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再び実感「日本の中高生はやはり凄い」

エネルギーのプロたちのプロボノ奮戦記

2018年4月13日(金)

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燃料調達業務が始まった

 ゲームを通じて燃料調達業務に挑んだ中高生たちに、JERAのエネルギープロフェッショナルが業務について事前説明した。

 当日の進行を仕切ったのは、天然パーマの「ズーマ」こと、廣兼一真氏。中部電力出身のズーマは早朝、愛知県を出て新幹線で東京に来ると、総合司会の大役を見事かつユーモラスに務めた。

 まずはエネルギー事情の解説から。ズーマは中高生に語りかける。

 「エネルギーって聞いたら何を思い出すかな。ドラゴンボールの元気玉だね。日本でエネルギーのために使われる燃料の94%が海外からやってくる。6%しか自給できない」

 日本が資源国ではないと知っていた中高生たちも「6%」と聞いてお互い顔を見合わせる。

 「天然ガスはマイナス162度に冷やすと体積が600分の1の液体になる。そうすると運びやすい。なぜLNGを使うのか。環境に優しい。そして安定して生産されるから」

 妙な形をした船がプロジェクターに映し出された。

 「この『さやえんどう型の船』はLNG運搬船。皆さんが今いる35階建てのビルを倒したよりも大きい。この船1隻に満載した燃料がどのくらい持つのかというと、実は日本なら1日で使いきってしまう。だから運搬船は世界中を行き来している。この形の船を港かどこかで見かけたら大切に思ってね」

 中高生は段々、ズーマの説明に引き込まれていく。

ポートフォリオを中高生に説明する

 「10年後の2026年、その時の日本のために、最も安くLNGを調達してください」

 ズーマから中高生に当日の任務が伝えられた。

 LNGの調達とは産出国と契約を結ぶこと。契約期間、価格、契約後の購入数量の変更可否などを決める。

 価格の決め方は色々ある。石油価格連動、北米ガス連動、欧州ガス価格連動、市場取引(需要と供給のバランス)など。いわゆるカントリーリスクは価格に関わる重要な要素だ。

 聞いていると大人にとってもかなり難しい話だ。だが、ズーマは次々と身近な例を繰り出し、中高生たちに理解させていく。

 「ものの値段はどう決まるのかな。コーラの値段はどう決めたらよいだろう。サイダーがいくらか知って『このくらいじゃないか』と決める方法がある。コーラを作るのにかかったお金を合算して、利益を上乗せしてみる方法もある」

 同じように、石油の代替物と考えてLNGの値段を算出する石油価格連動型もあれば、日本にガスが到着するまでのコストを積み上げて算出するガス価格連動型もある。かつてはどれも同じような価格だったが、今は欧州・米国・アジアの各地域の間で差がある。米国シェールガスの登場、石油価格の下落といったことが影響している。

 「ポートフォリオ」についてのズーマの説明は秀逸だった。

 「卵をバスケットに入れるとしよう。大きなバスケットに全部入れたら転んだときに全部割れてしまうよね。だから小さいバスケットに小分けにしておく。そうすれば転んでも全部が割れることはない」

 「モザンビーク長期とか豪州長期とか、契約パターンのカードがみんなの手元にあります。裏側に調達国の説明が書いてある。よく見てごらん。カタールってどこにあって、どんな国かわかるかな」

 張り出されていたものの、それまで壁の模様でしかなかった「世界LNG調達マップ」に生徒たちの好奇の視線が向く。

 UQTに加え、DQT(Downward Quantity Tolerance)の説明もあった。オプション取引のことまで教えて果たして中高生が消化できるのだろうか、と思ったが、それから1時間後、会場では「UQT」「DQT」という言葉が飛び交った。

わからなくてもやってみよう

 「なんとなくわかったかな。それではやってみよう」

 ここまでの説明だけで、もう「業務開始」。通常の授業なら「わかってから」やってみる。でも、この場は「わからなくても」やってみる。わからないことがあれば、まわりの人と話し、わかるようにする。それは自分でやること。学校とビジネスの違いはそこにある。

 少しでも安く燃料を調達し、日本の生活者に電気を安定提供しようと、中高生の燃料調達ゲームが始まった。

 生徒たちが燃料調達の検討を始めると、付き添いの先生たちが「世界LNG調達マップ」の前に近づいていく。燃料調達の重要性を知るにつれ興味を持ってきたらしい。

 写真にとる先生がいれば、地図を指さし、プロボノメンバーに熱心に質問をする先生も出てきた。先生方もエネルギーについて、いつもと違う発見をしたようだ。

 教育プログラムとして刺激を受け、次のような感想を述べた先生がいた。

 「自分は地理を教えているが、GDPの成長率を考えさせたり、未来のことを予測させたり、普段教えている地政学的な問題がこんな風に使われるなんて。学校ではなかなかできない」

 中高生と社会人の交流も学校ではなかなかできない。ある先生は次のように指摘した。

 「実社会の問題に対し、社会人が混じって取り組むと、生徒たちが大きくストレッチしますね」

燃料調達業務開始!

 10年後の日本のために最適な調達計画を作り、契約する。最初にする仕事は10年後の需要予測だ。

 日本の電力需要を人口推移や省エネ動向などから洞察する。さらに経済の動向や「トランプ政権は日本の経済にどういう影響を与えるのか」といったことも考える。不確実要素がこんなにも多いとは。

 需要予測の結果は各グループのテーブルごとに置かれたパソコンの表計算画面に打ち込まれる。

コメント15件コメント/レビュー

凄いに同化してしまい自分もすごい気分になってしまう、同調化タイプの人ですかね。(2018/05/17 15:30)

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「再び実感「日本の中高生はやはり凄い」」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BP総研

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者。2009年1月から編集長。2015年から日経BP総研 上席研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

凄いに同化してしまい自分もすごい気分になってしまう、同調化タイプの人ですかね。(2018/05/17 15:30)

中高生が凄いというのは、当たり前の条件と想定から自分達の計画を導き出すからでしょう。
実際の現場では、過去からのしがらみや人事評価など中高生にはない条件が沢山あるので、当然出来上がった計画は中高生の計画よりも納得し難いものになっていて不思議ではない。ただこの不思議ではないという大人の計画が当然と思って仕事を続けている組織に方がもっと大きな案件でしょう。小学生や大学生に同じ事をさせても結果は余り変わらないと思います。(2018/05/17 11:50)

このプロジェクトに参加できる選ばれし高校生がうらやましい。同世代の9割以上はここに参加できないのでは?

記事自体は素晴らしいが、ここだけで日本の高校生のレベルすごいと賞賛しては社会全体見れていない証左だと思う。(2018/05/16 23:26)

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