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介護離職は終わりの始まり 高齢化社会の現実

しんどさは“雨に濡れた人”にしかわからない

2018年6月19日(火)

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介護問題は誰もが他人事ではない(写真:KatarzynaBialasiewicz/Getty Images)

 「絶対に辞めちゃダメです。なんとかなるは通用しない。介護離職は終わりの始まりなんです」──。

 こう話すのは数カ月前、お父さんを見送った52歳の男性である。
 彼は数年前、私のインタビューに協力してくれた方で、当時は某電機メーカーの営業マンだった。それをきっかけにfacebookでつながり、一昨年、お父様の介護で仕事を辞めたことを知る。

 時折、お父さんの様子をFBにアップしたり、社会問題や政治への意見なども書いていたりしていたのだ。が、その投稿が最近途切れ「どうしてるのかなぁ」と気になっていたところで、彼からメールが届いた。

 そこには、“雨に降られた人”にしか決して綴ることのできない重い言葉と、絡まりまくった感情が切ないほど繰り返されていて、読んでいて苦しかった。

 そう。そうなのだ。

 私にとって親の介護問題は他人事ではない。ちょっとずつ、そして確実に老いていく母の存在が、日に日に自分の中で大きくなっている。

 FBのタイムラインに「親の介護」をアップする人を見かけるたびに「応援メール」を送ってしまったり(面識のない方達なのに……私、何やってるんだろう? 苦笑)、とにもかくにも経験者の生きた言葉を欲している自分がいるのである。

 というわけで今回は至極ストレートに「介護離職」について、考えてみようと思う。まずは男性から送られてきたメールの一部を紹介する。

 「それは突然の出来事でした。父親が脳梗塞を起こし、要介護になってしまったんです。癌を患っていた母親は3年前に他界。父は77歳ですが、一人で床屋を続けていました。はい、実家は床屋です。

 何しろ昔の職人気質で頑固なオヤジですから、身体が動けなくなっても強気一辺倒でした。一人じゃトイレにも行けないし、買い物にも行けない。なのに『老人ホームには入りたくない、入るくらいだったら死んだ方がましだ』って言い張って、僕の言うことなど一切聞きませんでした。

 僕は一人っ子で、結婚もせず、孫の顔を親に見せてあげることもできなかった。なのに母の介護は、父親に任せきりで……。あの頃はまだ、介護とか親が『老いる』ってことのリアリティを持ててなかったんだと思います。だから、母はもっと長生きすると勝手に信じていたんです。

 母親は結局、心筋梗塞で死んだ。闘病中の癌ではなく、朝起きたら亡くなっていました。青天の霹靂です。でも、それ以上に父親はショックだったみたいで、いっきに老いてしまったんです。僕は……半端ない後悔と自責の念にかられました。それで父親のときは絶対に自分が後悔しないようにしなきゃと、仕事を辞めたんです。ちょうど今から2年半前です。

 辞めるときにためらいはありませんでした。でも、今思えば、僕は介護のことも再就職のことも、甘く考え過ぎていたんだと思います。

 父は僕が実家に戻ったことで安心したようでしたが、僕は精神的に最悪の状態になってしまったんです。

コメント39件コメント/レビュー

介護職です。

今までも様々なご家族を見てきました。自身も親の介護を経験してます。
言えることは、介護は多大な労力とお金が必要な場合が多々あるということだと思います。
子育てと違い、先が読めないので、余計に不安にもなると思います。

でも、間違いなく言えるのは、これからの人不足の世の中で、介護離職をさせないような会社じゃないと、優秀な人材を辞めさせてしまい生き残っていけないということではないでしょうか?
昔と違い、嫁がみるという時代でもないですし、全ての人に介護という問題が降りかかってきます。

突き詰めたら、介護だろうが出産子育てだろうが、自身の病気だろうが、様々な状況の人材を活用できることが生き残る道だと思います。

私自身は介護休暇を一ヶ月だけですが取りました。介護職なので、他人の世話ばかりして自分の親を看ないなんて…という後悔をしたくない想いもあり。
でも色んなサービスにもお世話になりました。これ以上患うようなら施設も考えていました。
仕事を辞めることだけはしたくないと思っていましたが、それが叶えられたのも、結局は職場の理解があってだと思います。

全ての方がどちらかの選択でなく、両方を選択できる世の中になってほしいです。子育ても同じく。(2018/06/25 23:40)

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「介護離職は終わりの始まり 高齢化社会の現実」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

介護職です。

今までも様々なご家族を見てきました。自身も親の介護を経験してます。
言えることは、介護は多大な労力とお金が必要な場合が多々あるということだと思います。
子育てと違い、先が読めないので、余計に不安にもなると思います。

でも、間違いなく言えるのは、これからの人不足の世の中で、介護離職をさせないような会社じゃないと、優秀な人材を辞めさせてしまい生き残っていけないということではないでしょうか?
昔と違い、嫁がみるという時代でもないですし、全ての人に介護という問題が降りかかってきます。

突き詰めたら、介護だろうが出産子育てだろうが、自身の病気だろうが、様々な状況の人材を活用できることが生き残る道だと思います。

私自身は介護休暇を一ヶ月だけですが取りました。介護職なので、他人の世話ばかりして自分の親を看ないなんて…という後悔をしたくない想いもあり。
でも色んなサービスにもお世話になりました。これ以上患うようなら施設も考えていました。
仕事を辞めることだけはしたくないと思っていましたが、それが叶えられたのも、結局は職場の理解があってだと思います。

全ての方がどちらかの選択でなく、両方を選択できる世の中になってほしいです。子育ても同じく。(2018/06/25 23:40)

認知症の母を3ヶ月前に自宅で看取った者です。私自身は非常勤の仕事だったので、時間の融通は利き、家計を支え手でもありませんでした。介護サービスを目一杯利用していましたが、それでも一人の人間の世話の全責任を負っているという感がありました。母が発症して3年、病気についても、介護の方法についても学ばねばならないことが多々ありました。普通の人が、まして家事や育児の経験もあまりない人が、無手勝手流で立ち向かっても、肉体的にも精神的につぶれると思います。介護について実際に学ぶ場が必要です。(2018/06/25 14:32)

30代前半会社員です。
企業は、介護退職者を出さない為にも、仕事を1人で頑張るマラソンではなく、チームでつなぐ駅伝方式に早急に変えるべき。そのための1歩を今日からでもすぐ始めるべきだと思います。

私は介護をまだ経験したことはありませんが、父の急逝を経験しました。
平日の早朝に突然兄弟からその話を聞いて、仕事は半日だけ出社し引き継ぎ、急いで実家に戻りました。約1週間の休みだからこの程度で済み、葬儀やその他手続等に集中できました。その間、業務も滞りなく回りました。

これが期限の無い介護だったら、どうなっていたでしょう?こうはいかず、電話をしてみたり、無理して出社する日もあるでしょう。一方、本人が無理しなければ、残されたメンバーが大変な思いをすることになります。大した引き継ぎもなくよく分からないまま業務を担当することになった方は、負担でメンタル不調になるかもしれません。

介護は育児休業と違い、突然やってきて、終わりも読めません。同じ休業や休職であっても深刻さが全然ちがいます。同じようなものとして、企業がなんとなく対応できるようなものではないはずです。
企業の経営者の皆さんが、この深刻さに気付き、全ての会社・全ての部署が一刻も早くチームで仕事つないで回せるような体制を構築してほしいと願います。
我が部署もまだ全然できていませんが、私から声を継続的にあげ、自ら少しずつ行っていくことで、組織を変えていきたいと思っています。(2018/06/25 13:04)

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