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ITの新語と略語を見たら眉に唾を付けよう

2018年1月18日(木)

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 欧米で生まれた技術を日本に持ち込む際、厄介なのは言葉である。新語が登場した際、日本語に訳すのか、英語のまま取り入れるのか、片仮名で書くのか、あるいは英語表記の頭文字をとった略語を使うのか。

 日本語のほうが頭に入りやすいが本来の意味をきちんと伝える訳語を探すのはなかなか難しい。下手をすると間違った意味になってしまう。英語ないし片仮名を使えば翻訳の手間が省けるが分かりにくくなり文が長くなる。といって略語にすると呪文のようだ。

 片仮名の新語や略語の乱用が酷いのはIT(情報技術)関連ではないだろうか。次々に新語や略語が登場する。ITの世界は変化が激しいとされており、それは半分正しいが半分正しくない。これまで無かった技術や事象が登場することが確かにある一方、数10年前に流行った言葉を言い換えたり、そのまま使ったりする場合もある。ITの新語と略語を見たら「本当に新しい話なのか」と眉に唾を付けて読む必要がある。

新語と略語が百花繚乱

 1月8日の日本経済新聞をめくってみたところ、「テック社会」を論じた社説があり、「人工知能(AI)」「ビッグデータ」「一般データ保護規則(GDPR)」「IT」といった言葉が使われていた。

 このうちGDPRはEUの情報保護規制を指す固有名詞だが、それ以外は抽象的な一般名詞であり何を指しているのかは前後の記述によって判断しないといけない。「テック社会」は日経の造語、AI、ビッグデータ、ITも造語だがそれなりに広く使われているという違いがある。昨今の新聞を読むとAIはITより頻繁に登場している気がするが、30年近くコンピュータ関連の記事を書いてきた筆者の記憶によればAIという言葉はITより古くから使われていた。

 専門誌になると新語と略語が百花繚乱の状態である。日経コンピュータ誌は1月4日号に特集記事『新春大予測 20の技術が変える未来』を掲載したが、20のうち12件に略語が絡む。列挙してみよう。「RPA」「AI」「LPWA」「VR」「API管理」「PaaSとプライベートクラウド」「農業×IT」「IoTセキュリティ」「DWH用DB」「FinTech」「教育×IT」「IoT型センサーシステム」。

 さすがにこれだけではよく分からないので、日経コンピュータ誌は「職場の人手不足が解消(RPA)」「毎週、管理職の送別会(AI)」といったように、各技術の利用がもたらす結果や効果を日本語で記述する工夫をしていた。

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「ITの新語と略語を見たら眉に唾を付けよう」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BP総研

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者。2009年1月から編集長。2015年から日経BP総研 上席研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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