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日本の文化ストック“活性化”の秘策とは

日本文化のビジネス化戦略(2)

2018年3月12日(月)

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ストック市場や高価格帯市場が活性化していない

奇想の系譜』(辻 惟雄 著)。絵画史の中で長く傍系とされてきた岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳らの作品を、「奇想」という言葉で定義して「主流」の中での前衛と再評価した。

 さて、日本文化のビジネス化、産業化についてのコラム第2回。前回のコラム(「日本のアートの未来を開く『3つのポイント』」)では、村上隆さんの「スーパーフラット(SUPERFLAT)」や、辻惟夫先生の『奇想の系譜』といった「ストーリー」の重要性を述べ、そしてそれが需給とあわさって(価値や価格の)「ものさし」となっていく、という話をさせていただいた。

 今回は、「ストックを動かす」ことの重要性について触れてみたい。

 前回コラムの冒頭に述べたように、(調査によって、少しずつ違うのだが)世界の美術品市場の過半を、米国、中国が占めているのは衆目の一致するところ。これに続く英国も含めた大規模な市場に共通する特徴、それは美術品のセカンダリーマーケットが非常に大きいことである。

 (新しい作品をアーチストやその代理人である画商から購入するのが、プライマリーマーケット。その後、別の所有者に移動する「既存の作品市場」がセカンダリーマーケットと呼ばれる。)

 言い換えれば、既存ストックが流通する市場の規模が大きいということになる。しかも、その中で、主として富裕層や一流のミュージアム、あるいは大企業が購入する高価格帯セグメントが、活発に動いている。

 一方で、残念ながら、日本の現状は、ストック市場、そして高価格帯市場が活性化しているとはいいがたい。

有史以来あまたの美術品が制作され、美術館の数も多い日本

 本来は、有史以来、あまたの美術品が制作されてきた我が国、しかも1000を超える膨大な数の美術館があり、その収蔵品も含めて、膨大なストックが存在する我が国では、ストック市場が世界上位の規模になっていても不思議ではない。

 (そもそも、同時代のコンテンポラリー作品のみのプライマリー市場よりも、有史以来、制作されてきた美術品が対象となり、かつ複数回の売買があり得るセカンダリー市場の方が、圧倒的に大きくなるのが自然なはず。)

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「日本の文化ストック“活性化”の秘策とは」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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