• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

地球の上で快哉を叫んだテスラ・ロードスター

米スペースX、巨大ロケットファルコン・ヘビーの打ち上げに成功

2018年2月9日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 テスラ・ロードスターが宇宙を駈けた。

 米スペースXは米東部時間2月6日午後3時45分(日本時間2月7日午前5時45分)、フロリダ州の米航空宇宙局(NASA)ケネディ宇宙センターから、新型の大型ロケット「ファルコン・ヘビー」初号機の打ち上げに成功した。

かつてスペースシャトルが打ち上げられた「39A」射点から上昇するファルコン・ヘビー(画像:SpaceX)
打ち上げ動画像(SpaceX)。カメラワークの見事さも要注目だ。本当にスペースXは、ネットでの効果的な情報公開のやり方を心得ている。

 成功したのは打ち上げだけではない。燃焼を終了した2本のブースターも、ケネディ宇宙センターに逆噴射により無事着陸して回収に成功した。一方、沖合いに展開したプラットホーム船に着陸する予定だった第1段(コアステージ)は、逆噴射用推進剤が不足したためプラットホーム船横の海面に激突し失われている。

ケネディ宇宙センターの着陸場に2本同時着陸するファルコン・ヘビーのブースター。SF映画で観たような光景が現実のものとなった(画像:SpaceX)

 第2段の上には、打ち上げ能力確認用のダミーペイロードとして米テスラの電気自動車、テスラ・ロードスターが搭載されていた。その第2段は2回の噴射で地球周回軌道に入り、打ち上げから6時間後に第3回噴射により、火星軌道を超え、小惑星帯にまで到達する太陽周回軌道へと投入された。

 ベタではあるが、テスラ・ロードスターは文字通り宇宙を駈ける最初の市販自動車になったのだった。

フェアリング内に搭載されたテスラ・ロードスター(画像:SpaceX)

 このファルコン・ヘビーの成功は、2010年以来スペースXが進めてきたロケット、ファルコン9シリーズの開発にとって大きなステップだ。商業打ち上げには、「静止軌道への衛星直接投入」というメニューが用意されることになる。

 同時にファルコン・ヘビーは、大型の偵察衛星などを打ち上げている米国の安全保障分野の官需打ち上げにスペースXが食い込むための武器となるだろう。

 さらに、この巨大な打ち上げ能力を生かせば、地球から離れた外惑星や、非常に行きにくい水星に比較的短期間で到達できるので、太陽系探査には長期的に大きな貢献となるはずだ。

 それら現実の効果以上に、今回スペースXが成し遂げたのは、世界中の宇宙開発に対しての大きなメッセージの発信だ。ネットに配信されたロードスターの磨き上げられた赤い表面に地球が写る、大変印象的な、また挑発的な映像を、ネットを通じて配信したのである。「なにをぐずぐずしている。人類はこれだけのことができる力を持っているのだ」――。

コメント11件コメント/レビュー

>打ち上げ能力は、地球低軌道に最大63.8トン。これは日本のH-IIA(地球低軌道に10トン)の6倍以上だ。

そういやなんで本邦の比較対象のロケットがH-IIAなんだろうかね?
「デルタ4ヘビー」を比較対象として挙げるなら、「H-IIヘビー」なH-IIBを比較の対象とすべきなんじゃ?
H-IIBなら低軌道に19トン投入出来る。
あと、松浦さんが書いているように初段やブースターを使い捨てにしなかった場合の「ファルコンヘビー」は、H-IIBの1.5倍程度の投入能力しかない。
再利用する事に本当にメリットがあるのかな?
確かその昔、松浦さんは再利用型ロケットを否定していたかと思うのだけど。

http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/031101.shtml


【こちらのコメントに、松浦さんから回答をいただきました】----------

松浦です。コメントをありがとうございます。

 H-IIBではなく、H-IIAを比較対象に使った理由は、H-IIBが基本的に国際宇宙ステーション(ISS)への貨物輸送を行っているHTV打ち上げ専用として開発されたからです。注文があれば商業打ち上げも行うでしょうが、ロケット本体製造に要する期間、契約から打ち上げまでの時間、打ち上げ能力と衛星重量の関係(シングル・ローンチか、デュアル・ローンチか)などを考えると、今後とも商業打ち上げに使われる可能性は低いと判断しました。

シャトルが失敗した再利用をファルコン9がうまくやっている理由は面白いので、別途1回書きましょうか、と編集Yさんに相談しています。マニアックすぎてあまり読まれないかもしれませんが。(2018/02/14 01:08)

オススメ情報

「宇宙開発の新潮流」のバックナンバー

一覧

「地球の上で快哉を叫んだテスラ・ロードスター」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>打ち上げ能力は、地球低軌道に最大63.8トン。これは日本のH-IIA(地球低軌道に10トン)の6倍以上だ。

そういやなんで本邦の比較対象のロケットがH-IIAなんだろうかね?
「デルタ4ヘビー」を比較対象として挙げるなら、「H-IIヘビー」なH-IIBを比較の対象とすべきなんじゃ?
H-IIBなら低軌道に19トン投入出来る。
あと、松浦さんが書いているように初段やブースターを使い捨てにしなかった場合の「ファルコンヘビー」は、H-IIBの1.5倍程度の投入能力しかない。
再利用する事に本当にメリットがあるのかな?
確かその昔、松浦さんは再利用型ロケットを否定していたかと思うのだけど。

http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/031101.shtml


【こちらのコメントに、松浦さんから回答をいただきました】----------

松浦です。コメントをありがとうございます。

 H-IIBではなく、H-IIAを比較対象に使った理由は、H-IIBが基本的に国際宇宙ステーション(ISS)への貨物輸送を行っているHTV打ち上げ専用として開発されたからです。注文があれば商業打ち上げも行うでしょうが、ロケット本体製造に要する期間、契約から打ち上げまでの時間、打ち上げ能力と衛星重量の関係(シングル・ローンチか、デュアル・ローンチか)などを考えると、今後とも商業打ち上げに使われる可能性は低いと判断しました。

シャトルが失敗した再利用をファルコン9がうまくやっている理由は面白いので、別途1回書きましょうか、と編集Yさんに相談しています。マニアックすぎてあまり読まれないかもしれませんが。(2018/02/14 01:08)

>少子高齢化が進む日本の場合、国の予算は社会保障や安全保障に重点を置かざるを得ないから、宇宙関連の予算は限られるけど、米国のように民間の企業が独自にロケット開発を行いコストを抑えれば米国の宇宙指向は高まるというか、フロンティア精神は宇宙に向ってるのかも。

厚生労働省の予算は30兆円以上、防衛予算は5兆円以上、対して宇宙関係予算は二千億円とちょい。
現状でも首都高のトンネル工事費換算で二キロ分程度の「はした金」しか使っていないのだが、これをどう減らせと。(2018/02/12 19:38)

>”宇宙旅行の父” 「マッドCEO」 イーロン・マスク

"宇宙旅行の父"はバート・ルータンじゃね?

弾道飛行とは言え、民間初の有人宇宙機を"宇宙"にまで送りとどけたわけだし。

スペースXのドラゴンは本邦のHTVと同様にまだ無人機だし。(2018/02/11 00:15)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

旅行業だけを追いかけて大きな成長が 見込める時代ではなくなりました。

高橋 広行 JTB社長