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米朝会談に中国はどうからむのか

日本に迫られるプレイヤーとしての米中との駆け引き

2018年5月16日(水)

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 こうした予測情報がいろいろ流れる背景は、米朝首脳会談の日程と場所が決まっていながら、その成果の見込みがまだ立っていないからだ。可能性としては、トランプサイドが主張する「完全で検証可能かつ不可逆的な核廃棄(CVID)」をそれなりの期限(6カ月から1年)を切って行うという文書で合意となるか、金正恩サイドが主張する半島の非核化への数年をかけた段階的措置で合意となるか、あるいは決裂するかの三択であるが、成果が違えば、当然中国にとっても戦略が変わってくる。何度も言っているが、中国にとって半島問題の最大のテーマは、非核化ではなく、米中新冷戦構造における勢力争いである。

 中国がどういったシナリオを望んでいるかも、実のところ分析がわかれている。5月7日に行われた大連での習近平・金正恩会談については、大連で初の国産空母「山東」の試験航海にあわせて行われ、金正恩を中国最新の空母に乗艦させたのではないか、という見方もあった。それは、双方の軍事同盟関係をアピールし、米朝会談を前にした米国への牽制だとも言われている。このとき、金正恩は習近平に緊急の経済支援を頼み込んだという情報もあるが、それに習近平が応じたという話は今のところ聞いていない。

トランプはZTEの事業再開に含み

 その直後、習近平とトランプとの電話会談では、北朝鮮に恒久的に核開発・ミサイル開発計画を放棄させるまで制裁を緩めずに継続することが重要だという認識で一致した、ということになっている(ただし新華社はこれを報じていない)。もちろん、習近平は、「双方が信頼を築き、段階的行動で、双方の関心事を解決し、北朝鮮への合理的な安全を考慮して、共同で半島の政治問題を解決してほしい」ということも言っているが、金正恩が切実に望む制裁解除への口添えはなかった模様だ。こうしたことから、習近平としては北朝鮮に完全に肩入れして、その利益の代弁者として米国と対峙するつもりはない、という観測がある。ひとまずの傍観者席をキープしつつ、推移によって、次の対応を決めようとしているのではないか。

 中国にとって米国との駆け引きで重要なテーマとして、半島問題と並行して通商問題がある。貿易戦争開始後の一回目の米中通商協議は物別れで、非常に険悪な雰囲気であったと伝えられている。米国から仕掛けられた貿易戦争では、目下中国がかなり不利に追い込まれている。だが、それに屈するわけにはいかない中国側の内政上(習近平政権の安定性)の事情がある。そういう中、中国がもっとも青ざめたといわれる中興通訊(ZTE)への米国製チップ禁輸措置で、トランプが急にZTEの事業再開のために習近平と協議中であるとツイート(5月14日)した。ZTEはこのまま米国が禁輸を続ければ破綻に追い込まれることは確実な状況だった。

コメント28件コメント/レビュー

北朝鮮が中国の鉄砲玉だとすれば、その利用価値は『日本のタマを取る』ことだろう。
米朝会談を決裂させて、アメリカの先制攻撃、同時に北朝鮮の東京ミサイル攻撃。
北朝鮮は壊滅するが、その時はすでに中国はりピョンヤンを占拠しアメリカの進出を阻止。
中国は戦争特需により国内に抱えているバブル問題の清算、及び対米貿易問題処理を有利に行うだろう。
日本は経済的に壊滅的打撃を受けて、復興までの20年間は国際社会の表舞台から消えざるを得ないだろう。
その間、国際勢力図は大きく塗り替えられ、中国の版図は拡大安定するだろう。(2018/05/21 11:06)

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「米朝会談に中国はどうからむのか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

北朝鮮が中国の鉄砲玉だとすれば、その利用価値は『日本のタマを取る』ことだろう。
米朝会談を決裂させて、アメリカの先制攻撃、同時に北朝鮮の東京ミサイル攻撃。
北朝鮮は壊滅するが、その時はすでに中国はりピョンヤンを占拠しアメリカの進出を阻止。
中国は戦争特需により国内に抱えているバブル問題の清算、及び対米貿易問題処理を有利に行うだろう。
日本は経済的に壊滅的打撃を受けて、復興までの20年間は国際社会の表舞台から消えざるを得ないだろう。
その間、国際勢力図は大きく塗り替えられ、中国の版図は拡大安定するだろう。(2018/05/21 11:06)

習近平は唯一の同盟国である北朝鮮を見捨てるとありますが、習近平のシンガポール行きが本当だとしたら、今度のシンガポールでの米朝首脳会談におけるチャイナの立ち回りに関する私の予測は少し異なります。

北朝鮮は核を手放そうとしないでしょう。しかしその場合、アメリカによる更なる制裁強化を招き最悪だと米朝戦争開戦に至ります。これで北朝鮮が無秩序に崩壊するのはチャイナとしては難民問題も含めて耐え難い事態です。

北朝鮮、否、金正恩が核を手放せない理由はアメリカが「体制保証する」と言っても信じられないからです。リビアのカダフィの運命やアメリカが一旦は結んだイランとの合意を大統領が交代した途端に破棄するのを見れば、アメリカの言う「保証」を信用できないとしても不思議ありません。

ですが、習近平が「核の完全放棄を受け入れればアメリカだけでなく昔からの血盟である我が中国が全力で貴方の身の安全と体制維持を保証します」と言えばどうでしょうか。

この場合、金正恩は受け入れる可能性が極めて高いと思います。彼は馬鹿でも狂人でもありません。この習近平の仲裁をければ良くても徹底した経済制裁による破綻、悪くすれば米軍と人民解放軍双方による軍事的制圧を受けるのが確実になるからです。

チャイナも最近までは北朝鮮の核はアメリカや日本を牽制し上手く使えばアメリカに日本を見捨てさせる(アメリカの核の傘が日本から外される)手段として使えると考えて見逃してきたと推測されます。だが、金正恩がチャイナの予測以上に核を使って危険なゲームを始めてしまい、しかもアメリカの新大統領がチャイナの予想以上に対北朝鮮で強硬に出て軍事行動も躊躇しないと本気で考えていると推測された以上、チャイナとしても北の核をもはや放置できない状況になってしまったと思われ、金正恩が習近平を頼ってきたのを好機と捉え仲介者&後見人となることで朝鮮半島でのチャイナの支配権強化を狙っていると思われます。(2018/05/19 14:40)

>『脇腹に突きつけられた短剣』
その短剣を強化させようとしているのが、イスラエルロビーに操られる米国のネオコン勢力であり、その日本支店が自民党。
その自民党が目論む憲法改定が、日本の得物を『護身用短剣』から『飛び道具』へ持ち替えさせる手段だと考えれば現在の政治の動きが解り易いでしょう。
日本が得物を『護身用短剣』から『飛び道具』へ持ち替えることが、中国の対日外交策にどんな影響を与えるか、また好戦的ネオコンがリクエストするであろう海外派兵要請に、どの様に対応できるのかを良く考えなくてはなりません。(2018/05/18 16:32)

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