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女優・范冰冰に脱税疑惑? 芸能ゴシップを深読み

軍部関与もささやかれる「陰陽契約」の実態

2018年6月13日(水)

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 だが、CCTV元アナウンサーの崔永元が5月末にSNS微博を通じて暴露した范冰冰の「陰陽契約」(表と裏のある二重契約、おもに脱税目的)の実態は、ガセとは言い切れない。この情報発信をきっかけに、中国当局が捜査を開始し、しかもターゲットは范冰冰にとどまらず、その背後の中国最大の映画エンタメ企業グループ「華誼兄弟(ファイ・ブラザーズ)」、そしてその背後の軍部にまで及ぶのではないかといわれているのだ。

 華誼兄弟は1994年に軍籍の王中軍、王中磊が創設した総合エンタメ企業で、馮小剛や姜文ら才能ある監督を発掘し積極的に投資、中国を代表するヒット作を飛ばし続けてきた。2009年には深センベンチャーボードに上場。2017年にはハリウッドのSTXエンタテイメントと提携して、本格的なハリウッド進出を狙っている。

 華誼の急成長の背景には軍があるとかねてから言われている。創業者の王兄弟は軍高官の息子、「軍二代」であり、いわゆる「部隊大院児」の特権階級。王中軍自身も元軍人だ。もともと中国の映画産業を含むエンタメ産業の根っこは八一電影製片廠や解放軍文工団にあり、中国エンタメのノウハウ、人材の少なからずが、部隊大院出身といわれている。

 そもそも中国映画の名作には解放軍礼賛のプロパガンダ映画が多い。昨今、中国で異例なヒットとなった「戦狼」や今年春の興行成績1位となった「紅海行動」は民間の制作会社が作った軍事映画だが、解放軍が物心ともに関与しているという意味では、軍部プロパガンダ映画の系譜といっていいだろう。

中国のエンタメ産業を牛耳る主要人物たち

 映画だけでなく文藝、演劇、歌謡といった中国のエンタメ産業を牛耳る主要人物のおよそ半分は軍部出身、北京の部隊大院出身者、あるいはその子弟や周辺者が占めている。

 部隊大院とは、解放軍の様々な部隊に所属する軍籍者家族が暮らす統一整備された共同生活圏で、食堂、病院、プールなどさまざまな施設がそろい、幼稚園から中学校までの教育機関もあって一貫した英才教育が行われていた。

 ほかにも国務院や国家機関の幹部家族の暮らす幹部大院もある。北京ではもともと、「大院文化」というものがあり、職業や身分が同じ人間が共同生活しながら助け合い、子弟の英才教育を協力して行う伝統がある。故宮自体も一種の大院であり、胡同生活もそうである。

 もともとそういう文化があるから、幼稚園から学校まで併設された社会主義的な共同生活システムとの相性がよかったのかもしれない。解放軍の部隊大院はさまざまな大院の中でも、飛び切りの英才教育が可能で、特に本来、生活スキルに直結しない芸術、芸能方面のエリートは、部隊大院でないとなかなか育たない中国の社会状況もあった。

 こうして英才教育された子弟を「大院児」とよぶが、具体例をあげると、文壇では王朔、ドラマ・映画界では鄭暁龍や陳凱歌、姜文、管虎、中国ロックの父である崔健など、中国を代表する文化人が軒並み部隊大院児なのである。

コメント9件コメント/レビュー

習近平と軍部がどれだけ仲悪くても、結局、領土拡大では一致してるわけですよね。 武力を避けるか、使いたいか、の手段の違いだけで。

どちらが主導権を握ろうと、日本を始めとした関係国は対抗策を講じる以外にないですね。

その時、南北朝鮮の旗色が明らかになるんでしょう。 もしかすると旗が1つになるキッカケを作ってしまうかも。(2018/06/15 13:58)

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「女優・范冰冰に脱税疑惑? 芸能ゴシップを深読み」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

習近平と軍部がどれだけ仲悪くても、結局、領土拡大では一致してるわけですよね。 武力を避けるか、使いたいか、の手段の違いだけで。

どちらが主導権を握ろうと、日本を始めとした関係国は対抗策を講じる以外にないですね。

その時、南北朝鮮の旗色が明らかになるんでしょう。 もしかすると旗が1つになるキッカケを作ってしまうかも。(2018/06/15 13:58)

『習近平激怒』という表現を見ると、矢張り彼は『沈着冷静な政治家』と言うよりは『今皇帝』なのだと思う。自分の意にそぐわない出来事には感情をむき出しにして怒る、或いは怒っている事を関係者に知らしめる。国家主席の三選禁止も取り外して『終身国家主席』であり共産党中央委員会総書記と中国共産党中央軍事委員会主席も死ぬまで居座り続けるか、自分が退いた後も十分な影響力を残す積もりだろう。江沢民も嫌な政治家だったが、習近平はそれ以上に酷い、中国にとっては最悪の政治家になった。胡錦濤政権末期に『次期リーダー候補』の一人として紹介された時からずっと『中国史上最悪の指導者』と感じているが、最近は益々その意を強くしている。中国の友人知人の事を思い出す度に、彼等は現在は影でも習近平の批評は控えているだろうと思うと、暗澹とせざるを得ない。(2018/06/14 10:34)

> そもそも中国映画の名作には解放軍礼賛のプロパガンダ映画が多い。
共産党政府になってから、文革が終わるまでは、八一電影製片廠のような人民解放軍の映画スタジオによる作品がメインであったが、それらが「名作」というのかということについては疑問だ。
その後、中国国外でも有名な陳凱歌、張芸謀、馮小剛、田壮壮といった監督の作品に「多い」というほどのプロパガンダ映画があるとも思えない。中国の映画には清朝以前の時代劇も多く、その場合は人民解放軍の出番はない。

> さて范冰冰は、この華誼映画の看板女優である。
2007年に、華誼との契約が満了し「范冰冰工作室」というプロダクションを立ち上げ、他の所属タレントのマネジメントや映画の製作を行っている。華誼以外の作品にも多く出演をしているので、現在「看板女優」というのには無理があるのではないか。

「華誼兄弟」のビジネスが順調なのは、軍人脈がバックにあるからかも知れないが、記事にあるコメディ映画「手機」、中国での北海道旅行ブームのきっかけとなったやはりコメディ映画「狙った恋の落とし方」、香川照之が出演をした「鬼が来た」などを制作しており、基本的にはエンターテイメント性の高い作品が多いと言える。(2018/06/13 20:30)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官