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ポストペットVRに見る「中二」的新規事業

東京芸術大学美術学部准教授、ペットワークス取締役・八谷和彦さんに聞く

2017年1月20日(金)

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2002年発売のPostPetV3

 1997年に登場した、パソコンの中のペットたちがメールを運ぶメールソフト「PostPet(ポストペット)」。1体しかいないペットがメールを届けに行くと、帰ってくるまで次のメールが出せない(その場合は「ポストマン」というロボットが対応してくれる)。届けた先の相手になでてもらったり、おやつをもらったり、その思い出を帰宅したペットは「ひみつ日記」に書いたりする。こんな、ある意味時代に先駆けすぎたコンセプトにもかかわらず、累計約1500万ユーザーを獲得し、パソコンへのバンドルや専用端末まで登場する人気作となった。メッセージのやりとりが、メールからSNS、ツイッターなどに移行する中、20周年を記念して、VR版の開発が進んでいるという。

 しかし、現状でVR版を作っても、ユーザーはいるのだろうか? 手がけるのは「中二(中学二年生)のまま生きる技術」集団を公言するペットワークス。創業者の八谷和彦さんに、ポストペットVRを初めとする数々の新規事業の始め方、続けた方についてお聞きした。

東京芸術大学美術学部准教授、ペットワークス取締役・八谷和彦さん(撮影:大槻純一)

 ペットワークスはなんといってもジェット機まで作ってしまう会社(「OpenSky(オープンスカイ)」プロジェクトとして、1人乗り超軽量ジェット機「M-02J」を開発、昨年、場内周回飛行に成功。詳しくは「ナウシカの“メーヴェ”を本当に作って、飛んだ人に聞く」)ですから、VRくらいで驚いてはいけないんですが(笑)。いまVRでポストペットって、どういうことなんでしょうか。そもそもVR環境を持っているユーザーは、そんなにいないでしょう?

八谷和彦さん(以下八谷):今年は、「ポストペット」のβ版が世に出て20周年なんですね。1997年の年始にテストユーザー用のβ版が出て、その年末にパッケージ版の「ポストペット DX(デラックス)」が発売になりました。

1997年発売のポストペットDX

 今、こちらの会社(ナディア)に間借りしてVR版を作っているのですが、状況が20年前とそっくりなんですよ。当時はお茶の水にあったアイ・エム・ジェイに作業スペースを間借りして作っていました。居候して作っている感じがそっくり。だからといって、惨めな感じもないし、「やるしかない」みたいな切羽詰まった感じも、「一発当てようぜ」みたいな、デッドオアアライブな雰囲気もない。

 とはいえ、会社ですから、必死だろうがゆるくやろうが失敗すれば赤字になって、続けていけないわけで。

PetWORKs サイトのトップページ

八谷:もちろんです。だからこそ、VRコンテンツを作ることからリブート(再起動)しようとしているわけです。うちの会社はポストペットの開発チームを中心に創業してから19年、とても小さな会社ですが、「みんなが欲しいと思っているけど、まだ世の中にないもの」を作ることをモットーに、「航空事業部」「ドール事業部」「ソフトウェア事業部」とか好きなことをやってきて、幸いにも倒れずに済んでいます。

 なにせ「中二のまま生きる技術」という題で展覧会開いたりしてますよね…。でも、「会社で好きなことをやる」のは、一度限りならできなくもないと思いますが、続けるのはとても難しいんじゃないかと。

仕事のコアは「プロジェクトマネジメント」

八谷:それはおっしゃるとおりですね。続いているのは運が良かった、というのもあります。お人形がちゃんとビジネスになるかとか全く考えてませんでしたし。「幸いにも、まだ死なずにいますなあ」というのが、正直な話かもしれません。

 ナウシカの「メーヴェ」を本当にジェット機として作ってしまうM-02Jなんて、操縦者は八谷さん自身ですから、本当に死なずに済んで良かった。

飛行中のM-02J。パイロットは八谷氏本人。

八谷:物理的に死ぬ可能性があったのはあれくらいですが(笑)、一見、無茶なことをしているようで、とにかく、無理なことをしないように、それによる事故がないように、実はひとつひとつ積み重ねているんですよ。

 自分が死ぬのも、会社が赤字で倒産するのもいやなので。リスクはなるべく最小限に抑えて、面白さを最大限にして生きていきたい。対象は飛行機だったりソフトウェアだったりしますけど、自分としてはやっていることは同じで、プロジェクトマネジメントです。自分の仕事のコアはそこだと思っているんです。

 それは、「オープンスカイ」に参加した方の日記(こちら)を読んで改めて思いました。八谷さんの、プロジェクトマネージャーとしての信条みたいなものはありますか。

八谷:「自分から率先して面白がってやること」と、「それを通して周りの人に面白がってもらうこと」でしょうか。売上高とか利益の数字ではなく、何か具体的な目標を立てて行動していると、手伝ってくれる人が現れる。面白がってやっていると、「面白そう」という人が集まってきて手伝ってくれる。オープンスカイは「実機のメーヴェが飛ぶところをこの目で見たい」という方たちに、ものすごく助けていただきました。

 実は最近、コンサルタントの方から「新規事業の作り方を教えて欲しい」という問い合わせがすごく多い、と聞いたんです。

八谷:そうなんですか?

最初のバージョンのカイクイライド(2014)。画面左側は乗馬時の風を体感するための扇風機。

 資金はあるけれど、この20年、社内で新規事業を手掛けた人間がいない。なにをどうやって始めたらいいのか、全く分からない、と。

八谷:なんてうらやましい(笑)。

 ということで、そうした需要に応えて、今回のポストペットの再起動プロジェクト、ポストペットVRが、どういうきっかけで始まり、何を目指すのか、プロマネの視点から教えてくださいますか。

八谷:きっかけは、2014年に、作品として「カイクイライド」というVRシミュレーターを開発したことです。

コメント1件コメント/レビュー

こんな素敵な会社があっても良いじゃない…
ポストペットを20年前は使っていた者ですけど、確かにgmail全盛の時代には違う形でリバイバルする必要があったというのは面白いです。VRもゲーセンのテーブル筐体から家庭用ハードへ置き換わった様に、最初はアミューズメント施設や大型商店などで展開していった方が進むかもしれませんね。(2017/01/20 12:20)

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「ポストペットVRに見る「中二」的新規事業」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

こんな素敵な会社があっても良いじゃない…
ポストペットを20年前は使っていた者ですけど、確かにgmail全盛の時代には違う形でリバイバルする必要があったというのは面白いです。VRもゲーセンのテーブル筐体から家庭用ハードへ置き換わった様に、最初はアミューズメント施設や大型商店などで展開していった方が進むかもしれませんね。(2017/01/20 12:20)

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