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大劇場は遠かった

叱責とパワハラの距離を考える

2018年5月11日(金)

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つい、部下を怒鳴ってしまう私。これって、パワハラ?(40代男性)

遙から

 「どうしてもパワハラしてしまう」

 と、友人についこぼした。正義感が強く有能な女性だ。きっと私を叱ってくれるだろうと思いきや、意外な返事がきた。

 「私もです。どうしてもパワハラしてしまう。だって、いろんな事に気づいてしまうんですもん。鈍感力っていうんですか? そういうの、持ち合わせていませんもん。だから…」

 「だから?」

 「結局、組織が職場の安寧を優先したので、私、異動になります。私さえいなければ誰も嫌な思いをせずに済むのですから」

 女二人が生ガキと白ワインでこぼす話は、やめられないパワハラと、パワハラによる異動。とんでもない時代が来たと思った。
 部下に対する教えとしつけとパワハラの、誰か明確な線引きをしてくれないか。

 私はおっさんみたいな悩みを持て余している。あの、「美人やなぁ、言うたらセクハラらしいで」と言うおっさんと同じ悩みだ。

 パワハラと言えども暴力はふるっていないし、権力を用いての嫌がらせを長期間続けもしていない。でもこれって、「セクハラといえども言葉だけ。セクハラ罪ないしな」という大臣と一緒だ。

 “激しく怒った”だけで、今はもうパワハラとされかねない時代になった。
 機嫌不機嫌をそのまんま部下にぶつける類のわかりやすいパワハラならまだわかるし、マネジメントもできる。“激しく怒った”=パワハラ、となる危険水域を認知して、どう乗り越えるかがベテランの働く女性に問われている。

 「このハゲ―ッ」のあの女性議員も、パワハラだ。傷害の有無の詳細は曖昧だが、「ハゲ―ッ」の言葉と何かを蹴った音、で、アウト。パワハラに相当すると世間は判断した。

 では問うが、上司は部下を叱ってはいけないのだろうか。

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「大劇場は遠かった」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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