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ミドリムシには、宅急便と同じロマンがある

ユーグレナ出雲社長を救った小倉イズム(後編)

2017年9月21日(木)

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 宅急便の生みの親にして、戦後有数の名経営者・小倉昌男氏。彼の自著『小倉昌男 経営学』は、今なお多くの経営者に読み継がれている。

 ヤマトグループは小倉氏が去った後も、氏の経営哲学を大切に守り、歴代トップが経営に当たってきた。日経ビジネス編集部では今年7月、小倉氏「以降」のヤマト経営陣が、カリスマの経営哲学をどのように咀嚼し、そして自身の経営に生かしてきたのかを、1冊の書籍『ヤマト正伝 小倉昌男が遺したもの』にまとめた。

 本連載では、ヤマトグループとは関係のない外部の経営者たちが、小倉昌男氏の生き様や経営哲学にどのような影響を受けてきたのかを解き明かす。『小倉昌男 経営学』の出版から約18年。小倉氏の思いは、どのように「社外」の経営者たちに伝わり、そして日本の経済界を変えてきたのだろうか――。

発売から約18年経った今も長く読み続けられている『小倉昌男 経営学』
2017年夏に出版した、小倉氏“以降”の経営者たちの物語『ヤマト正伝 小倉昌男が遺したもの』

 ミドリムシ(学名はユーグレナ)を活用した食品や化粧品の販売、バイオ燃料の研究などを手掛けるバイオテクノロジーベンチャー、ユーグレナ。同社を率いる出雲充社長は、経営危機に直面した時に『小倉昌男 経営学』を知り、それ以降、繰り返し読み返しているという。本書をどのように読み返してきたのかについては、インタビュー前編「フェイスブック、アマゾンと宅急便に共通点?」で明かした。今の出雲社長の中に強く響く小倉イズムは何か。

出雲 充(いずも・みつる)
1980年生まれ。2002年東京大学農学部農業構造経営学卒業後、東京三菱銀行に入行。銀行員として働きながら、ミドリムシの研究を続け、2005年にユーグレナを設立。2012年に東京証券取引所市場マザーズに上場し、それから2年後の2014年に東京証券取引所第一部に市場変更。伊藤忠商事やJXエネルギー、ANAホールディングスなどの大企業と提携し、注目を集めている(撮影/的野 弘路、ほかも同じ)

「生き残り第一」と「安全第一」

小倉昌男さんは、長い経営者人生の中でいくつもの名フレーズを残しています。「サービスが先、利益は後」「安全第一、営業第二」「全員経営」などはその代表格でしょう。出雲社長にとって、小倉さんの言葉やそのエピソードで、最も印象に残っているものは何でしょう。

出雲社長(以下、出雲):一つだけ選ぶのはとても大変ですね。ただ、最近改めて感じ入ったのが、小倉さんが残した「安全第一、営業第二」という言葉です。

 小倉さんは若い頃、静岡の関連会社に出向します。なぜ事故が続くのか、その原因を探るために他社に視察に行くと、その会社には壁いっぱいに「安全第一、能率第二」と書かれた大きな紙が張ってあったというエピソードがあります。

 現場が仕事をする時、何を大切にすればいいのか。普通の経営者は「安全」「営業」「顧客満足」などの様々な要素について、「どれも大切だ」と言いがちです。けれど「何でも第一」と伝えている限りは、結局何も浸透しない。そこで小倉さんは、現場に「安全第一、営業第二」とメッセージを打ち出すようにしたわけです。何よりも大切なのは「安全」であってそれを超えるものはないと、優先順位を明確にしたのです。私はそのエピソードを何度も自分の中で反芻しました。

 当社は今、急速に成長しています。売上高は5年前の15億円と比べると、現在は150億円になりました。社員数もほぼ10倍。売り上げも、社員数も、そして取り扱うミドリムシの量も、この5年で10倍になったのです。

 販売量が増えれば、多様な複雑な問題にも直面します。これまでであればカバーできていたような小さなミスや事故が、決して無視することのできないリスクとなっていく。そんな時に、私たちは何を優先すべきなのか。私自身も社長として「最も大切にするのは何か」を明確に打ち出さなくてはならないタイミングを迎えていました。

 そもそも創業当初は非常に経営が苦しかったし、小さなベンチャー企業でしたから、正直、日々生き残ることに精一杯でした。「生き残り第一」であり「安全第一」だったわけです。

「私の中の小倉昌男」の目次

オススメ情報

「ミドリムシには、宅急便と同じロマンがある」の著者

永井 隆

永井 隆(ながい・たかし)

ジャーナリスト

新聞記者を経て1992年からフリーとして独立。著書に『サントリー対キリン』(日本経済新聞出版社)、『人事と出世の方程式』(同)、『国産エコ技術の突破力!』(技術評論社)など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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