• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

5歳の娘の白血病を利用した“蓄財事件”の顛末

娘の回復を祈る父親の姿に人々は涙したが…

2016年12月16日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 11月25日、中国版メッセンジャーアプリ“微信”の“公衆平台(公式アカウント)”に『“羅一笑, 你給我站住(羅一笑、君は私のために立ち止まって)”』と題する文章が掲載された。この文章は広東省“深圳市”に住む“羅爾(らじ)”という名の父親が白血病を患って“深圳市児童医院”に入院している娘の“羅一笑”(5歳)に対する思いをつづったものだった。その訳文は以下の通り。なお、文中にある“笑笑”は羅一笑の愛称。中国の家庭では子供に同じ漢字を重ねた愛称を付け、愛称で呼ぶのが一般的である。

白血病の娘に対する思いを

 『羅一笑、君は私のために立ち止まって』

 11月23日午後6時、“笑笑”は再び危篤になり、集中治療室(ICU)に入った。ベッドが集中治療室へ運ばれて行く時、私は笑笑の耳元で「きっと良くなるよ」とささやいた。私はこぼれ落ちる涙をこらえることができなかった。

 妻の“文芳”は私の肩に顔を埋めて泣いた。集中治療室の費用は毎日1万元(約16万5000円)を上回るだろう。彼女は私たちがその費用を支払えないことを悲しみ、たとえその費用を支払えたとしても、笑笑の命は助からないことを悲しんだ。私はもう泣かない。何としてでも文芳を悲しみの中から引っ張り出さねばならない。

 集中治療室の扉の外にある長椅子の上で1人の父親が眠っていた。笑笑が21日の早朝に集中治療室に入った時も、その父親は長椅子の上で眠っていた。私と彼は親しくなった。意外にも、彼は湖南省“泪羅(べきら)市”出身の私と同郷人だったのだ。彼は深圳市“宝安区”でゴミ拾いをして暮らしているが、10歳で小学4年生の息子が数日前にタクシーにはねられて意識不明になり、集中治療室で治療を受けていた。彼はずっと集中治療室の外で息子の意識が回復するのを待ち続け、疲れると長椅子の上で眠り、空腹になるインスタントラーメンを食べていた。私は彼にどうして家に帰らずにここで待っているのかと尋ね、「あんたは息子に会うこともできないし、かといって何もしてやれることはないじゃないか」と言ったが、彼は息子のいない家に帰っても眠れないのだと答えた。

 笑笑の集中治療室への入院手続きを終えて、私と文芳は家に帰ったが、その時ようやく同郷人であるあの父親がどうして集中治療室の外で眠らなければならなかったのかを理解した。娘のいない家はひっそりして寒々しかった。友人が酒でも飲もうと声をかけてくれたが、私は応じなかった。家に文芳を1人残して外出することなどできなかったし、1人で読書することもはばかられた。文芳は昨夜も医院で過ごして一睡もしていなかったので、私は彼女に早く休んで欲しかったが、彼女は何度も寝返りを打って眠ることができず、私たちはため息をつくばかりであった。

コメント3件コメント/レビュー

日本でも「りたくんを救う会」なる心臓病詐欺があったばかりですので、
対岸の火事でも何でもない身につまされる事件ですね。
と言っても、詐欺ではない話でも大体3億もの大金を集めているので、
この手の話自体が疑問ではありますが。(2016/12/17 15:31)

オススメ情報

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

一覧

「5歳の娘の白血病を利用した“蓄財事件”の顛末」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日本でも「りたくんを救う会」なる心臓病詐欺があったばかりですので、
対岸の火事でも何でもない身につまされる事件ですね。
と言っても、詐欺ではない話でも大体3億もの大金を集めているので、
この手の話自体が疑問ではありますが。(2016/12/17 15:31)

うちも子どもが急性白血病で長期入院していたので、なんだかモヤモヤ感が残った記事でした。
私も都内の戸建てに住んでいますが、住宅ローンはまだまだほとんど残っていて、治療費を捻出するためにこの家を売れ、とか言われても困ってしまうでしょう。
まぁ、実際には日本の誇る高額医療費制度のおかげで、自腹ではほとんど治療費を支払わずに済んだわけですが、これだってもとを辿れば原資は税金です。
広く薄く集めた他人のお金で子供の命を救ってもらったという経験をすると、この父親のしたことを責める気にはなかなかなれませんね。
それよりも、「中国の白血病による死亡率は50%に上っている」のところにびっくりしました。
彼の国では、まだまだ白血病は死の病なのですね。(2016/12/16 20:37)

似たような話、日本でもありましたね。医療費が非常に高額になる病気を抱えたお子さんの寄付はよく見かけますが、両親がそこそこ金持ちでそれでも足りないとは思いますが、都内に庭付き一戸建てだか売却すれば医療費を払ってお釣りが来る位の資産を持っていながら売却せす何千万円もの寄付を募っていた人が。貧乏で医療費が出せないならともかく何とかなりそうな人まで寄付で賄おうとするのは違和感を覚えますね。子供を出汁に商売しようとしている様で。(2016/12/16 13:06)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

妥当な内容の商品ばかりが並んでも、 お客様は喜んでくれない。

大倉 忠司 鳥貴族社長