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経営者としての「ゴーン礼賛」への大きな違和感

ルノーの仏国内事業所で自殺者が相次いでいるという事実

2018年12月4日(火)

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(ロイター/アフロ)

 11年以上前の2007年2月。パリ近郊、ギアンクール(イヴリーヌ県)にあるルノーの技術研究所「テクノセンター」で、4カ月間に3人が相次いで自殺し、事態を重く見た検察当局が捜査に乗り出したと、フランスの複数のメディアが報じたことがあった。

●06年10月、39歳のエンジニアが建物の5階から飛び降り自殺したところを、数名が目撃。
●07年1月、同センター近くの池で、44歳のエンジニアの遺体が発見され、地元警察が自殺と判断。
●その3週間後には、38歳の従業員が「会社が求める仕事のペースに耐えられない」という遺書を残して自宅で縊死。

 立て続けに起きた従業員の自殺に、同社の従業員約500名が敷地内を沈黙しながら歩くというデモが行われた。当初、労働環境と自殺の関連性について否定的だったルノーも、「我々に多くの疑問が突きつけられ、また、各個人の責任について見直しを迫られている」 とコメントを表明したのだ。

 実はこの時のトップこそが、「ミスター コストカッター」。連日連夜、有価証券報告書への虚偽記載容疑などがメディアで報じられている、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏である。

 05年5月、ルノー本体のCEOに復帰したゴーン氏は2006年、4年間で26車種の新型車発売などを含む中期経営計画を発表した。日産で行ったような従業員のリストラはせず、営業利益率6%を達成するといった内容だったが、仏メディアは、この計画により開発期間は短縮され、労働環境は著しく厳しくなったと指摘した。

 日本では、日産で名を挙げたプロ経営者の手腕に注目が集まったが、批判を恐れずに言わせていただけば、そもそも計画なんて見た目のいい「数字」を並べただけの紙っぺらだ。「働いているのは人である」という当たり前をないがしろにし、目標達成への“しわ寄せ”が「弱い立場」の人たちに襲いかかるような計画を現場に強要する経営者を、私は「プロ」と認める気にはならない。

 実際、新型車開発を焦る経営陣は開発チームに猛烈なプレッシャーをかけたと報じられている。仏メディアによれば、夫を失った妻は「毎晩、書類を自宅に持ち帰り、夜中も仕事をしていた」とサービス残業が常態化していたと告発し、裁判所も「従業員を保護するために必要な措置をとっておらず、弁解の余地のない過失がある」と、企業の責任を認定したという。

コメント95件コメント/レビュー

>事業や部門や従業員を再生させることは経営者の仕事ではありません。

この勘違いが、従業員使い捨て企業を是とする社会風潮を生んでいるのだと思います。
企業経営をしてみれば解りますが、企業運営で最も難しいのが『社会に対して価値を提供し続けること』と『従業員に活躍の場を提供し続けること』を両立させることなのです。
貴殿は『価値を生むことができなくなった従業員』といわれますが、従業員が価値を生めなくなったのは、その従業員に活躍の場を与えられなくなった経営陣の責任なのです。
それこそが経営者の経営者たるゆえんです。配属された場所、置かれた役職で、そのままに生きるしかない従業員との違いです。
まともな経営者であれば、そのことは充分承知しているはずですが、経営者も雇われの身ですから、利益至上主義の株主達からの『今の利益』要請にどう対応して企業運営をするかに、日夜苦労をしているのです。(2018/12/11 10:26)

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「経営者としての「ゴーン礼賛」への大きな違和感」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>事業や部門や従業員を再生させることは経営者の仕事ではありません。

この勘違いが、従業員使い捨て企業を是とする社会風潮を生んでいるのだと思います。
企業経営をしてみれば解りますが、企業運営で最も難しいのが『社会に対して価値を提供し続けること』と『従業員に活躍の場を提供し続けること』を両立させることなのです。
貴殿は『価値を生むことができなくなった従業員』といわれますが、従業員が価値を生めなくなったのは、その従業員に活躍の場を与えられなくなった経営陣の責任なのです。
それこそが経営者の経営者たるゆえんです。配属された場所、置かれた役職で、そのままに生きるしかない従業員との違いです。
まともな経営者であれば、そのことは充分承知しているはずですが、経営者も雇われの身ですから、利益至上主義の株主達からの『今の利益』要請にどう対応して企業運営をするかに、日夜苦労をしているのです。(2018/12/11 10:26)

いやいや、こういう「実は自殺者が……」という記事は、ゴーン逮捕の前に出さないと、単なる便乗にしか思えません。週刊誌に任せておけばよいのです。経営者としての資質うんぬんの前に、コラムニストとしての矜持を疑います。(2018/12/09 08:09)

企業は社会に対して価値を提供できなくなったら市場から退場を求められます。手を尽して再び価値を提供できる企業に再生させることが経営者の仕事です。
事業や部門や従業員を再生させることは経営者の仕事ではありません。価値を生む事業に再生させ、価値を生む部門に再生させるのは事業部長の仕事であり、部門長の仕事です。そして、価値を生むことができなくなった従業員を再生させることはその従業員自身の仕事です。
努力の甲斐なく再生できなければ、会社は市場から退場させられます。同じように、再生できず価値を提供できない事業や部門や従業員は企業から退場させられるのです。ごく当たり前で自然なことです。
退場させられた従業員は不幸なのでしょうか。可哀想なのでしょうか。違います。価値を生むことができず、評価もされず、ただそこに居るだけの方がよほど人間として不遇であり不幸であり悲惨です。
人は自ら自分を価値あるものに高めることもできますし、自分の価値を生かせる場所を自分で探し出して場所を移ることもできます。それこそがヒトのヒトたるゆえんです。産まれた場所、置かれた場所で、そのままに生きるしかない動物や植物との違いです。
企業や経営者を叩いても何も生まれません。そんなことで溜飲を下げてどうするのですか。人間なら自分の道は自分で切り開きましょう。そこに僅かばかりでも国が手を貸してくれればいいなとは思います。(2018/12/07 15:34)

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