シャイロックにだってそりゃ無理だ

 移民をめぐる議論が沸騰している。

 話をはじめる前に、まず「移民」という言葉の定義をはっきりさせておかないといけない。

 というのも、「移民」という言葉の周辺には「難民」や「外国人労働者」や「技能実習生」、さらには「不法滞留外国人」や「留学生」や「在日外国人」といった少しずつ違う立場の人々がいるからでもあれば、「移民」をめぐる議論が、それら周辺にいる人々を同一視する粗雑な論争に発展しがちなものでもあるからだ。

 無用の混乱を避けるためには、とにかく「移民」という言葉が指し示す人間の範囲を、できる限り明示しておく必要がある。

 「移民」は「国際連合広報センター」が説明しているところによれば、

《国際移民の正式な法的定義はありませんが、多くの専門家は、移住の理由や法的地位に関係なく、定住国を変更した人々を国際移民とみなすことに同意しています。3カ月から12カ月間の移動を短期的または一時的移住、1年以上にわたる居住国の変更を長期的または恒久移住と呼んで区別するのが一般的です。
 --国連経済社会局》

 ということになっている。

 これに対して、「難民」は

《難民とは、迫害のおそれ、紛争、暴力の蔓延など、公共の秩序を著しく混乱させることによって、国際的な保護の必要性を生じさせる状況を理由に、出身国を逃れた人々を指します。難民の定義は1951年難民条約や地域的難民協定、さらには国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)規程でも定められています。
 --国連難民高等弁務官事務所》

 と説明される(こちら)。

 もっとも、国連のこのページの解説が冒頭で自ら「国際移民の正式な法的定義はありませんが」と断り書きしている通り、「移民」という用語について、国際的に明確な定義が共有されているわけではない。

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著者プロフィール

小田嶋 隆

小田嶋 隆

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

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いただいたコメントコメント81件

このコラムも、コメントの殆どは的外れ。

"移民"はもう日本にいるの! 安倍ッチの答弁は、これまでの日本の外国人(="移民"?)政策が後手に回っていることを、ゴニョゴニョ言い訳しているだけ。(2018/11/12 09:28)

人手不足のために外国人を受けいれるのだが、「穴埋めのため、低賃金労働者確保という経営者目線」だけでは社会はやっていけない。

社会にとっては賃金を下げる効果があり、外国人への人権軽視を否認や傍観をするば偏見が増長される、治安が悪化するとすれば問題を作ったのは私たち自身である。尊厳を踏みにじって人心掌握などできない。

逃げる技能実習生を犯罪者だとだけ見るのではなく、仕事や住居を選ぶ権利がないことと、最低賃金以下など不法労働を強いている会社も罰しなければいけないと見ていかなければ問題は拡大していく。

「安い賃金で雇わなければ日本社会が成り立たない」とだけ考えていては社会だけでなく経営も先はない。私は価格の前に適切な賃金があると考える。適切とは日本人と外国人の区別なく尊厳を守るということです。

移民ではないという人権軽視では先はない。他人を低く見ることで得る似非自尊心ではなかろうか。
128万人の外国人労働者がいる。私はどこまでも寛容ではなく許容範囲をみさだめることが重要だと思っている。(2018/11/12 01:34)

単に派遣業者の扱う商品が減少したから輸入しようというお話(2018/11/11 22:45)

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