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勢力均衡崩れれば中国は聞く耳を持たなくなる

米中の間に立つ日本はどうあるべきか。東京大学・小原雅博教授に聞く。

2018年7月6日(金)

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 米国のトランプ政権による中国製品への制裁関税が米国時間の今日7月6日、発動する見通しだ。中国は対抗関税を準備しており、貿易戦争がまさに起きようとしている。中国は今世紀半ばまでに米国に並ぶ大国になるという目標を掲げている。両者の角逐は足元の貿易戦争だけでなく、先端技術や軍事まで幅広い分野で本格化していくだろう。

 日経ビジネスでは6月25日号特集「米中100年 新冷戦~IT、貿易、軍事…覇権争いの裏側」で、現在の関税措置の打ち合いや米国の懸念、中国化する世界の現状を徹底した現地取材でまとめた。それに関連して、米中に精通した専門家のインタビューを掲載する。今回は外務省出身で上海総領事なども務めた東京大学の小原雅博教授に米中の将来とその間に立つ日本の立ち位置について聞いた。

(イラスト:北沢夕芸)

米国と中国の貿易戦争が現実のものになろうとしています。すでに単なる貿易赤字の問題ではなく、両国の覇権争いという側面が強くなっていると思いますが、米中の摩擦は今後どのように推移していくと考えていますか。

小原雅博教授(以下、小原):国際政治を見ていく上で重要なのが国家間のパワーの均衡です。国のパワー、つまり現在の国家間の関係を象徴するのが経済です。北朝鮮情勢が動いていることで核兵器の問題があらためてクローズアップされていますが、現在、核戦争を起こすことは事実上できず、核兵器は使えない武器になっています。核を保有しているから国として強いという話ではなくなっているのです。そのため経済を中心としたパワーゲームが行われています。

 米国、中国、日本という経済で世界1位から3位の国はいずれも東アジアに位置するか深い関係があります。今、この3カ国間の相対的なパワーの変化が急激に起きており、そのことが貿易戦争に象徴される米中の摩擦の背景にあります。日本は国のパワーの源となる人口が減少しています。中国もいずれ人口減少に直面しますが、それでも約14億という人口を抱えており、中産階級はまだしばらく増加しそうです。米国は移民の国であり、人口は今後も増加しますが、イラク戦争や世界金融危機を経てパワーが落ちてきているのは確かです。

小原雅博(こはら・まさひろ)氏
東京大学大学院法学政治学研究科教授。1980年、東京大学文学部を卒業し、外務省入省。アジア局地域政策課長や経済協力局無償資金協力課長などを経て、アジア大洋州局参事官、同審議官、在シドニー総領事、在上海総領事を歴任し、2015年より現職。著書に、『東アジア共同体-強大化する中国と日本の戦略』(日本経済新聞社、2005年)、『「境界国家」論―日本は国家存亡の危機を乗り越えられるか?』(時事通信出版局、2012年)などがある。(写真:竹井 俊晴)

 米国は中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)に対して、米製品の供給を止めるという厳しい措置を取りました。これは安全保障上の問題であるとともに、次世代の経済繁栄の源を巡る争いでもあります。ZTEが関係している通信のほかロボットや人工知能(AI)、スーパーコンピューター、宇宙などの分野でどれだけ覇権を握れるかという戦いです。米国は現在、先頭を走っていますが、中国がその差を埋めてきています。

 これは突き詰めていくと、中国の国家資本主義モデルはイノベーションを起こせるのかという問題に行き着きます。すなわち「中国製造2025」に象徴される、国が主導してリソースを集中投下し、技術的な覇権を奪い取るということが将来、起こり得るのかということです。

コメント16件コメント/レビュー

人類の歴史を冷静に眺めれば、「人道と人権は人類普遍の価値」というのも、証明された真実ではなく、一種の「そうであるに違いない」という信仰、あるいは「そうであってほしい」という願望だったのでしょうし、「自由と民主主義をだれもが欲しがる(とりわけ経済成長したあとは)」というのも思い込みであったかも知れないという、残酷な事実を受け入れる覚悟が必要なんですね。(2018/07/08 10:22)

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「勢力均衡崩れれば中国は聞く耳を持たなくなる」の著者

小平 和良

小平 和良(こだいら・かずよし)

日経ビジネス上海支局長

大学卒業後、通信社などでの勤務を経て2000年に日経BP社入社。自動車業界や金融業界を担当した後、2006年に日本経済新聞社消費産業部に出向。2009年に日経BP社に復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

人類の歴史を冷静に眺めれば、「人道と人権は人類普遍の価値」というのも、証明された真実ではなく、一種の「そうであるに違いない」という信仰、あるいは「そうであってほしい」という願望だったのでしょうし、「自由と民主主義をだれもが欲しがる(とりわけ経済成長したあとは)」というのも思い込みであったかも知れないという、残酷な事実を受け入れる覚悟が必要なんですね。(2018/07/08 10:22)

共産党独裁の中国でも、経済発展して国民所得が上がれば国内政治も民主化が進むという西側先進国の期待は『妄想』に終わった様に見える。少なくとも、習近平がトップに居座り続ける中国の民主化はあり得ない。トランプの今回のやり方は乱暴であるが、今まで先進国が中国に一方的に与え続けてきた特恵を見直す必要は十二分にある。トランプの自由貿易に反するかのような動きに、習近平は中国が恰も『自由貿易推進の旗手』の如く振る舞っているが、現状の中国経済は先進国のそれと比べたら天と地ほどの開きがある。例えば自動車産業は、中国においては中国企業との合弁でしか許可されない。この仕組で、少なくとも中国で生産、販売する車の設計から、部品、生産に関わるすべての情報はパートナー企業にタダで流れる。品質管理についても同様で、日本や欧米の高いレベルの品質管理の方法も手にした中国は、世界トップレベルの品質を維持出来るようになった。GDP世界第二位の日本をあっという間に抜き去り、今や日本の倍以上の規模に膨れ上がった実力を考慮すれば、関税云々よりも、先ずは中国での経済の自由化推進を期限付きでコミットさせることだ。遅くとも著作権などのソフトのエリアも含めて、10年以内には現在の先進諸国と対等の内容にすべきだ。その意味に於いて米国のTPP離脱は、中国の特恵状況を改めさせる絶好の機会をトランプが自分の手で葬ってしまった最悪手だった。彼の手法は『不動産屋』で10年20年先を読まなければいけない政治には不向きなのだが、彼を選んだのは米国民で彼らの罪は重い。中国は自身を『発展途上国』と言ったり、『大国』と表現したり、場面で都合の良い方を選んで使い分けている。こんな子供だましの誤魔化しは、今止めさせないと、米国も含めた世界中が独裁中国の下風に立たなくてはいけなくなる。話は脇道に逸れるが、南アジアの『大国』であるインドの経済発展を助けて、中国に対する勢力の一端を受け持ってもらうことも非常に重要になる。(2018/07/07 17:15)

 日本にとって都合の悪い将来も果敢に説く、よい記事だった。
 「中国のような国はいずれ崩壊する」「最後はアメリカがやっつけてくれる」などという脳内お花畑な人々が否定的なコメントを投げるだろうが、彼らの考えが20年来実現しないところを見ると、やはりただの希望的観測に過ぎず、重んじるには足りないと思う。

 まさに内憂外患、内にあっては国力低下にあえぎ、外にあっては厳しさを増す国際環境に直面する日本にとって、必要なのはダメージコントロールだ。
 そのためには、必要とあれば敵とも手を組む、そして組むには組むが国益を必要以上には削らせない胆力や柔軟性がなければならないのだ。
 大国が普通にやっていることを、そしてこれまで日本はせずに済ませてきたことを、いよいよ日本も手がけなければならなくなったということだ。(2018/07/07 09:32)

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