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正月って、要るのか

姪の反乱は始まっている

2018年1月12日(金)

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正月が苦手です。一家団らん好きな皆さんは団らんを存分に楽しんでいただいて結構なのですが、正月明けの団らん自慢に付き合うのが苦手です。団らんに縁のない人間、団らんを望まない人間もいること、広くご理解いただければ幸いです。(30代女性)

遙から

 やっと正月が過ぎた。

 正月が近づくと毎年ずっと得体の知れない迷いに陥るのだった。

 それは"家族の行事"との距離の取り方についてだ。家族とどう付き合うか。家族の庇護の下にいた頃には選択肢のなかった、自立できたならではの新たな問いかけとしてそれはある。正月が近づく度に陥る答えの出ない迷い。

 相手は家族だ。家族であるからして縁は切れない。が、もはや仲良しさんという関係性ではない大人、いや、高齢になり、まだなお繋がり続ける意味を毎年考えさせられる。

 昔、その違和感は、正月の"家事"に芽生えた。男たちが座敷でくつろぎ、雑煮を食べ、おせちの出来上がり具合にケチをつけながら機嫌よく酒に酔いしれる長い一日。

 その間、朝ごはん、昼、夜、と、女たちはずっと台所で動き回る。正月に日持ちのするおせち料理を作るのは、日ごろ家事に忙しい主婦が正月ぐらいは休めるように、との知恵が込められていると聞いたが、現実は…。そして、この光景が幸せな家族団らんに映る人にとっては手放し難いホッとする光景で、これが、伝統と文化という言葉の縛りに駆り出された嫁たちの労働としか映らない私みたいな女には、疑問しか浮かばない。

 「正月って、要るのか?」

兄嫁のフグ

 男たちは機嫌よく、よく笑った。女たちは疲れた表情を隠さない。この格差をそんなもんだと見える側と、仕方がない、正月ってそんなもんだと受容する側。

 私は、そのどちら側でもない。だから毎年迷うのだ。

 あの、浮かれた奴らと疲れ切った側の顔を見に、実家に帰る必要はあるのだろうか、と。

 そこでまた疑問が浮かぶ。

 「家族って、要るのか?」

 私の家族ごっこ嫌いをよく知る長男の妻は、私をなんとか家族から孤立させまい、と、大晦日に「フグを食べにいらっしゃい」と誘った。

 絶妙にうまい誘いだ。

 家族行事としての「紅白と年越しそば」と言わず、「フグ」という。

 フグなら行ってやろうか、と、行くことにした。

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「正月って、要るのか」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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