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中国「私有財産を消滅させよ」論争の不気味

「爆竹禁止」の北京で「戊戌の年」の行方を考える

2018年2月21日(水)

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春節に厄を払い「発財」を願う爆竹が、今年の北京では禁止された(写真:AP/アフロ、2011年撮影)

 中国をはじめとする中華圏は2月16日に春節(旧暦の正月)を迎え、本当の意味での2018年戊戌の年が始まったのだが、今年の春節はどうも不気味である。

爆竹聞こえぬ北京、焼身自殺続くチベット

 一つは北京でまったく爆竹の音がしなかった。除夕(旧暦の除夜)から日付が変わるまで、中国では爆竹・花火を鳴らして厄除けをする伝統があるが、北京が爆竹禁止地域に指定されたため、まったくもって静かだった。おかげで、北京の春節を青空で迎えられた、と肯定的に報道するメディアもあるが、私の友人たちは「一発の爆竹の音もしなかった。誰一人習近平の命令に逆らわない、というのがすごく不気味」と言っていた。これまでは、お上から命令されても、上に政策あれば下に対策あり、と抜け道を探って個人の欲望を満たすのが中国人だったのに。

 もう一つは春節2日目の17日夕のチベット自治区ラサのジョカンの火災。世界文化遺産にも指定されている1300年の歴史をもつチベット仏教の名刹が火災だというのに、新華社は「すぐに消し止められた。けが人はなく、秩序は正常だ。自治区書記の呉英傑が現場指揮にあたった」とあっさりしたものだ。燃え盛る名刹の衝撃的な映像、写真は中国のネット、SNSで削除対象となった。

 チベットでは中国共産党の宗教弾圧、民族弾圧に抗議して僧侶や信仰の厚い庶民の間で焼身自殺が続いている。昨年(2017年2月~2018年2月)だけでも6人が焼身自殺した。その中には16歳の少年もいる。ジョカンの火災映像に焼身自殺したチベット人たちの悲憤を重ねた人もいたのではないだろうか。チベット正月・ロサを見舞ったこの火事の原因はまだ不明だが、信仰の象徴である重要な寺院や仏像が焼失したことによるチベット人の心の動揺を懸念しすぎるあまりに、中国当局が弾圧・統制を一層厳しくするのではないか、と胸騒ぎがするのである。

 さて、こうした不穏な一年の始まりを予感させる事象の中で、今回取り上げたいのは今年1月から突如吹き上がった「私有制度消滅」論である。単なるネット上の学者の論争というより、私には習近平政権が本気で中国経済を公有制路線に先祖返りさせようと考えているのではないか、そのための観測気球ではないか、という気がしたので、一度詳しく整理しておきたい。

コメント18件コメント/レビュー

あって当然の記事が出たということで納得できる。この1年かんに3回中国へ旅行したが、「社会主義」はどこへ行ってしまたのか?といつも感じていた。もしかしたら最も社会主義・共産主義が合わない地域なのかとも思った。日本列島では弥生時代だったころから人名が残っている中国地域で私有財産が当たり前の歴史が長すぎたのではと思っていた。習近平の今後を注視したい。(2018/06/25 13:56)

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「中国「私有財産を消滅させよ」論争の不気味」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

あって当然の記事が出たということで納得できる。この1年かんに3回中国へ旅行したが、「社会主義」はどこへ行ってしまたのか?といつも感じていた。もしかしたら最も社会主義・共産主義が合わない地域なのかとも思った。日本列島では弥生時代だったころから人名が残っている中国地域で私有財産が当たり前の歴史が長すぎたのではと思っていた。習近平の今後を注視したい。(2018/06/25 13:56)

「私有財産を消滅させる」とは、「生産手段の社会的所有=国有化」を意味し、それをもとに共産主義の「計画経済」は成立する。
習近平は、AIなどを利用すれば、この共産主義の理想が達成されると考えているのではないのだろうか。狂信者ではあるが、今の中国のAIの発展を考えれば恐ろしいことである。(2018/02/25 10:30)

 「私有財産廃止」をブチ挙げて様子を見ていると?誰の様子を?
中国の巨大企業の総帥でないコトは明らかでしょう。改革開放で懐を肥やした
共産党員とか官僚への脅し文句か?ただ、その日その日をカツカツで生きている
人々は喝采するかもしれませんね。

 整風運動は延安における上意下達の党内規律を徹底し、百花斉放と反右派闘争
毒草狩りは共産党にとり小うるさい知識人や文化人を処分したし大躍進と文化大革命
は党内における毛沢東の絶対権力の確立、異論の排除でした。今回の政治的な狙いは?

 ただ、解放直後の共産党員ではもはやないのです。改革開放で甘い汁をたっぷり
吸い、昔の”プチ・ブル”など笑い飛ばすような”グラン・ブル”な党員もあまた
居られる。
 さらに言えば、ご指摘のように私有財産廃止で外資が逃げない はずは無く
外資を接収となれば、その反作用で中国の対外投資や貿易に悪影響は必至です。
今までの経済システムを全てブチ壊し丸々新しく組み直すつもりか。それとも
AIとネットにより国家発展改革委員会で全ての経済活動を党の統制下における
自信でもあるのか。経済面でも混乱が起きないと思えないですが(2018/02/21 22:50)

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