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世界を揺るがす「俺たち対あいつら」

危機を内在する12カ国に注視せよ

2018年5月7日(月)

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南アフリカでは4月下旬、最低賃金に抗議するデモが起こった(写真=ロイター/アフロ)

 地政学リスク分析で知られる畏友イアン・ブレマーが、4月末に米国で新著を出版した。6月中旬には日本でも翻訳版が出版されることとなり、その日本語版解説を頼まれたので、一生懸命原著を読んでいる。

 タイトルは、“US vs THEM“。日本語にすると「私たち 対 彼ら」あるいは「俺たち 対 あいつら」という感じだろうか。自分の属するグループとそれ以外を峻別し、対立構造を作り上げることを言う。

 イアンは、『自由市場の終焉:国家資本主義とどう闘うか』(2011年、日本経済新聞出版社)で、中国・ロシアを中心とする国家資本主義の台頭を指摘。続けて、『「Gゼロ」後の世界:主導国なき時代の勝者はだれか』(2012年、日本経済新聞出版社)では、経済的には米中二極体制となる世界で、どちらも世界秩序の維持に汗をかかなくなるという「G2」ならぬ「Gゼロ」という不安定な時代の到来を予測していた。どちらのテーマについても、その後、彼の分析の通りの展開を示しているが、これらは世界のマクロな構造についての分析であり、著書であった。

 今回の“US vs THEM“では、各国国民の心の中にある「自分たちの生活が向上しない」という心理的不満と、それを巧みに「彼ら、あいつらがその原因だ」と煽り、みずからの権力獲得に利用しようとするポピュリスト政治家の心理戦術、についてが主題である。ある意味、ミクロな心理の動きの集合、がテーマと言ってもよいだろう。もちろん、これらが世界の構造的リスク要因になるというマクロ視点につながることは言うまでもない。

中間層に広がる「俺たち 対 あいつら」

 詳細は、日本語版発売後ぜひお読みいただきたいと思うが、今回のマクロ、ミクロのつながりを述べた内容の中で、大変興味深いのは、これから不安定さを増す可能性が高い12カ国を明示的に述べ、それぞれの国について、国民(特に中間層)の心の中で、“US VS THEM“という訴えが力を持ち得る要因について述べている部分だ。

 先進国、中進国、開発途上国の違いはあれど、数多くの国が、「格差や不平等の拡大」に対する不満の相当な高まりに直面している。さらに、今後、AI(人工知能)活用やロボット化を含むオートメーションがもう一段進展する中で、中間層のうち、雇用・賃金面でのダメージを受ける人々が相当数出てくる。

 10年近い世界的金融緩和に支えられてきた資産バブルはどこかではじけるだろうし、中国をはじめとする新興経済の拡大に合わせて上昇を続けた資源価格は調整に入っており、それに頼ってきた資源型経済の国々は、大幅な国家的収入減に見舞われている。そもそも、税を通じた分配システム、あるいは教育による格差固定防止策がうまく機能しなくなっている国も数多い。

コメント5件コメント/レビュー

私は40年前にベネズエラに住んで技術移転の仕事に関わっていた。ベネズエラは石油収入が無くなる時代に備えて工業化を急いでいた。国民の教育にも熱心で優秀な人達には機会が与えられていた。しかし、大衆はインフラ投資の意味を理解できず、独裁者が大衆に迎合して石油収入を無秩序にバラまいた。外国でも働ける優秀な人達は逃げてしまい、国家経済および社会システムが崩壊した。大衆迎合主義にならずに国家を発展することは極めて難しいと思う。(2018/05/09 15:49)

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「世界を揺るがす「俺たち対あいつら」」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私は40年前にベネズエラに住んで技術移転の仕事に関わっていた。ベネズエラは石油収入が無くなる時代に備えて工業化を急いでいた。国民の教育にも熱心で優秀な人達には機会が与えられていた。しかし、大衆はインフラ投資の意味を理解できず、独裁者が大衆に迎合して石油収入を無秩序にバラまいた。外国でも働ける優秀な人達は逃げてしまい、国家経済および社会システムが崩壊した。大衆迎合主義にならずに国家を発展することは極めて難しいと思う。(2018/05/09 15:49)

中国はマシな国というより
テクノロジーを駆使した国民総監視ランク付けディストピアという
あまりありがたくない力業でいかなる反抗も押さえつけられそうって
いう見通しなので、コントロール可能と見なされてるのだと思う

中国が覇権国家になって、国家による国民監視がグローバルスタンダードに
なるって未来には暗澹たる感慨しか抱けませんな

1984の世界が現実化するわけです(2018/05/07 16:13)

中国がまぁマシな国としている時点でこの記事の信用性はセロでしょう。
中国は共産党が支配する一党独裁国家です。
しかも人口が13億人もいる巨大国家です。
国内の問題を外へ吐き出す手段として他国侵略を始めている国家です。
言い換えれば中国は超北朝鮮です。

ロシアや南アフリカは曲りなりも選挙を経たものが政治のトップになる国家です。
南アフリカの失政の最大の原因はアパルトヘイト政策撤廃の後で白人支配から一握りの黒人支配に代わっただけなのがその理由です。
彼らは国民を「支配する側」と「支配される側」に分けて考えます。
日本の様に共存共栄の思想が根付くには少なくとも1,000年以上の歴史を刻む必要があります。
ロシアも同じです。
ロマノフ王朝支配から共産党支配に代わった挙句に国民から見れば支配者が代わっただけでした。
それがゴルバチョフの時代になって大転換が起きたのは歴史に書いてあります。

この位は最低限知っているべき事項です。
今世界的に一番不安定な国家は中華人民共和国です。(2018/05/07 14:23)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官