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勝負事に家族を頼るべからず

不動産で失敗しまくった私が教えます

2018年6月22日(金)

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ご相談

マンションを買おうと思っていますが、注意点を教えてください。失敗したくないので。

(40代女性)

遙から

 それは「住まいと暮らしを考える」的なイベントの時だった。

 行政が主催する講演の会場は地域の高齢者が多い。だが、今回のように企業が主催で主な客層が今後のリフォームや物件に興味がある層、となると、中高年、と、ちょっと若くなり、会場は枯れた感じよりちょっとアブラギッシュな空間になる。アブラギッシュさの裏付けは経済力であり、企業にとっては攻略対象だ。

 中高年世代が考える「物件と暮らし」を、じっくり考えた。

 どういうメッセージを届ければ聞く人の期待に添えるか。私は自分自身の失敗体験を披露することにした。名づけて「八都物語」。

 私は物件購入も賃貸も失敗し引越しし続けた過去があり、8カ所の町を転々とした。やがてどこにも住めず、サウナニュージャパンが私の宿泊所になり、とうとう、新大阪の倉庫に荷物を入れて倉庫で着替え大阪で仕事する、という家なしっ子になった。買って借りてを繰り返していたら、気がつくと、おカネも家もなくなったのだ。

 だが、ひとつ失敗すればひとつは学習できる。それを重ねて、今日の安寧に至った。それが八都目だった。

 自分の失敗と得た学習、そして転がり落ちる失意の私は、不動産業の人や弁護士、女性団体や事務所のスタッフ、大勢の他人に助けられた。と、赤裸々に喋った。つもりだった。

「遙さんの話には現実味がない」

 客席から声が上がった。中高年の身ぎれいな女性だった。最前列に座っていた。

 「遙さんの話には現実味がない。そんなにうまく協力者が出てくるわけない。不動産屋は自分の物件を売ること以外に力を貸してくれるはずがない。自分は一人暮らしだが、もう年だから娘夫婦が同居にやってくる。最初はリフォームで同居、というはずが、気が付けば家をさら地にすると言い出した。娘は『お母さんの荷物は捨てて』と言い出している。やがては自分も捨てられるのではと不安だ。私の家なのに、娘婿が取引先の不動産屋を、あれはダメ、これもダメ、と断ってしまい、とうとうある業者に絞ってしまった。

 これが現実だ。子供たちがやってくる。そしたら私の家がさら地になる。そして、私のモノが捨てられる。不動産屋を決めるのは娘婿。これが、高齢を迎える今の現実なんだ。いったい、どの不動産屋がこんな私を助けてくれるというのか」

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「勝負事に家族を頼るべからず」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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