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もうしわけない、ボブ・ディラン

2018年6月1日(金)

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 1人の人間が、週に1度以上の頻度で原稿を書くのは、たぶん、不自然なことなのだ。

 私の場合、各方面の媒体に掲載している記事を合算すると、ひと月あたりでおよそ十数本だ。実に、2日に1本のタイミングで原稿を書いている計算になる。

 これは、異常なことだ。
 であるから、コメント欄にも、ときどき

 「何も話題が見つからないのなら、無理に書く必要はないのですよ」

 という感じの、あたたかいアドバイスが寄せられる。
 おっしゃる通りだと思う。
 私自身、書かないことに対して原稿料が発生するのであれば、ぜひそういう仕事ぶりで生計を立てたいと思っている。

 「今週は特に書きたいことがないので原稿は書きません。読者のみなさんは、真っ白な画面を眺めつつ、各自瞑想を楽しんでください」

 みたいなテキストでお茶を濁せたらどんなに素晴らしいことだろう。

 それでも締切はやってくる。
 それゆえ、私は今日もなにごとかを書かねばならない。
 こういうことが続くと、結果として、いつも愚痴ばかりを書いている始末になる。
 読み返して、つくづくいやになる。

 こういう感情を抱いている人は少なくない。
 どういうことなのかというと、世間にあふれている文章やメッセージやコンテンツが、どれもこれもネガティブであることに疲労感を覚える人たちがたくさんいるということだ。

 このあたりのことについては、ずっと昔、ある人物と言い争いをしたことがある。
 発端は、私の書いたある文章について、当時、親しく行き来していた友人が

 「人々に否定的なメッセージを与えるべきではない、とボブ・ディランが言ってたぞ」

 という感じの感想を伝えてきたことだった。
 ごく控えめな口調ではあったが、その論評は、私の痛いところを突いた。

 私は反射的に

 「そのボブ・ディラン氏ご本人から、オレは、否定的なメッセージを山ほど受け取っているぞ」

 と、言い返した。
 実際、私は、ボブ・ディランの作品を聴くと、ネガティブな気分を増幅されることが多かった。というのも、私は、もっぱらディラン氏の歌いっぷりの中にある底意地の悪さや辛辣さに大いに共感している聴き手だったからだ。

 その私の抗弁に対して、私よりはるかに音楽に詳しかったその友人が言ったのは、以下のような言葉だった。 

コメント110件コメント/レビュー

「新聞各社が、建前として両論併記を心がけていたタイプの事案について、震災以降、あからさまに自説(オピニオン)を主張するようになったことで、新聞が、起きている事象の事実としての側面(ファクト)を虚心に確認するための媒体として、信用しにくくなってしまっている傾向は否めない。」本当だ!と思いました。なんだかそれで胃が痛くなっているのかも。

どこに行けばファクトが確認できるのかが分からなくなりつつある。それで皆SNSで友達の近況報告ばかり読むようになったのかもしれませんね。友達の近況は、多少盛ってはあっても事実ではあるだろうという信頼感があるもの。

喧嘩は避けて通りたいですが、議論の場が委縮していくのは困りますね。「今日の夕ご飯なにがいい?誰も食べたいものがないなら素麺ね」とか母親が勝手に決めちゃうみたいに、議論がない時には進行方向は特定の誰かが勝手に決めてしまうものですから。(2018/06/15 12:11)

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「もうしわけない、ボブ・ディラン」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「新聞各社が、建前として両論併記を心がけていたタイプの事案について、震災以降、あからさまに自説(オピニオン)を主張するようになったことで、新聞が、起きている事象の事実としての側面(ファクト)を虚心に確認するための媒体として、信用しにくくなってしまっている傾向は否めない。」本当だ!と思いました。なんだかそれで胃が痛くなっているのかも。

どこに行けばファクトが確認できるのかが分からなくなりつつある。それで皆SNSで友達の近況報告ばかり読むようになったのかもしれませんね。友達の近況は、多少盛ってはあっても事実ではあるだろうという信頼感があるもの。

喧嘩は避けて通りたいですが、議論の場が委縮していくのは困りますね。「今日の夕ご飯なにがいい?誰も食べたいものがないなら素麺ね」とか母親が勝手に決めちゃうみたいに、議論がない時には進行方向は特定の誰かが勝手に決めてしまうものですから。(2018/06/15 12:11)

「ものを考えない,歴史から何も学ばない,良識も常識も持ち合わせない,議論の意味も知らない愚かな輩」

これって、オダジマ氏の支持派のことですか?
右から見れば、そう見えるのですが、左から見れば、逆なのでしょうね。

本当の極左から見れば、オダジマ氏はぬるいのでしょうな。

GHQ、左翼の洗脳にかかった人が、現時点で日本を動かしているということが、ここのコメント欄を見るとよくわかります。自分では常識人と思い込んでいるようですが、洗脳された常識なのですがね。(2018/06/11 11:23)

保守とか右とか左とか関係ない。

ものを考えない,歴史から何も学ばない,良識も常識も持ち合わせない,議論の意味も知らない愚かな輩が現政権を支持し,小田嶋氏のような人が鬱陶しくて仕方がないのだ。(2018/06/08 11:49)

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