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中国・誘拐から26年後に見つかった息子の悲劇

高等裁判所の親子関係鑑定ミスが狂わせた家族の運命

2018年7月20日(金)

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可愛い息子を授かり、一家は明るい未来を歩むはずだった(写真はイメージ)。

 今年52歳の“朱暁娟(しゅぎょうえん)”の人生は、1992年の事件を境として、前半の26年間と後半の26年間で明暗を分けることになった。彼女は1966年に重慶市(当時は四川省重慶市)で最大の繁華街“解放碑”に生まれ育った。前半26年間は順風満帆で何の憂いもなかった。“重慶医科大学”を卒業した朱暁娟は、儲かっている国有企業の医院で看護士になった。その後、知り合った軍の将校“程小平”と結婚した朱暁娟は、解放碑に所在する“重慶警備区”の家族宿舎へ入居し、2人の間には男の子が誕生した。可愛い息子を得て、朱暁娟は最愛の夫と共に歩む明るい未来を夢見ていた。

 ところが、後半の26年間で朱暁娟の人生は絶えず運命に翻弄され続けたのだった。1992年6月3日、夫の程小平が近くにある“労務市場(労働市場)”から1人の“保母(家政婦)”を連れ帰った。程小平は頻繁に出張していたので、朱暁娟が1歳3カ月の息子“盼盼(はんはん)”を育てるのを手伝わせるために家政婦を雇ったのだった。身分証によれば、痩せて小柄な家政婦の名前は“羅選菊”、年齢は18歳で、実家の住所は四川省“忠県”(現在は重慶市忠県)であった。羅選菊は朱暁娟の家に住み込みで家政婦として働くことになった。

 羅選菊が住み込みで働き始めて7日目の6月10日、羅選菊が早朝8時頃に息子の盼盼を抱いて外出した。早朝に赤ん坊を抱いて出て行くのをいぶかしがった家族宿舎の守衛が、どこへ行くのかと羅選菊に声を掛けたところ、羅選菊は野菜を買いに行くと答えたというが、それを最後に羅選菊と盼盼の行方はようとして知れなかった。

 大事な息子を羅選菊に連れ去られたことは、程小平と朱暁娟の夫婦にとって衝撃の出来事だった。程小平が得体の知れない家政婦を連れて来たから、こんな不幸な出来事が出来(しゅったい)したのだと、朱暁娟は程小平をどれほど責めたか分からないが、責めたところで連れ去られた盼盼は戻ってこない。悲しみに打ちひしがれた夫婦は盼盼を何としても探しだそうと決意した。

 程小平・朱暁娟夫婦が最初にしたことは、羅選菊の身分証に記載されていた住所である四川省忠県へ赴き、彼女の実家を捜し出すことだった。やっとの思いで実家を探し当て、家族に羅選菊の消息を尋ねると、彼女は数年前に故郷を離れ、山東省の“寧津県”へ行ったという。そこで、朱暁娟夫婦は急いで山東省寧津県へ向かって羅選菊の居場所を訪ねたが、眼前に現れた羅選菊はあの息子を連れ去った家政婦とは似ても似つかない人物だった。この時、朱暁娟は、「あの家政婦は最初から私たち夫婦を騙すつもりで身分を偽って家に入ったのだ」とようやく気付いたのだった。その時から、朱暁娟夫婦の息子探しの旅が始まった。

コメント8件コメント/レビュー

外国人に介護してもらおうとか都合のよいことを考えている日本人にとっても、まったく、他人事ではありませんね。
見ず知らずの外国人を金持ってて動けない高齢者の家に招き入れてごらんなさい。
強盗して逃げてくれと言ってるようなもの。(2018/07/23 08:38)

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「中国・誘拐から26年後に見つかった息子の悲劇」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

外国人に介護してもらおうとか都合のよいことを考えている日本人にとっても、まったく、他人事ではありませんね。
見ず知らずの外国人を金持ってて動けない高齢者の家に招き入れてごらんなさい。
強盗して逃げてくれと言ってるようなもの。(2018/07/23 08:38)

あぁ、中国だなあ、と思ったポイントがいくつもある。順に列挙してみる。

(1)夫が得体の知れない家政婦を連れて来たせいだと妻が責め、後に離婚。→そんなのを雇った自分の責任には思い至らないのだろうか?
(2)手厚い待遇を受けていた都市家庭が、親類縁者や友人の支援を頼るまでに落ちぶれた。→親類縁者や友人に頼れるのは強い。福祉に代わるセーフティネットか?でも全然羨ましくない。
(3)新たな子供を授かるには、地元の風習に従えば、どこかから子供を連れてくることが必要だった。→こんな風習は、儒教というよりもっと古い、道教の流れのような気がする。すごく原始的だ。
(4)物心つく頃から誰にも構ってもらえず、栄養も足りなければ、教育もろくに受けさせてもらえず、→犬猫でさえ3日も一緒なら情が移るのが人間だと思っていた。中国の農村という厳しい生活の中では、どうやらそうでもないらしい。
(5)「他人の子供を育てるのも“養(育てる)”であり、自分の子供を育てるのも“養”である」→中国の役人というのは、科挙の時代から机上の原則論らしきものを振り回して偉そうに民を諭すのが仕事だと思っているのだろう。
(6)「他人の子供でも自分の子供と同じことで、“養老送終(死ぬまで老後の面倒を見てもらう)”ことは可能ではないか」→子供というのを老後の生活手段としか見てないのがよく分かる。(2018/07/21 14:48)

中国って、唐代あたりの奇譚集の世界がずーっと続いているみたいだ(2018/07/20 14:44)

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