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パワハラを防ぐのは、世間ではなく、あなたです

「そんなつもりはない」では、どこにもたどり着けない

2018年3月16日(金)

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ご相談

職場の上司のパワハラに苦しんでいます。しかし、これが微妙なのです。あまりにひどければ訴えるといったこともあり得ると思うのですが、何とかやりすごしながら会社に通う毎日。もちろん異動願いは出していますが、そんな上司を野放しにしている会社ですから、どうなることやら…。(30代女性)

遙から

 相撲界もレスリング界も、そこにある暴力事件やパワハラ事件について組織内で膠着している様子が報道からうかがえる。さて、内閣府へそれぞれ告発状が出されたものの、はたして、内閣府がそれを解決できるだろうか、というのが私の今の一番の懸念だ。

 暴力事件もそこに先輩後輩、横綱とそうでない人、など「力の格差」がある。力格差によって生じるハラスメント、嫌がらせ、というくくりに入れると、どちらのケースもパワハラのくくりとして語ることができる。

 組織にはそもそも“階級”がある。階級がある以上、パワハラは起きて当然くらいの認識をもって注意を払っていないと、容易にそのラインを超えやすい。相撲界もレスリング界も長年の慣習や恒例で出来上がった組織だろうから、今日生きている日常のほんの延長線上に「そこから先はパワハラです」という領域が存在する。でも、ほんのちょっと先に、例えば、説教の流れで殴る、とか、俺が育てたのにどの面で他のコーチに習っているんだ的発想、というのは、いわば、あって当然というか、それほど驚く心理ではない、というところがパワハラの解決の難しさだ。

共感できるか

 パワハラはとても自然に起こる。なんの自覚がなくても起こる。権力を持つ側にはそれはとても自覚しにくい種類のものだ。男女差もある。

 「権力を持ったある男性からのこういうことがつらい」と、違う組織で同様に権力を持つ別の男性に訴えたとして、さて、この“つらい”という感情がどれほど通じるだろう、というのが、私の懸念だ。

 レスリング界の上層部も、相撲界の親方たちも、そして、内閣府の偉いさんも、皆、権力者側だ。権力がもたらす悲劇を、権力を持っている側にどれほど共感できるだろう。

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「パワハラを防ぐのは、世間ではなく、あなたです」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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