• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「みんなで乗り越えた猛暑五輪」の思い出

2018年8月10日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 この2日ほど、関東地方では台風の影響なのか、久しぶりに涼しい風が吹いている。

 おかげで、半月ばかり稼働しっぱなしだったエアコンに休息を与えることができた。
 気象庁によれば、台風が通り過ぎると、また猛暑がやってくるらしい。

 私自身は、梅雨が明けてからこっち、不要不急の外出を控えているので、さほど暑い思いはしていない。

 なので、
 「暑いですね」
 と言われた時には、
 「暑いのは無駄に頑張るからですよ」
 と、心の中でそう答えることにしている。

 心の中で言うのは、口に出してそう言うとカドが立つからだ。
 頑張っている人間を揶揄してはいけない。あたりまえの話だ。
 このあたりまえのことを悟るのに、私は、60年の時日を費やさねばならなかった。バカな人生だった。
 ともあれ、頑張っていない人間にとって夏は暑くない。これは大切なポイントだ。ぜひ、今後の生き方の参考にしてほしい。

 不要不急の用事をまるごと省くと、われら凡人の人生は、たちまちのうちに色あせ、立ち行かなくなる。
 というのも、われらが楽しんでいる娯楽の多くは、不要不急の活動に伴って生じるあぶくのようなものだからだ。

 たとえばの話、不要不急の外出を控えて自室に閉じこもっている私の日常は、甲子園の高校野球とMLBの大谷翔平選手出場試合を代わる代わるに視聴することでかろうじて持ちこたえているテの、はかない営みに過ぎない。

 もし、この時期に「不要不急だから」「野外での日中の運動は危険だから」という理由で野球が中止されたら、私は水を失ったサカナのように苦しむことになるだろう。

 ということはつまり、私が不要不急の外出を自粛し、なおかつ退屈を免れるためには、高校球児の諸君が炎天下の甲子園球場で汗にまみれてくれていないとならないわけで、言い換えれば、この世界から不要不急の活動をオミットしたら、少なからぬ穀潰しが退屈のあまり不要不急の愚行に自ら身を投じるに違いないということだ。

 今回は、オリンピックの話をしようと思っていた。
 当初の目論見では、「不要不急」という線で五輪不要論を展開するつもりでいたのだが、この論点はどうやら書き起こすまでもなくスジが良くない。

 理由は、私自身がスポーツ観戦オタクだからだ。

 つい先月まではW杯三昧のサッカー漬けで、この一週間ほどは打って変わって朝から野球まみれの日常を送っている。その、余暇時間の大半をスポーツ番組視聴に費やしているテレビ端末人間が、どの口でオリンピックを「不要不急」などと言えたものだろうか。

 ただ、どうせ始まってしまったら夢中になって観戦することがわかりきっているのだとしても、そのこととは別に、わざわざ五輪を東京に呼ぶ必要がないということは、この際、明確に主張しておきたい。

 世界中のどこの都市で五輪が開催されていようが、きょうび、おもだった競技はなんらかの形でテレビ中継される。とすれば、基本的に液晶観戦者である私のような半可オタクにとって、競技がどこで行われているのかは些末な問題に過ぎない。してみると、わざわざ世界中から選手団を招いて、莫大な予算を費やしてまでご近所で開催する必要はない。

 このほか、東京で五輪を開催してほしくない理由をひとつひとつ列挙していけば、それだけで当欄のページは埋まるだろう。

 が、今回、それはしないでおく。
 あまりにもわかりきった話でもあれば、私自身いくつかの媒体でさんざん繰り返してきた内容でもあるからだ。ついでに申せば、このテの話は、わかっている人には退屈で、賛成できない人にとっては単に不愉快なだけで、つまるところ不要不急なのだ。

 で、ちょっと角度を変えて、当稿では、五輪の地元開催を待望している人たちが、どうしてそう考えるのかについて、私なりに寄り添って考えてみることにする。

コメント105件コメント/レビュー

今回もセンス溢れる軽妙な書きっぷり,楽しく拝読させていただきました。
同調圧力,ですか。私も似たようなガキでした。
なぜここまで小田嶋さんの文章を楽しめるのか?
失礼ながら似ているのかもしれない,と今回感じました。(2018/08/24 09:41)

オススメ情報

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

一覧

「「みんなで乗り越えた猛暑五輪」の思い出」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

今回もセンス溢れる軽妙な書きっぷり,楽しく拝読させていただきました。
同調圧力,ですか。私も似たようなガキでした。
なぜここまで小田嶋さんの文章を楽しめるのか?
失礼ながら似ているのかもしれない,と今回感じました。(2018/08/24 09:41)

広島極道はイモかもしれんが旅の風下に立ったことはいっぺんたりとも無いのだ、という啖呵を切った人がいましたっけね。

都民だけがざまあなくアメリカのテレビ局の風下に立たされりゃいいのだろうと思うのだが、総理大臣からして率先してNBC様に土下座平伏でしょ。

スジが通ってない話なのだよ。
やっぱ暑いから10月にやるのだとIOCに突っぱねるのが取るべき行動でしょう。
それすらせずに日本国国民全員をNBCに付き従わせるなど、日本の政治家が取るべき行動か。
日本国民はNBCの奴隷だとでも思っているのか。(2018/08/21 12:56)

東京オリンピックなのだから、2020は東京中心でやるしかない。
次回誘致するときは、別の都市にしたほうがいい。

なぜ東京かの理由の一つに、デフレの日本なのに、競技場等の建設に反対する考えの浅い連中が多いこともあるのだ。(ここもその巣窟だ)
デフレを脱却するために、オリンピック開催を契機にして、財政出動(五輪国債でも発行)し、日本全体のデフレを脱却できたチャンスだったのにである。
できるだけ建設させず、日本をデフレのままにして、中国に対抗できない小国化をもくろむ反日分子、すなわち「競技場建設反対!オリンピックに金を使うな!そんな金があればおれにくれ」という自己中都民が多いのだ。

したがって、ある程度施設のそろった「東京」でやるしかなくなる。それこそ東北五輪として、東北の復興のために、ガンガン施設を建設し、ひいては日本全体のデフレ退治をしてこそ、真の「復興五輪」である。
結局、財務省が都市のオリンピックだから、その都市が中心になって建設しろ、国はできるだけ金を出さんぞという姿勢だから、東京以外に開催できる都市がないのだ。国が建設するから、仙台でやろうとすべきだったのだ。(2018/08/21 12:11)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

欧米主導の議論に対して、「No, But Yes」と斜に構えてばかりでは取り残されます。

末吉 竹二郎 国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)特別顧問