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「みんなで乗り越えた猛暑五輪」の思い出

2018年8月10日(金)

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 この2日ほど、関東地方では台風の影響なのか、久しぶりに涼しい風が吹いている。

 おかげで、半月ばかり稼働しっぱなしだったエアコンに休息を与えることができた。
 気象庁によれば、台風が通り過ぎると、また猛暑がやってくるらしい。

 私自身は、梅雨が明けてからこっち、不要不急の外出を控えているので、さほど暑い思いはしていない。

 なので、
 「暑いですね」
 と言われた時には、
 「暑いのは無駄に頑張るからですよ」
 と、心の中でそう答えることにしている。

 心の中で言うのは、口に出してそう言うとカドが立つからだ。
 頑張っている人間を揶揄してはいけない。あたりまえの話だ。
 このあたりまえのことを悟るのに、私は、60年の時日を費やさねばならなかった。バカな人生だった。
 ともあれ、頑張っていない人間にとって夏は暑くない。これは大切なポイントだ。ぜひ、今後の生き方の参考にしてほしい。

 不要不急の用事をまるごと省くと、われら凡人の人生は、たちまちのうちに色あせ、立ち行かなくなる。
 というのも、われらが楽しんでいる娯楽の多くは、不要不急の活動に伴って生じるあぶくのようなものだからだ。

 たとえばの話、不要不急の外出を控えて自室に閉じこもっている私の日常は、甲子園の高校野球とMLBの大谷翔平選手出場試合を代わる代わるに視聴することでかろうじて持ちこたえているテの、はかない営みに過ぎない。

 もし、この時期に「不要不急だから」「野外での日中の運動は危険だから」という理由で野球が中止されたら、私は水を失ったサカナのように苦しむことになるだろう。

 ということはつまり、私が不要不急の外出を自粛し、なおかつ退屈を免れるためには、高校球児の諸君が炎天下の甲子園球場で汗にまみれてくれていないとならないわけで、言い換えれば、この世界から不要不急の活動をオミットしたら、少なからぬ穀潰しが退屈のあまり不要不急の愚行に自ら身を投じるに違いないということだ。

 今回は、オリンピックの話をしようと思っていた。
 当初の目論見では、「不要不急」という線で五輪不要論を展開するつもりでいたのだが、この論点はどうやら書き起こすまでもなくスジが良くない。

 理由は、私自身がスポーツ観戦オタクだからだ。

 つい先月まではW杯三昧のサッカー漬けで、この一週間ほどは打って変わって朝から野球まみれの日常を送っている。その、余暇時間の大半をスポーツ番組視聴に費やしているテレビ端末人間が、どの口でオリンピックを「不要不急」などと言えたものだろうか。

 ただ、どうせ始まってしまったら夢中になって観戦することがわかりきっているのだとしても、そのこととは別に、わざわざ五輪を東京に呼ぶ必要がないということは、この際、明確に主張しておきたい。

 世界中のどこの都市で五輪が開催されていようが、きょうび、おもだった競技はなんらかの形でテレビ中継される。とすれば、基本的に液晶観戦者である私のような半可オタクにとって、競技がどこで行われているのかは些末な問題に過ぎない。してみると、わざわざ世界中から選手団を招いて、莫大な予算を費やしてまでご近所で開催する必要はない。

 このほか、東京で五輪を開催してほしくない理由をひとつひとつ列挙していけば、それだけで当欄のページは埋まるだろう。

 が、今回、それはしないでおく。
 あまりにもわかりきった話でもあれば、私自身いくつかの媒体でさんざん繰り返してきた内容でもあるからだ。ついでに申せば、このテの話は、わかっている人には退屈で、賛成できない人にとっては単に不愉快なだけで、つまるところ不要不急なのだ。

 で、ちょっと角度を変えて、当稿では、五輪の地元開催を待望している人たちが、どうしてそう考えるのかについて、私なりに寄り添って考えてみることにする。

コメント72件コメント/レビュー

サマータイムなんてしょぼくこと言わず、オリンピックだけアメリカ時間で運営すればいいのに。
放映権販売の巨額利益にはインパクトながいからIOCも某私企業、そこから利益を得る政治屋も反対しないだろうし、時差12時間前後なので、殆どの問題が解決する。
たとえば、
・昼より夜のほうが気温が低い
・選手や観戦客は夜移動するから、通勤や普通の生活の移動への影響が減る
・よって、たかが数週間のための無駄な施設投資をしなくていい
・セーリングやサーフィン、マラソンなんか朝焼けのなかのほうが、ぎっとドラマチック
このくらい提言して欲しかったなー(2018/08/11 17:13)

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「「みんなで乗り越えた猛暑五輪」の思い出」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

サマータイムなんてしょぼくこと言わず、オリンピックだけアメリカ時間で運営すればいいのに。
放映権販売の巨額利益にはインパクトながいからIOCも某私企業、そこから利益を得る政治屋も反対しないだろうし、時差12時間前後なので、殆どの問題が解決する。
たとえば、
・昼より夜のほうが気温が低い
・選手や観戦客は夜移動するから、通勤や普通の生活の移動への影響が減る
・よって、たかが数週間のための無駄な施設投資をしなくていい
・セーリングやサーフィン、マラソンなんか朝焼けのなかのほうが、ぎっとドラマチック
このくらい提言して欲しかったなー(2018/08/11 17:13)

「貴重なご意見をありがとうございました」って、何度も言われたでしょう、小田嶋さん。わかります。なお、オリンピック期間全部を国民の祝日にというコメントがありましたが、手遅れかもしれないけど、賛成です。避暑を兼ねて、旅行に出るとか、いいんじゃないでしょうか。メディアも淡々と自動映像で競技を報道すればいいわけで、キャスターだかレポーターだかの上ずった声を聞かないで済むし、メディアの方だって、人件費を大幅に節約できるかも。熱中症対策も軽減できる、ただ、っ出場選手たちがストライキを起こす可能性はありますね、命あっての名誉でしょう。(2018/08/11 16:10)

【たとえば、特定の誰かが何かを好む理由を詳しく問い質してみると、それは、まさに私がそれらを嫌っている理由と同一だったりする。こうした発見は、私から、議論する気持ち根こそぎに奪い去って行く。】
人間の心は『知・情・意』で出来ています。『誰かが何かを好む理由』や『私がそれらを嫌っている理由』は多分に、『情』に依拠しています。そして『議論する気持ち』は『知』『意』であるべきです。経験的に『情』に絡む議論には『正解』は無く、両者が納得する結論は得られず、痼りが残りやすいものです。ですから『誰かが何かを正しいと言う理由』と『私がそれらを間違っていると言う理由』が同一である場合には議論で正解・結論が出せる筈ですから、議論する気持ちを失わないで下さい。
子供の頃の貴兄は数々の疑問を抱いていた様ですが、もしも先生に質問していれば、下記の様な回答が得られたかもしれません。
【「これって、来賓に見せるための踊りだよね?」】『来賓にも見てもらうが、そのための踊りではないよ』
【「どうしてぼくたちが、PTAだとか来賓を喜ばせるために踊りの練習をしないといけないんだろうか」】『君たちがここまで成長出来たよ、ということを見てもらい、喜んでもらうためだよ』
【「運動会って、観客のための催しなの?」】『君たち自身と、君たちを育ててくれた人たちのための催しだよ』
【「オレらは見世物なのか?」】『見てくれる人たちを喜こばせる努力が、君たちを成長させてくれるのだよ』
(ただし、運動会で「グリーンスリーブス」を採用するセンスの教師では、あまり期待出来ないかもしれませんね。)
運動会について学習指導要領には『規律ある集団行動の体得、責任感や連帯感の涵(かん)養、などに資する活動』と位置づけています。『規律』『集団行動』『責任感』『連帯感』などは他人から押しつけられる場合は反発も生じるかも知れませんが、正常な社会生活を営む上では欠かせない事項であります。ですからむやみに反発するのではなく、自主性を持って取捨選択を行えばよいのではないでしょうか。(2018/08/11 12:32)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官