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読者と記事を作り続けて早5年

The CorrespondentのCEOにジャーナリズムの未来を聞く

2018年12月7日(金)

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 経験や知識のシェアが容易な今の時代、多くのメディアが読者の声を記事や企画に反映させようとしている。だが、閉じた世界で記事を作ってきた従来のメディアにとって、読者を巻き込んだ記事づくりは言葉で言うほどは簡単ではない。

 その中で、読者の存在をリソースと位置づけ、積極的に活用している異色のメディアがある。オランダのThe Correspondentだ。オランダの全国紙『NRC Handelsblad』出身で、28歳にして若者向けメディア『NRC Next』の編集長に抜擢されたロブ・ワインベルグ氏が2013年に同僚と立ち上げた新興メディアである。

 記事の公開本数は1日3本程度と従来メディアよりも圧倒的に少ない。日々のヘッドラインを賑わすようなニュースや事件は全く追わず、専門記者が自身の専門分野や興味に基づいて本質的なイシューを深く取り上げる。2013年にクラウドファンディングで立ち上げ資金を募集すると、わずか8日で2万人近い定期購読者と100万ユーロ(現在のレートで1億2800万円)を獲得した。収入は読者の定期購読が大半で広告には依存していない。

 The Correspondentの特筆すべきところは定期購読者を記事づくりに巻き込んでいる点だ。同社のジャーナリストは取材の内容を読者コミュニティに開示、その中での議論を記事に還元していく。6万人の定期購読者のナレッジを活用する姿は、ソフトウェア開発におけるオープンソースコミュニティにも通じる。

 オランダで成功を収めたモデルを世界に拡大するため、英語版の立ち上げを決断、再びクラウドファンディングを実施しているThe Correspondent。その哲学や仕組み、ジャーナリズムの未来について、共同創業者でCEO(最高経営責任者)のエルンスト・ヤン・ファウス(Ernst-Jan Pfauth)氏に話を聞いた。(聞き手はニューヨーク支局 篠原匡、長野光)

The Correspondentは既存のニュースメディアとは全く異なる編集方針や誌面づくりで読者を惹きつけています。まず、創業の経緯について聞かせてください。

エルンスト・ヤン・ファウス(以下、エルンスト):『The Correspondent』は編集者のロブ・ワインベルグ(Rob Wijnberg)、デザイナーのヘラルド・ドュニンク(Harald Dunnink)、CTO(最高技術責任者)のセバスティアン・カーステン(Sebastian Kersten)と私の4人で立ち上げたメディアです。
 私とロブはNRC Handelsbladというオランダの新聞社の同僚で、それぞれが自身のミッションを持っていました。
 ロブはニュースがどんどんセンセーショナルなものになっており、本質的な問題を報じていない。それによって社会や生活を形作る基本的な力が阻害されている、と感じていました。一方、私の問題意識は読者をジャーナリズムに巻き込むことでした。読者はジャーナリズムにおける最大の未開発なリソースといっても過言ではありません。それを活用できればジャーナリズム自体が変わっていくと考えていたんです。
 私たちふたりはNRCでそれを実現しようと思いましたが、ある時点で会社を辞めました。自分たちのミッションに100%注力するためには自分たちで新しいメディアを立ち上げた方がいいと思ったからです。

共同創業者のエルンスト・ヤン・ファウス氏。NRCのウェブ版編集長やテックメディア「The Next Web」の編集長を務めた後、ワインベルグ氏とThe Correspondentを立ち上げた。(写真:Maki Suzuki 以下同)

資金はクラウドファンディングで調達しました。

エルンスト:資金調達では投資家ではなく読者を見ました。私たちは世界で起きている本質的な出来事について、読者の理解を深める手助けをしたいと考えています。それを実現するには、広告主やベンチャーキャピタル(VC)ではなく読者に立脚すべきだと思いました。広告やVCに依存すると、広告収入を得るために読者のアテンションを獲得することを考えなければならなくなり、読者に100%フォーカスすることができません。

 1万5000人の読者が年間60ユーロ(7600円)を払ってくれれば90万ユーロが手に入ります。それだけ集まれば、メディアを始めるのに十分だと思いました。そこで、2013年春にクラウドファンディングのキャンペーンを始めたところ、8日で目標金額に届きました。これにはビックリしました。その後、立ち上げには数カ月を要しましたが、2013年9月に始めることができました。

 現在は英語版の立ち上げのためにクラウドファンディングを始めたところです。目標は英語圏の定期購読者から250万ドルを集めること。英語版のジャーナリストを雇うのはお金が集まってからです。目標金額に達しなければ全額返金します。

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「読者と記事を作り続けて早5年」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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