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介護職員への暴行、杖を股に当てるセクハラも

家族だって見て見ぬふり。もう目を背むけていられない

2018年3月20日(火)

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介護される側から介護する側への「暴力」もある。それは肉体的なものだけでなく、言葉や性的な暴力も含まれる。その現実を目の前に、我々はどうしたら良いのだろうか……

 「介護職員の虐待はメディアで大問題になります。でも、介護職員が暴力を受けても、注目されることはありません。自業自得って言われるんです」──

 都内の高齢者施設で働く30代の男性介護士が、こう話してくれたことがある。
 インタビューしたのは2015年秋。入所者3人が相次いで6階のベランダから転落死した介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」の事件が発覚したときだった。
 メディアは連日、介護現場の虐待の映像を繰り返し報道していた。

 言うまでもないことだが、高齢者への虐待は絶対に許されることではない。
 だが、介護はすべて現場頼みで、暴力と背中合わせだった。その過酷な現実を語ってもらおうとインタビューした介護士さんのひとりが、冒頭の男性だった。

 「暴言や暴力は利用者の不安な気持ちの表れ。もっとスキルを磨かないとダメ。ブラックな仕事だと思うかもしれないけど、利用者がたった一回でも、心から『ありがとう』って言ってくれると、しんどいことも忘れられる素晴らしい仕事だよ」

 男性は暴力を受ける度に、新人介護士のときに先輩に言われたこの言葉を胸に、耐えた。実際、利用者から感謝され、心がスッと軽くなることがあったので、「利用者の暴力=自分の問題」と考え、必死でスキルを磨いてきたそうだ。

 高齢者への暴力は問題になっても、高齢者からの暴力は問題にならない。
 どちらの暴力もとんでもなく胸が痛む。それだけに、重い言葉だ。
 私自身、介護の現場の過酷さは何度も書いてきたけど、「高齢者からの暴力」に関するコラムは書いていない。いや、書けなかった。

 私の中の“ナニか”がストップをかけたのである。
 声にならない声を書かなきゃ、と思う一方で、
 「書くことで救いになるのか?」と脳内のサルが騒ぎ立て
 「おいおい、それって誰かを傷つけることになるだろう?」と脳内うさぎが憂い
 「傷つくのは高齢者? その家族? それとも暴力を受けた介護士さん?」と脳内タヌキが問うも、答えが出ない。

 だからこれまで、「触れない」ことを選択してきた。

コメント78件コメント/レビュー

大脳の中で何が起きているのか、その研究が俟たれる。

私たちの中で、何が、ハラスメントとしての行動を起こさせるのか。制御できない何かがあるはず。
論理的物理的に解明され、改善効果がほぼ100%に近くなったところで、ハラスメントは劇的に減ることだろう。

人間は集団で生きている。その中で、差が生まれ、上下が構築され、いわゆる罵倒する側と罵倒される側、支配層と従属層に分かれてしまう。その背景が何であろうと、何万年まえから変わらないのだ。

もう、人間はつぎの進化を遂げねばならない。だが、中途半端なテクノロジーでは誤操作で自滅してしまう。だから、本質的な本物のテクノロジーで進化を果たしハラスメントを博物館に陳列するのだ。

これは、妄想か? 否、果たさなければならない、そうしなければならない事案なのだ。(2018/03/21 16:30)

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「介護職員への暴行、杖を股に当てるセクハラも」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

大脳の中で何が起きているのか、その研究が俟たれる。

私たちの中で、何が、ハラスメントとしての行動を起こさせるのか。制御できない何かがあるはず。
論理的物理的に解明され、改善効果がほぼ100%に近くなったところで、ハラスメントは劇的に減ることだろう。

人間は集団で生きている。その中で、差が生まれ、上下が構築され、いわゆる罵倒する側と罵倒される側、支配層と従属層に分かれてしまう。その背景が何であろうと、何万年まえから変わらないのだ。

もう、人間はつぎの進化を遂げねばならない。だが、中途半端なテクノロジーでは誤操作で自滅してしまう。だから、本質的な本物のテクノロジーで進化を果たしハラスメントを博物館に陳列するのだ。

これは、妄想か? 否、果たさなければならない、そうしなければならない事案なのだ。(2018/03/21 16:30)

介護経験はありませんが、予想より甘いくらいの記事内容でした。
驚いたのは、この程度の記事に対して「あまりにも過酷な現場に驚いた」という読者コメントが多かったことの方です。
社会の分断、格差、ここに極まれり。

介護経験もない私が、なぜ、介護現場をかなり正確に予想できるかというと、
物心ついたころから、私が生きてきた家庭のありさまと大差ないからです。
記事内容よりよほど酷い目に遭わされ続けてきたけれど、それを『児童虐待』と誰かに認定されたことはなかった。
『自分の子供になら何をしても逮捕されない』とカン違いして生きてきた世代が、高齢者になって、
『他人の子供にだって何をしても逮捕されない。年長者はエライんだ』とカン違いを拡大させただけだと思います。
今、介護士さん達が遭っているような目に、私はずっと遭ってきましたよ。


なお、「認知症だからって何をしてもいいわけではないはずだ」との読者コメントがありますが、
お気持ちは理解しますが、認知症のなんたるかをご存知ない方のご意見ですね。
認知症になったら、もう、新しいルールは覚えられません。
そのための脳機能に、障害をきたすのが認知症なのですから。

新しいことは何も覚えられず、若い頃に覚えた、擦り切れた記憶を頼りに生きている。

私のように、ろくでもない親から、ろくでもない教育をされた人間が、
教育内容をケアされないまま認知症になれば、
若い世代が新しい価値観でものを言っても、もう、覚えることも、理解することもできない。

認知症になる前に話し合って、価値観を更新しておく必要があるのです。

認知症になってからでは、ケアを受ける側のマナーみたいなことは覚えられない。
若くてなくてもいいから、とにかく、認知症になる前に。


ボリュームゾーンの団塊が、もうすぐ、要介護になる時間ですよね。
今こそは、団塊が介護を受ける側のマナーを覚えるラストチャンスです。

モンスターペイシェントの激増を指をくわえて見ているだけなのか、手を打つのか、
政治の喫緊の課題なんですけどね。

国会は最悪ですね、少子高齢化の問題そっちのけで、まだ、(要介護になった団塊を誰が介護するのかという問題に比べたら)どうでもいい森友やってるみたいで。

終わりそうですね、この国は。(2018/03/21 16:08)

とても言えない状況から徐々に声を上げ始めたあたりの話で、多少及び腰とはいえ正面から署名記事で取り上げた勇気に敬意を表します。
いじめや子供の虐待と同様、手を変え品を変えの「言わせない圧力」は非常に強いことでしょう。

しかし言わない事で純粋に利益を得てきたのは一部の人間であり、「私たち」の誰もが知っていて許し無視してきた事でもない。
サービスの利用側・提供側、どの立場であれ、モンスターの問題はしっかり取り上げられ認知・対策するべきです。

そうでなくてはどの立場の人間も安心して介護サービスに関われません。
利用者側として考えても、普通の神経と多少の知識や想像力があれば、虐待やハラスメントが横行する業界の人のサービスなど怖くて受けられませんね。
誰でも被害者になりうるし、加害者側に立てば被害者にならないと思うのも甘すぎるというものです。(2018/03/21 14:22)

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