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「エレファントカーブ」がトランプ現象を生んだ

3つのグラフが示唆する「激変する世界」

2017年1月16日(月)

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「グローバル化」「デジタル化」「人口変動」の影響とは

 遅ればせながら、どうか本年もご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。

 さて、年の初めなので、これからの時代を短・中・長期と複数の時間軸でとらえていくために重要な視点とは何か、という少し大きなテーマで書いてみたい。もちろん、さまざまな切り口があるのだけれど、私が選んだのは、以下の3枚のグラフ(■図表1■図表2■図表3)が提供してくれる視点である。

 結論から申し上げると、3枚それぞれが、グローバル化、デジタル化、人口変動という極めて本質的な潮流3つについて、その屈曲点を示しているのだ。

グローバル化により先進国で中産階級の所得が伸び悩んだ

■図表1 エレファントカーブ
注:1988年~2008年において、実質所得がどれだけ伸びたか(縦軸)を所得分布階層(横軸)によって整理

出所: 世界銀行リサーチペーパー 2012.12

 まず、1枚目はエレファントカーブ(■図表1、先進国で特に中産階級の所得が伸び悩んだことを示したことで知られる曲線)。ご存じの向きも多いだろうが、世界銀行のエコノミストの手になる分析で、グローバル化の進展で誰が豊かになったのか、を示したものだ。世界中の人を豊かな順に並べ、1988年から2008年までの20年間に、どの層の実質所得が伸びたかをグラフ化している。

 荒っぽくまとめてしまえば、世界の中での超高収入層、すなわち先進国の富裕層、そして新興国の(新)中間層が所得を伸ばした、というのが結論だ。一方、日本を含む先進国の中間層の収入は伸びておらず、一部の層は20年の間に実質収入が減っている。

一方、新興国では経済発展により中間層が所得を伸ばした

 この期間は、世界的にはグローバル化が進み、世界の貿易量が増えるとともに、新興国の工業化が大きく進展した時期にあたる。先進国の消費者は、新興国で生産される商品を比較的安く手に入れるという恩恵を得た。一方で、製造業を中心に先進国の中間層の雇用が新興国に移転し、彼らの所得が伸び悩むこととなった。

 (なお、この分析は、リーマンショック以前のデータを基にしたものであり、また世界各国の異なる調査データをもとにした推計である。さらには、1988年と2008年の2ポイントで、まったく同じサンプルの人々を調査したものではないこと、など留意すべき点はあるが、こういったあたりを含めて、さまざまなエキスパートが再検証した結果、おおむね妥当な分析だと考えられている。)

「エレファントカーブ」と呼ばれるグラフは、世界の富裕層が所得を伸ばす一方で、先進国の中間層だけが伸び悩んでいることを示している。まさにこの現象が、「反グローバリズム」を掲げ米国民の支持を集めた、トランプ現象を生んだと言える。(写真:ロイター/アフロ)

コメント6件コメント/レビュー

IoTとビッグデータ解析とAIの進化により、現場の人間が知恵を出し合い小さな改善を積み重ねていく、という従来型の現場改革より、ロボットの導入と、AIが導き出す改善策の組合せの方が生産性向上率が高い、という時代が来そうですね。 そうなると今は労働集約的な工場も劇的に技能者の数が減りそうです。                    また自動運転の実現により、タクシーやバス、トラックのドライバーも不要となるでしょう。                  つまりこれまで主に高卒の人がついていた「現業」と呼ばれる仕事の中でもそこそこ収入が高い仕事が激減してしまう。
あとは、自動化しにくいもしくは自動化投資が見合わない、低付加価値低賃金の現業しか残らない(清掃員とか)。           一方、現在高度知的労働とされている教師・弁護士・医師も業務の多くがAIで賄えるようになると、労働需要が激減する(より少ない人数で済む)でしょう。         ますます中流層の生きる道は狭くなりそうです。        22世紀には国の中にどういう仕事を創出し、国民についてもらうのか、GDP視点の産業論より、雇用・就業という視点での職種論を国として考える必要があると思います。(2017/01/18 10:49)

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「「エレファントカーブ」がトランプ現象を生んだ」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバーなどを歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

IoTとビッグデータ解析とAIの進化により、現場の人間が知恵を出し合い小さな改善を積み重ねていく、という従来型の現場改革より、ロボットの導入と、AIが導き出す改善策の組合せの方が生産性向上率が高い、という時代が来そうですね。 そうなると今は労働集約的な工場も劇的に技能者の数が減りそうです。                    また自動運転の実現により、タクシーやバス、トラックのドライバーも不要となるでしょう。                  つまりこれまで主に高卒の人がついていた「現業」と呼ばれる仕事の中でもそこそこ収入が高い仕事が激減してしまう。
あとは、自動化しにくいもしくは自動化投資が見合わない、低付加価値低賃金の現業しか残らない(清掃員とか)。           一方、現在高度知的労働とされている教師・弁護士・医師も業務の多くがAIで賄えるようになると、労働需要が激減する(より少ない人数で済む)でしょう。         ますます中流層の生きる道は狭くなりそうです。        22世紀には国の中にどういう仕事を創出し、国民についてもらうのか、GDP視点の産業論より、雇用・就業という視点での職種論を国として考える必要があると思います。(2017/01/18 10:49)

すさまじく稼ぎ、湯水のように贅沢していた知人はすでに、日本の税金の高さに海外逃亡し、シンガポールで悠々自適です。所得税7割なら、住民税合わせてどのくらいでしょう。今、かろうじて日本に残ってくれている高額所得者も逃げてしまうのではないでしょうか。今は昔より海外が近いです。結果的に、中間層に高率を掛けるしか税収が持たなくなり、更なる中間層の没落を招くでしょう。(2017/01/16 19:49)

先進国の中間層の所得が減り、進展国の中間層がそこに近づく図式は、世界中の労働者層が均質化する流れとしてグローバル化の帰結に見えます。経営者層、資本家層はますます富み、労働者は一定の収入層に押しとどめられる2極分化した世界。SF小説のディストピアで描かれる社会が世界中に実現するのも遠くないと言う事ですね。こうなると、搾取者と被搾取者の関係はその先も固定化してゆるぎないものになり、富む者同士の競争が先鋭化しつつ、富の集中が更に進む一方となり、ごく少数の大富豪の一群が世界経済に君臨し世界を支配する構図が出来上がりそうです。実業家の大統領誕生はその走りかもしれません。彼は支持者が言うような中間層の見方ではなく、労働者全てのご主人様であり、まんまと操られた群衆の行動の結果が選挙に現れたのだと言う事なのでしょう。中世には一国内、域内で見られたような一部の富める者が経済のみならず、社会の全てを支配する時代が全世界を舞台に再来しようとしているのでしょうか。(2017/01/16 15:33)

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