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中国がパナマと国交樹立、その意味を考える

トランプ迷走の中、台湾を追い込みつつ中南米攻略へ

2017年6月21日(水)

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中国とパナマが国交樹立。中国は中南米を飲み干せるのか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 中国がパナマと国交を樹立した。すなわち台湾とパナマが断交したことになる。これは単に、台湾の国際生存空間が中国によって狭められた、という以上の意味があるのではないか、と思う。そのあたりをいろいろ推察してみたい。

パナマへの照準は毛沢東時代から

 パナマは6月12日夜に中国との国交樹立を発表。「一つの中国」政策を支持し、台湾が中国の一部であるとして、これを受けて台湾と断交することになった。2016年12月には西アフリカの島国サントメ・プリンシペが中国との国交樹立とともに台湾と断交したのに続いて、台湾に蔡英文政権ができてから、台湾と正式国交を結ぶ国は二つ減った。残るはバチカン市国を含めてわずか20カ国。昨年は、中国がブルキナファソに多額の経済支援と引き換えに台湾断交を持ちかけていたことが、ブルキナファソの外務担当相に暴露されるなどしていたが、台湾と正式国交を持っていた国の中では、最も影響力の強かったパナマとの断交によって、他の小国もドミノ式に、台湾から中国に乗り換えていくのではないか、という声もある。

 ちなみにパナマは、蔡英文が台湾総統に就任した後、最初の外遊先に選び、パナマ運河拡張工事の竣工式にも参加した。中華民国として107年の国交があり、パナマは台湾にとって最重要友好国としての待遇を受けてきた。経済援助も過去数十年にわたって累計十数億ドルに上るという。だが、パナマ運河利用国第二位である中国の方が、パナマ経済にとっては重要であるということだろう。パナマの対中ラブコールは今に始まったことではない。

 中国としては、1964年当時、米国の支配下にあったパナマ運河地帯でパナマ学生がパナマ国旗を掲揚しようとして、暴行を受けたことから始まる市民暴動・国旗事件のころから、パナマへのアプローチを続けており、毛沢東はパナマの運河主権回復を支援するためのデモを指示したりもした。84年に香港返還を決めた中英連合声明が出されると、香港を窓口とした経済関係が強化され、香港に置かれる貿易事務所が事実上の大使館として機能することとなった。

 このころ、台湾総統であった李登輝は巨額の援助を伴う札束外交攻勢によってパナマをつなぎとめていたが、2000年、陳水扁民進党政権になると、パナマ側は足元をみて外交関係維持をちらつかせて台湾に経済利益を要求するようになった。陳水扁政権の行った対パナマ経済援助は、かなりの部分が当時の女性大統領・モスコソの個人資産に入ったといわれるし、また陳水扁が機密費から彼女に巨額賄賂などを送ったことなどが、後に問題視されることとなった。

 2004年にマルティン・トリホスが大統領になると中国と急接近、この時点で中国・パナマ間の国交樹立の方向への認識が共有されることとなった。だが2009年、いざパナマ側が中国との国交樹立を望んだとき、おりしも台湾は親中派の馬英九が総統。2011年にウィキリークスが暴露した駐パナマ米大使の外交電文によれば、中国側はこのパナマの申し出を拒否したという。馬英九のメンツを優先させたからだという。ちなみに、ロイター通信によれば、この当時、中国が外交関係樹立を持ちかけられて、馬英九政権のために拒否した国は五カ国に上るとか。

コメント13件コメント/レビュー

中国としてはニカラグアの運河建設が怪しいんで、パナマに乗り換えたって事なの?
パナマとしては中国を取り込む事で、ニカラグアから手を引かそうともしてるの?
それとも中国は二兎を追っているの?どっちかさえ手に入ればオッケーてなリスクヘッジなの?
分からない事だらけでした。(2017/06/24 22:00)

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「中国がパナマと国交樹立、その意味を考える」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

中国としてはニカラグアの運河建設が怪しいんで、パナマに乗り換えたって事なの?
パナマとしては中国を取り込む事で、ニカラグアから手を引かそうともしてるの?
それとも中国は二兎を追っているの?どっちかさえ手に入ればオッケーてなリスクヘッジなの?
分からない事だらけでした。(2017/06/24 22:00)

 中国は長期戦略に基づいて行動していると思います。ポピュリズム的な選挙に依存しないリーダーであること、孫子の兵法を生んだ国民性であり、出遅れ近代化を取り戻そうとして拡大期の最中にあります。中南米を味方にしたいのは、第一に運河の占有権を得たいためでしょう。欧州やブラジルにアクセスするには、一帯一路だけでは近接諸国を通るので心もとなく、中南米の運河は力強い味方の確保になります。台湾については、併合姿勢を弱めると国内分裂に口実を与えるので、常に圧力を加え続けるでしょう。併合が可能か否かはともかくとして。
 米国は昔から驕りがあって、メキシコ含む中南米諸国に反米が多くても平気の政策を取ってきました。でも、中国の台頭で足元が危うくなって来ることにまだ関心が薄いようです。
 我が国は近隣の東アジア情勢に目を奪われる欠点があります。基本的には経済力がベースになるので、従来通り経済力の維持・強化とそれに基づく平和外交による幅広い国際協力・支援が欠かせません。同時に、最近の近視眼的な米国にアドバイスを積極的にすべきだと考えます。(2017/06/23 00:10)

「この事件にしても、むしろ台湾世論の蔡英文批判は「中国になめられている」という方向に流れる。もし、中国の圧力に弱腰の蔡英文政権がダメだと台湾有権者に判断されれば、おそらく次に登場するのは、民進党のより反中的な、例えば頼清徳(台南市長)あたりが総統候補として台頭してくるのではないか、と見られている。」

これって、そうなんでしょうか?ソースはどこらへんでしょうか?
個人的な所感としては逆な気がするのですが。

例えば頼清徳台南市長が台頭するとはとても思えません。

台湾は一応国としての呈はなしていますが、国民が独立国としてのアイデンティティーを持っているとは感じられないし、そのようなアイデンティティーを持つには時間的にも状況的にも厳しすぎると思います。

将来的には、ある時点で親中に流れるのは避けられないと思います。それが近い将来かどうかはわかりませんが。中国もそれを見越して行動していると思います。筆者の観測より中国が行動で示している方向性が正しいという気がします。(2017/06/21 23:04)

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