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故・佐々木正氏が1年前に語った日本の未来

テレパシーを手に「共創」は加速する

  • 日経ビジネス編集部

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2018年2月6日(火)

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 シャープ元副社長の佐々木正氏が1月31日、肺炎のため永眠されました。102歳でした。LSI(大規模集積回路)や液晶、そして太陽電池など世界の半導体産業の基礎を作り上げ、戦後日本の発展をけん引した技術者でした。ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏や米アップル創業者の故スティーブ・ジョブズ氏が若かりし頃、佐々木氏を頼ったエピソードはあまりにも有名です。

 日経ビジネスは2014年11月と16年11月の2回、佐々木氏にインタビューをしています(14年11月のインタビュー記事は「【佐々木正】『東京裁判を免れた。生き延びた恩に報いたい』」をご覧ください)。本編では、16年11月のインタビューを基に、『日経ビジネス』2017年1月9日号特集「2017年紅白予測合戦、あの著名人が占う不透明な未来」に掲載した、100年後の日本について予測いただいた内容を再掲載します。また、2014年11月のインタビュー時にいただいた、日本の未来に向けた直筆の「遺稿」を、合わせて掲載します。

 スティーブ・ジョブズ氏も孫正義氏も、この人なくして成功はなかった。世界で初めてIC(集積回路)電卓を開発した、元シャープ副社長の佐々木氏。佐々木氏が仕掛けた電卓戦争でLSI(大規模集積回路)の小型化が加速。液晶などの技術開発も推進し、現在のコンピューター社会の基礎を築いた。1世紀以上生きてきた「電子立国の父」が、100年後の日本に抱くのは希望か、絶望か。いつものように、アイデアを書き留めた小さなメモ帳を手に、衝撃の予測を展開した。

佐々木正(ささき・ただし)
台湾で高校まで過ごし、京都大学に進学。シャープ元副社長。トランジスタ電卓を日本で初めて開発し、半導体や液晶、太陽電池などの技術開発を牽引した。アポロ宇宙船の半導体開発にも関わり、米研究者から「ロケットササキ」と親しまれる。ソフトバンク社長の孫正義氏を創業期に支援した恩人でもある。2011年から新共創産業技術支援機構(NPO法人)の理事長を務める。15年に名誉顧問に就任。1915年5月生まれ。(写真:菅野勝男、以下同)

 つい先日、夢で「三途の川」を見ましてね。特に病気をしていたわけではなかったのですが、いよいよかなと思いました。石を1つ積んでは誰のため、2つ積んでは誰のためと、ちゃんと数えないと川を渡してやらないという声まで聞こえて。ところが、数えているところで目が覚めました。不思議ですね。もう、あの世を見てきたようなものですから、未来も見える気がします。

 私がトランジスタで電卓を作ってから、コンピューターの世界は急速に進歩してきました。最近では、AI(人工知能)が現実のものになっています。

 ただ、現在のAIは数字や理屈の世界から出ていません。数字や理屈で表せない世界をどう扱っていくのか。三途の川のような夢の世界もその一つかもしれませんが、コンピューターはいずれ、こうした領域にも入り込んでいくでしょう。

 私はそれを、「カンピューター」と呼んでいます。理屈ではない、「勘」の領域にまで進出したコンピューターです。今は、コンピューターが進歩したといっても、人間は物事を判断する時には勘に頼ることが多い。しかし、いずれは「勘とは何か」という問題もコンピューターは解決していく。

人知を超えた世界に向かう

 その先は、勘だけではなく全ての人間の判断を模倣できるようになる。私はそれを、判断の「判」を取って「ハンピューター」と呼んでいます。そうなった時、人類の脳とAIの差はよく分からなくなる。つまり、人類はAIと「二人三脚」で歩むようになるはずです。

 そんな世界では、思考が他者に瞬時に伝達する「テレパシー」のような技術も、人類は手に入れているかもしれません。例えば、落ち葉に火をつけることを想像してください。1枚の落ち葉に火をつけると、周囲の枯葉に徐々に燃え伝わって、遠くにある落ち葉もやがて燃え始めます。しかし、これがある落ち葉を燃やした途端、瞬時に遠くの落ち葉も燃え始めるような、そんなことが可能になる世の中になる。

 落ち葉につく火は、アイデアの火です。ある人が思いついたアイデアが、瞬時に他者の思考と共鳴して、判断を下したり、イノベーションを生み出したり。要するに、私が昔から主張している「共創」は加速する。それに向けて、人類も進化していかなければならない。

 そうなるには、どのような技術が必要かですか? それは、三途の川から戻ってきた私なんぞではなく、若い人たちが考えることです。

 一つ、アドバイスできることがあるとすれば、もはや、人類もコンピューターも、数字や理屈だけを頼りにしていてはダメだということです。テレパシーや念力といった、これまでは人知を超えた世界だと思われていたような現象も、科学の力で人類の未来にどのように活用していくかという発想が、これからは求められる。そういうことまで考えないと、人類はコンピューターに使われるような世界になってしまいかねない。

 人類が高い志を掲げて進化し続ければ、100年後の日本、そして世界は安泰です。

佐々木氏の予測
  1. 夢の世界もコンピューターの領域に入る
  2. 人類はAIと二人三脚で歩む
  3. 数字や理屈だけの世界は終了

コメント2件コメント/レビュー

佐々木氏の遺言は望みでも回顧でも諫言でもなく、地球の未来に対する希望を語っていることに驚きました。(2018/02/06 09:15)

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いただいたコメント

佐々木氏の遺言は望みでも回顧でも諫言でもなく、地球の未来に対する希望を語っていることに驚きました。(2018/02/06 09:15)

みんな、漠然三昧に考えていることは同じだと思うが、それを実施できるまでの隘路の道程が難しい。行ったり来たり、いろいろと揺れ動いて、最終的に、佐々木翁の言われることにたどり着く。パウリの排他論理、マイケルソンモレーの光の縺れ合い現象、ボーアの電子軌道論などなどいろいろと既知の理論を総合し推察すると、稲盛翁の研究された「虫の知らせ」や「双子の特殊意志通信」なども有り得る現象になっているのかも知れない。量子コンピュータがその応用の最終系かも知れないが、その先の通信はテレパシーの如く何らかの手段をを見出す必要があると思う。ハンピュータは、人間とAIとメカのアンドロイドかもしれないが、必然的に、人類もその方向に向かうと推察する。このシリーズの続きを期待します。(2018/02/06 08:29)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官