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中国の化学物質流出、漁業、製塩業に大打撃

風評被害で「売れない魚は他所で売れ」

2018年11月16日(金)

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流出事故の影響で52人が体調不良を訴え、10人が入院して治療を受けた。

 福建省の東南沿海に位置する“泉州市”は、中国の“海上絲綢之路(海上シルクロード)”の起点であり、元朝時代の13世紀に中国を訪れた、『東方見聞録』で知られるヴェネツィア商人のマルコ・ポーロは、泉州の港を「世界一の大港」と称賛したと言われている。“泉港区”は泉州市の東北部にあり、湄洲湾(びしゅうわん)に面した天然の良港に恵まれていたが、最近は福建省の石油化学工業を牽引する石油化学地区として知られるようになっている。泉港区の面積は360km2であるから、東京23区の面積(621km2)の約58%に相当するが、そこには36万人の住民が暮らしている。

 さて、2018年11月4日、その泉港区の“環境保護局”は、『東港石油化学の“碳九”流出事故の処置に関する状況通報』と題する文章を発表した。その内容は以下の通り。

【1】2018年11月4日午前1時14分、“福建東港石油化工実業有限公司”(以下「東港石化」)で“碳九”の船積みを行っていた“寧波市”の輸送船「天桐1号」と埠頭の接続ホースの連結部分で流出が発生し、流出した“碳九”の総量は6.97トンにも及んだ。通報を受けた後、我が区は直ちに突発性環境事故の対応策を発動し、現場の処置、群衆への対応、海洋の影響、事故の調査などを行うチームを組織し、迅速に応急措置作業を展開した。

【2】4日午後6時までに延べ100艘以上の船舶、延べ600人以上の人員を出動させ、かき集めた600袋近い“油毯(油吸着マット)”で“碳九”の吸着回収を行い、“碳九”の流出海域における“碳九”除去作業を基本的に完了させた。大気中の揮発性有機化合物(VOCs)濃度は午後6時には0.429mg/m3まで低下した(4.0mg/m3以下が安全値)。

【3】同時に、事故の調査作業を全面的に展開し、水質、海産物に対するサンプル測定を専門機関に委託し、各関係部門には各自の職能に応じて全力を尽くしてもらい、法規に照らして事故を穏便に処理することに専念した。

 ところで、上記の状況報告の中で流出したとされた“碳九”とは何なのか。“碳九”とは、石油製品の一種である「C9芳香族炭化水素」(以下「C9」)の略称で、接着剤、印刷用インク、塗料などの原料として使われるものらしい。残念ながら門外漢の筆者にはよく分からないが、日刊紙「科技日報」が引用した“中国科学院福建物質構造研究所”研究員の“呉立新”の説明によれば、C9は人間が吸い込んでも中毒になることは少ないが、C9に汚染された動植物や海産物を食べると、中毒やがんを引き起こす危険性があるという。

 上述の『状況通報』によれば、6.97トンものC9を泉州市と泉港区の当局は11月4日の午後6時までに吸着回収を基本的に完了させ、大気中のVOCs濃度も安全値を遥かに下回る0.429mg/m3まで低下させたという。しかし、600袋程度の油吸着マットでは、流出した6.97トンものC9を「除去作業を完了させた」と言い切れるほどに回収できるはずはないから、曖昧な「基本的に」を加えてごまかしたものと思われる。

コメント12件コメント/レビュー

まあ、中国製の希土類金属がグローバル市場で圧倒的は支配力を持っているのも、この記事で指摘されているような国民性(国の方針)によるものですからね。

よく、希土類元素が「中国にしか存在しない」かのような報道がされていることが多いですが、その多くは他の国でも採掘は可能です。ただ中国以外の国では製品にするまでにコストがかかり過ぎ、中国製品に対して価格競争力がなくなってしまうだけです。

そのコストとは、希土類元素を製品に加工(主に精製)する過程で、非常に危険な猛毒廃棄物が発生するのですが、これの無害化処理にかかるものです。
この処理を中国では大幅に省ける(あるいは簡略化できる)のですね。

当然、廃棄物の毒性は諸外国と比べて非常に高い状態で残り、実際に中国国内での環境破壊が起きている訳ですが、それよりも儲けが大事、と言うことでしょう。
少し前まで、中国が全世界からゴミを資源として買い漁っていたのも同じ理由ですね。

ですから、この程度のことは中国では何でもない「よくあること」なんでしょう。
これも、他のコラムで紹介されていた「量」と「スジ」なんでしょうかね。(2018/11/19 14:15)

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「中国の化学物質流出、漁業、製塩業に大打撃」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

まあ、中国製の希土類金属がグローバル市場で圧倒的は支配力を持っているのも、この記事で指摘されているような国民性(国の方針)によるものですからね。

よく、希土類元素が「中国にしか存在しない」かのような報道がされていることが多いですが、その多くは他の国でも採掘は可能です。ただ中国以外の国では製品にするまでにコストがかかり過ぎ、中国製品に対して価格競争力がなくなってしまうだけです。

そのコストとは、希土類元素を製品に加工(主に精製)する過程で、非常に危険な猛毒廃棄物が発生するのですが、これの無害化処理にかかるものです。
この処理を中国では大幅に省ける(あるいは簡略化できる)のですね。

当然、廃棄物の毒性は諸外国と比べて非常に高い状態で残り、実際に中国国内での環境破壊が起きている訳ですが、それよりも儲けが大事、と言うことでしょう。
少し前まで、中国が全世界からゴミを資源として買い漁っていたのも同じ理由ですね。

ですから、この程度のことは中国では何でもない「よくあること」なんでしょう。
これも、他のコラムで紹介されていた「量」と「スジ」なんでしょうかね。(2018/11/19 14:15)

中国の経済発展の効率の素晴らしさを賛美する連中は、こういう社会でこそ成り立っている効率の良さを実現したいのか?
それなら安全な日本の空気を吸って水を飲んでないで、素晴らしい中国の空気や水の中でくらせばよい。いいところだけつまみ食いしようというのは自分勝手な言い草だろう。


「児孫の為に美田を買わず」というのは西郷隆盛の言葉だが、中国では「児孫の為の美田も残らず」になっている。
経済発展の果てに残るのは人の住めない広大な土地というのは一つの喜劇だ。(2018/11/19 00:57)

以前から言われていることと思うが、中国の河川や沿海での水質汚染は、海流によって日本沿海にまで達する。また、日本海や太平洋の汚染に通じる。よって、中国の水質汚染は中国だけの問題ではない。近年騒がれているマイクロプラスチックの海洋汚染問題が良い例である。また、冬になると報道される中国の大気汚染もしかり。
大げさな言い方かもしれないが、早くこの中国という地球に巣くっている癌細胞的国家をどうにかしないと中国以外の人類にとって大いなる災いとなること間違いなしである。いや、もう災いそのものかも。(2018/11/17 08:53)

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