• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

セゾンは実体よりもイメージの方が過剰だった

社会学者の上野千鶴子が語るセゾングループと堤清二(前編)

  • 日経ビジネス編集部

バックナンバー

[1/4ページ]

2018年11月8日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 無印良品、ファミリーマート、パルコ、西武百貨店、西友、ロフト、そして外食チェーンの吉野家--。堤清二氏が一代でつくり上げた「セゾングループ」という企業集団を構成していたこれらの企業は、今なお色あせることはない。

 日本人の生活意識や買い物スタイルが大きな転換期を迎える今、改めて堤氏とセゾングループがかつて目指していた地平や、彼らが放っていた独特のエネルギーを知ることは、未来の日本と生活のあり方を考える上で、大きなヒントとなるはずだ。そんな思いを込めて2018年9月に発売されたのが『セゾン 堤清二が見た未来』だ。

 本連載では、堤氏と彼の生み出したセゾングループが、日本の小売業、サービス業、情報産業、さらには幅広い文化活動に与えた影響について、当時を知る歴史の「証人」たちに語ってもらう。

 連載第8回目に登場するのは、社会学者の上野千鶴子氏。1970年代から1980年代にかけて、消費関連の業種として日本を代表する企業集団に成長したセゾングループ。その躍進の背景には、日本社会の構造的な変化があった。セゾングループはなぜ急成長できたのか。社会学者の上野千鶴子氏が、日本の消費社会でセゾングループと堤清二が果たした役割などについて語った。(今回はその前編)

社会学者の上野千鶴子氏(写真/陶山 透)

上野さんは1991年に出版されたセゾングループ社史の企画に参加しました。全6巻からなるグループ史のうち、『セゾンの発想』の中で「イメージの市場—大衆社会の『神殿』とその危機」という論文を書かれています。どんな経緯で執筆を引き受けたのですか。

上野千鶴子氏(以下、上野):そもそも「社史を市販本として売る」ということが画期的だったと思います。普通、社史は非売品ですよね。実現した背景には、グループ内にリブロポートなど出版事業を持っていたこともあります。

 しかも社外の編集グループを立てて、社外の執筆者に書かせました。広く一般にも売れる本をつくろうとしたわけです。セゾンの軌跡を外部の目によって分析させることを狙った『セゾンの発想』では、私のほか、文芸評論家の三浦雅士さんなどが執筆しています。

 私は当時、オファーをお引き受けするに当たって条件を2つ出しました。

 1つは財務も含めて、情報は隠し立てせずに提供し、取材もさせてもらいたいということ。2つ目は書いたものについて、検閲を一切しないでほしいということ。堤さんは、この2つの条件を認めてくださいました。

 ちなみに当時、セゾングループの社員として社史編纂を担当していたのが、作家の車谷長吉さんでした。既に小説を書いていた車谷さんは、誰かの仲介で堤清二さんに会う機会があって、堤さんがグループに招き入れて、社史編纂の仕事を任せたようです。

 私が社史執筆の取材のため、オープンしたばかりの「(セゾングループが手がけた、グンゼの工場跡地を再開発したショッピングセンターの)つかしんに行きたい」とか西武百貨店の八尾店や有楽町店を訪問したいと言うと、全部段取りをして、アテンドしてくださったのが車谷さんでした。

 車谷さんがその後、直木賞作家になるとはその時は夢にも思いませんでした。作家志望の売れない文学青年だと思っていました。

上野さんは『セゾンの発想』の中で主にマーケティング戦略について執筆されています。

上野:私のところにはマーケティングについて書くよう依頼が来たんです。

 裏話をすると、私が一番興味があったのは、1970年代から1980年代にかけてのセゾングループの人事政策でした。当時、女性の職場進出に併せて「女の時代」を世の中に印象付けて、あおったのはセゾングループです。今日で言う「多様な働き方」の先鞭をつけていました。

 百貨店や小売業は業界としても比較的、女性の活用では先駆的でした。製造業などはもっと遅いですから。だから私はセゾングループで人事管理政策の研究をしたかったのです。

それほど西武百貨店の人事施策は画期的だったのでしょうか。

上野:百貨店業界はずっと、女性を雇うと言いながら、高卒の女性ばかりを採用してきました。基本、男性は大卒、女性は高卒。男性を管理職にして、女性を売り子にして、という考え方です。しかも女性はみんな、結婚をしたら退職することが前提でした。

 そんな時代が長く続いていたところに、西武百貨店は1970年代に「ショップマスター制度」をつくりました。現場を一番よく知る人がトップになればいいんだという考え方で、高卒の女性社員も職場のリーダーとして取り立てていったのです。大卒の女性社員を積極的に採用し始めました。

 もう一つ、セゾングループがいち早く取り組んだのが、再雇用制度です。女性社員が一度、出産のために退職をしても、元のポジションに戻れる仕組みですね。

 当時、1970年代から1980年代にかけて、購買力と自立心のある「強い女性」が登場する中で、百貨店はそうした女性の顧客の気持ちの分かる売り手を現場に配置しようと考えました。顧客とのインターフェースの現場での女性の戦力化を、積極的にやっていたんです。伊勢丹のサムタイマー制度などもそのひとつです。1985年に男女雇用機会均等法が成立しますが、百貨店の動きは、時代の流れを先取りしていたと言えますね。

「『セゾン 堤清二が見た未来』外伝」の目次

オススメ情報

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

本当か嘘か、定かではありませんが、宴会が 日本で一番多い会社といわれているようです。

足立 正之 堀場製作所社長