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「日銀は政策効果に自信を失ってきた」

東短リサーチ社長チーフエコノミスト、加藤出氏に聞く

2018年8月17日(金)

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7月末の金融政策決定会合で日銀が導入した新政策は専門家の間でも評価が分かれる。長期金利のゼロ%誘導を維持しながら変動幅を従来の倍のプラスマイナス0.2%に広げるなど、政策の“柔軟化”を図った。代表的な日銀ウォッチャーの一人である東短リサーチ社長チーフエコノミストの加藤出氏はどう見るのか。

7月末の日銀の政策変更について、「『引き締め」でも『緩和』でもないニュートラルなもの」、あるいは「事実上の正常化第二弾」など見方が分かれます。どう見ていますか。

加藤出・東短リサーチ社長チーフエコノミスト(以下、加藤):基本的には日銀は八方ふさがりにあるということだと思います。異次元の金融緩和を5年数カ月続けましたが、国債を大量に買い入れる「量の緩和」は行き詰まり、2016年9月に長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策を導入しました。量の緩和から長期金利をゼロ%に誘導する政策に変えましたが、それでもインフレは思ったように進みませんでした。

加藤出(かとう・いずる)氏
東短リサーチ社長チーフエコノミスト。1988年4月、東京短資入社。金融先物など短期市場のブローカーとエコノミストを兼務した後、2013年2月より現職。マネーマーケットの現場の視点から日銀、FRB、ECB(欧州中央銀行)、イングランド銀行、中国人民銀行などの金融政策を分析している(写真:清水真帆呂、以下同)

 異次元緩和はさらに長期化が必至となったわけです。しかし、一方で副作用が大きくなった。特に金融機関の収益悪化は厳しく、それに対処しようとすると金利自体を上げなければならなくなります。でも、そこには踏み込めない。インフレ目標を柔軟化しない限り、周りは完全にふさがれた状況です。

元々、副作用があることは言われていました。なぜ急に気にし始めたのでしょうか。

加藤:日銀が重視するコアコアCPIという物価指数があります。価格変動の大きい生鮮食品、エネルギーを除いたものですが、今年6月は前年比でたった0.2%、3カ月連続で下落しました。これだけの大規模緩和を5年あまり実行し、世界経済も好調な中でこうした数字が続くことで日銀は政策効果に自信を失ってきたのではないでしょうか。そこに長期国債の取り引きがほとんど成立しない日が頻繁に出てくるといった市場機能の深刻な低下が目立つようになってきたため、多方面から副作用への批判が高まり、無視できなくなったということではないかと思います。

新政策は非常なナローパスになる

米国ではドナルド・トランプ大統領がFRB(連邦準備制度理事会)の利上げ姿勢を公然と批判し始めています。これも影響していますか。

加藤:FRBは今年既に2回の利上げを実施し、さらにもう2回引き上げると予想されています。来年は3回程度の利上げが望ましいとFRBの主要幹部は今は見ているようです。日銀も世界経済がリセッション(景気後退期)に入るのはしばらく先と予想していますが、トランプの“貿易戦争”が世界経済の減速を早めたり、彼がFRBの政策に強く介入すると、FRBが利上げを早めに停止するリスクが顕在化します。もしそうなると、日銀が政策調整を実行できる期間は短くなります。米国が利上げをしないのに日本だけが実行すれば円高になるなどとても難しいからです。

 それを見越せば「動けるときに動いておこう」と判断した可能性はあります。

コメント4件コメント/レビュー

日本経済の問題は一般人でも理解してきました。経済は金融と財政です。金融を預かる日銀は低金利政策で市中に現金を回す(インフレ化)ことにしましたが、銀行が仕事(融資)を行わず、日銀当座に分積みし利息を得るとは、信用創造が全く行われていませんので20年デフレが続きます。
(当座に金利?どこの世界の話ですか?民主政権のおかげ!)
 一般企業も過去の貸しはがしの憂き目を見たら、二度と銀行は相手にしません。銀行の信用など党の向こうに失墜しているのです。 研究開発や設備投資こそ将来の為に必要なのですが、皆自重しているのです。民間銀行がだめな時は、政府系金融機関が仕事すべきですが、今度は企業の良し悪しが判断できません(能力欠如)。 結局ゾンビ企業を手助けするようになります。
 さて最も問題は財政です。今こそインフラの整備のために(震災復興も)特別国債の発行で財政を増やすべき時なのですが、増税増税とは何ですか! 日本経済をつぶしても省益が大事なのですか?
 最もデフレのほうが役人にとって有利ですから、今の状態が都合がよいのでしょう。
日銀は精一杯頑張っています(あと一歩)。 安倍さんも我慢しながらなんとか進めていますね。
 官僚組織との全面対決は、過去痛い目に合っています。官僚組織はすぐ権力を利用して議員に脅しをかけてきます(曰く脱税の恐れがある・・・マスコミが反応)。問題が無くても政界から追い落とされます。 過去公務員改革に携わるか、声高に叫んだ人を見れば自ずからわかるでしょう。
 猫の首に鈴をつけるのは、大変なことなのです。
 (2018/08/23 11:34)

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「「日銀は政策効果に自信を失ってきた」」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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日本経済の問題は一般人でも理解してきました。経済は金融と財政です。金融を預かる日銀は低金利政策で市中に現金を回す(インフレ化)ことにしましたが、銀行が仕事(融資)を行わず、日銀当座に分積みし利息を得るとは、信用創造が全く行われていませんので20年デフレが続きます。
(当座に金利?どこの世界の話ですか?民主政権のおかげ!)
 一般企業も過去の貸しはがしの憂き目を見たら、二度と銀行は相手にしません。銀行の信用など党の向こうに失墜しているのです。 研究開発や設備投資こそ将来の為に必要なのですが、皆自重しているのです。民間銀行がだめな時は、政府系金融機関が仕事すべきですが、今度は企業の良し悪しが判断できません(能力欠如)。 結局ゾンビ企業を手助けするようになります。
 さて最も問題は財政です。今こそインフラの整備のために(震災復興も)特別国債の発行で財政を増やすべき時なのですが、増税増税とは何ですか! 日本経済をつぶしても省益が大事なのですか?
 最もデフレのほうが役人にとって有利ですから、今の状態が都合がよいのでしょう。
日銀は精一杯頑張っています(あと一歩)。 安倍さんも我慢しながらなんとか進めていますね。
 官僚組織との全面対決は、過去痛い目に合っています。官僚組織はすぐ権力を利用して議員に脅しをかけてきます(曰く脱税の恐れがある・・・マスコミが反応)。問題が無くても政界から追い落とされます。 過去公務員改革に携わるか、声高に叫んだ人を見れば自ずからわかるでしょう。
 猫の首に鈴をつけるのは、大変なことなのです。
 (2018/08/23 11:34)

利ざや稼ぎの金融機関を中心として、アベノミクスの開始時期から異次元金融緩和に対する批判が多く提示されていた。加藤出氏は、当時 異次元緩和批判の急先鋒であった。
その後、消費税増税による消費の落ち込み等、紆余曲折が有りながらも、好景気による失業率・求人倍率の大幅な改善が実現している。なぜ、エコノミストと称する方々は、自らの言動について自己反省し、責任を取ろうとしないのだろうか?このようなエコノミストと称する面々の言説を過去の言説の評価も無しに記事に載せるマスコミにも反省を求めたい。(2018/08/18 22:14)

政府・日銀いずれも量的緩和によって物価目標が実現するなどと思っていない。逆に物価目標実現は、経済成長促進どころか実質所得減少が生じ、何も良い事が無いと周知され、政策の欠陥が露わになると懸念しているはずである。
政府の本音は円安維持であり、日銀にその役割を担わせている。日銀も心得ており、量的緩和を隠れ蓑とし、円高阻止に勤しんでいる。YCC,フォワードガイダンスなどは、円安誘導に目を光らせているトランプに対する目眩ましに過ぎない。
こんなことを日銀ができる背景には、米国、EUと異なり日本は貯蓄超過経済であり、外国資金流入の必要がなく、円貨取引は日銀の独壇場となっていることがある。金融機関の利益減少はそのとばっちりであるが、免許の上に胡坐をかき続けて金融技術革新に遅れ、長短金利差でしか儲けが出せない体たらくがもたらした結果でもある。半分以上自業自得と言って良い。
それでも、日銀は銀行に対して少しだけ優しくなった。マイナス金利適用幅縮小、長期金利調整幅拡大は、量的緩和をより長期化していくため、飴も与えなくてはならないと配慮したのであろう。
最もいけないのは、アベノミクスを標榜している政府である。主要施策は、低賃金労働拡大による斜陽産業延命である。これは当面の企業利益増大をもたらすが、高付加価値産業への転換を遅らせ、成長を止めてしまう。低成長がデフレ・低賃金の最大要因となり、これが循環する構造に陥っている。(2018/08/18 09:56)

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