしくもシンプルな事実が見えてきます。
20~60歳の働き盛りと、その上下(子供と高齢者)を合計した数は、何十年も前から、ほぼ同数です。
明らかに、高齢者が増えた分、子供が減っています。
現役世代が『養える人数』は今も昔も同じ。
高齢者が増えて強制の福祉負担が増した分、現役世代の下位集団が結婚できなくなって、子供が減っているんですよ。

既得権者の群れが「高齢者だから、働かなくてもすべて面倒みてもらえて当たり前なのだ」という歪んだ権利意識の異常を自覚して改めない限り、国家の滅亡は避けられません。
自然界には既得権とかありませんから、こんな愚かな滅び方はしないんですけどね。
既得権というアイディアこそは、神の怒りを買った「禁断の知恵の実」であろうと思います。(2018/08/21 08:09)

何だか、不登校の生徒が田舎で農業をして立ち直りのきっかけをつかむ話に似ていると感じました。

まあ、批判はあるのでしょうが、親から見れば記事にあるように部屋から出てくれて、曲がりなりにも社会生活をおくってくれているのだから、評価すべきことと思います。

しかしながら、コメントにもある通り、若いうちはいいけれど、年を取ると厳しくなると思うので、もう少し先をいってほしいですね。(2018/02/06 18:59)

>己の暮らしの苦しさをニートなどフリーライダーのせいにする人達の暮らしは、そりゃ、苦しかろうと思います。
強者たる加害者(既得権者)には何も言えないから、関係ない弱者(持たざるもの)に筋違いの攻撃を加えて、それで暮らしがよくなろうはずがありません。

(2018/01/20 12:06)の、こちらのコメントに共感しましたので引用させていただきました。

そこそこ働いてそこそこの収入を得ていますが、働き方や暮らし方に対しての価値観は多様で良いのではと常日頃思っています。

活力のある人が働ける時期に働けば良いし、働けない人・活力の沸かない人は休んでいても、東日本大震災の例のように必要性がある時に自然と役割が変わってくるのでしょう。

今の時代的でないからといって批判し無理やり働けるようにしたところで、心の底から自然に働きたい欲求が出てこなければ、都会のホームレスや集団で犯罪に走る人たちのような悲惨な状況におかれる人が増えていくのでは。
現在のところ、そうした最底辺の暮らしを余儀なくされた方を最後には、間接的に私たちが支えることになっていますので無限ループですね。

というわけで日本には国としてニートやフリーターよりさらに最底辺の集団を根本的に救えるような力がないのですし、批判する個人もこの方たちに最適な雇用先や暮らしを与えてくれるわけではないのですから、
自然発生的にできたこのような集団が社会的にあまりにもひどい害を及ぼさない限りは、自然に解散か存続するのを見守るべきなのでは。

大枠で眺めるしかない私たちはそのようなスタンスでいるしかないでしょうよ。
直接的に近辺に住んでいる住民や配達員などでよほど被害があるなり嫌悪感があるなりならば、その張本人たちが拒否すれば良いだけです。

寛容でないと、いつ自分自身も今の世の制度からはみ出るか100%の予測は不可能ですし。(2018/02/03 13:12)

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