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海南航空集団・王健会長の突然死を巡る黒い噂

背後にチラつく大物政治家たちの利権

2018年7月11日(水)

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利権に絡む? 王岐山の親族

 HNAは、すでにこのコラムでも触れてきた(「大物・王岐山の進退、決めるのは習近平か米国か」)ように、王岐山の親族が利権に絡んでいる、と言われてきた。王岐山の甥がHNAの匿名役員であるとか、HNAの過半数株を占める二つの慈善団体・海南省慈航公益基金会と在米海南慈航公益基金会の最終受益者がそれぞれ王岐山と習近平の私生児であるとか、といった話である。

 このネタ元は、北京五輪プロジェクトの黒幕でもあった政商・郭文貴で、今は習近平政権から汚職などの国際指名手配を受けて米国に逃亡中だ。その逃亡先のニューヨークからインターネットを通じて、王岐山の“スキャンダル”をいくつも投じているが、郭文貴情報にはフェイクも相当混じっているといわれ、うのみにするのは要注意だ。

 だが、わずか1000万元の資金でスタートした海南航空が、ジョージ・ソロスを口説き落として出資させ、中国A、B、H市場に同時上場し、新華、長安、山西といった地方航空会社を次々と買収する資金を得て、中国主要銀行がほとんど無審査で6000億元以上の融資を行って、外国企業を買いまくってきたプロセスをみれば、そこに大きな政治権力が介在していたことは間違いない。その大きな政治権力を代表する一人が王岐山であるというのは、HNA創始者の一人、陳峰が、王岐山が農村信託投資公司社長時代の部下であったことを思い出せば、腑に落ちるところでもある。

 だが、このHNAは2017年ごろから、ホワイトハウス広報部長・スカラムッチの所有するヘッジファンドにも買収の手を伸ばすなど、トランプ政権の警戒心を呼んだ。米国メディアは、その株主構成や資金の流れに対してすでにかなり深く取材しているし、米国当局もおそらくHNAに対する調査をおこなっているはずだ。こうした流れを受け、習近平政権は主要銀行にHNAを含む五大民営企業に融資を一時停止するよう指示。この結果、HNAが受けていた6000億元に及ぶ融資は瞬く間に焦げ付き、今年に入ってからは香港やシンガポールの資産の投げ売りが始まっている。

 一方で、習近平政権は今年2月には改めてHNAの“救済”を決定した。これはウォールストリート・ジャーナルが報じている。どうやら安邦保険集団を接収したやり方よりはマイルドなようだが、それでも国有資産管理当局の下での強制的な再編成であり、フィナンシャルタイムズ(7月5日)などは、安邦の事例と並べて習近平政権の民営企業に対する強硬姿勢と論評している。もっと率直に言えば、民営企業の乗っ取りともいえるかもしれない。

 なので、王健の死に疑問を持つ人たちは、ひょっとすると、このHNA再建のプロセスで、隠蔽せねばならないこと、消し去られねばならない証拠があって、王健を邪魔だと考える者たちによって、「自殺」させられたのではないか。あるいはHNA内部の権力闘争、利権争奪戦の過程で王健が負けて排除されたのではないか、などといった謀略小説のようなストーリーを想像するのである。実際、HNA内部の合併がすすめられると、利権争いがおきて、陳峰VS王健の対立が先鋭化していたという話もある。

コメント7件コメント/レビュー

独裁者は排除しましょう。(2018/07/12 14:55)

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「海南航空集団・王健会長の突然死を巡る黒い噂」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

独裁者は排除しましょう。(2018/07/12 14:55)

『自らの利権がかかわるHNA再建には、莫大な融資を国有銀行に窓口指導で命じている』の記述には『矢張りね!』と強く思う。『汚職の取締』名義で政敵である『反習近平』派はもちろん、『非習近平』派まで排除してきたが、自分自身も同じ『汚職』をやっている。彼が何も悪いことをせずに現在の資産を持てていたはずがないし、最初の内は『巨悪』だけが取締の対象で、自分自身は『小悪』だから対象外という理屈かと思っていたが、それだけでは排除しきれない競合者達を『小悪』を理由に逮捕したり地位から引きずり下ろしたりしだした時に地金を現した。彼は私腹を肥やす意味では『小悪』の部類に属するのだろうが、やっていることは彼自身が『巨悪』ではないか!『そうに違いない』と推定していたことが、この記事のように具体的な事件を並べて証明されると、『そうだろう、そうに違いない』と確信する。次期トップの候補者として紹介された時から、いけ好かない感じが強かったが、年々独裁色を強める政治手法を見て時代錯誤の異常権力者の本性を見る思いを強くしている。高等教育を受けて先進国を自分の目で見ている私の友人知人たちは彼の独裁をただ黙ってみているだけなのだろうか?影では胡錦濤時代でも共産党を批判していた人もいたが、今は口を噤んでいるのだろうか?記事で紹介された29歳の女性は素性がはっきりしないが、この様な人達は命懸けで批判をする極少数なのだろう。(2018/07/12 05:42)

資源高の時に石油会社や鉱山会社を高値で買収してたのは知っていたが、国家ぐるみでホリエモンみたいだったとは、呆れた。破綻は避けられそうにない。(2018/07/11 19:55)

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