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中国に飲み込まれる香港、強まる解放軍の存在感

徐々に消滅する「一国二制度」の壁

2018年11月7日(水)

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 先月、所用があって北京から香港を訪れた。そのとき9月23日に開通したばかりの北京―香港直通高速鉄道「広深港高速鉄道」に乗ってみた。香港から北京に戻るときは、やはり10月23日に開通したばかりの香港・珠海・マカオ大橋を通って、香港から珠海入りし、珠海からマカオ入りしてみた。実際、この直通ルートを通じて、香港に出入りしてみると、もはや香港は中国の一地方都市にすぎないことが実感されてしまう。かつて法治と自治を守り、中国よりも経済と金融の自由が約束されていたはずの香港の一国二制度は今や完全に昔話。中国に飲み込まれつつある香港の現状と未来について、最近の出来事から考えてみたい。

乗降客で混雑する高速鉄道「広深港高速鉄道」のホーム

 北京―香港直通高速鉄道だが、便利かどうかという点でいえば、なかなか便利である。
 北京西駅から香港西九龍駅まで所用時間約9時間。飛行機であれば4時間弱だが、国際便扱いなので2時間前のチェックインにかかる時間や空港までの移動時間、そして飛行機にありがちな天候による遅れなどのロスを考えると、比較的時間通り運行される高速鉄道の方が合理的であったりする。しかも料金は一等席でも1724元、二等席は1077元と飛行機よりはかなり安い。一等車では、飲み物は女性キャビンアテンダントがワゴンを押して無料でついでくれるなどのサービスもあり、席も左右二列ずつで広め、一席につき一つはコンセントもあるので、スマホやパソコンを使って仕事も可能。中国の駅弁(盒飯)はいまいちだが、自分でコンビニのおにぎりやサンドイッチなど持ち込めばいい。

 この高速鉄道の特徴はパスポートコントロールが中国側・香港側とも西九龍駅内にある「一地両検」式であることだ。待ち時間ほぼなし。10分もあれば、出境入境が完了する。香港のど真ん中の九龍で中国公安による出入境検査が行われるということ、これはまさに香港と中国が一体化しつつあることの象徴ともいえる仕組みだろう。

 最もこの便利さは中国人の立場から見たもので、生粋の香港人たちはこの高速鉄道に抵抗感を持つ人は少なくない。私の香港での友人には民主派、独立派に近い人たちが多いのだが、彼らに言わせれば、「一地両検」方式は、中国公安が香港域内で執法することを認めることであり、香港の核心的価値観である「法治」を蔑ろにしている、香港基本法に反する、という。香港域内で、中国公安の執法行為を公式に認めることになれば、やがてなし崩し的に香港域内で中国公安が逮捕権を行使したりできるようになるのではないか。

 そもそも、大富豪・蕭建華失踪事件のように、中国公安が香港で隠密裏に「執法」したと疑われる例は起きている。香港のど真ん中に中国公安が常駐し、高速鉄道さえ使えば30分で誰にも邪魔されずに広州に身柄を移送できるのだから、今後は香港から、中国当局に目をつけられた人が“失踪”しやすくなるのではないか、とおびえるわけだ。

コメント19件コメント/レビュー

第二の天安門が現実味を増していると感じます。
香港の観光ビジネスに陰りが出てくることも予想されますね。併合がそのまま街並みと空気を変えていくことは避けられず、もう夜な夜な街歩きできなくなるのかと思うと、寂しいです。


話は逸れますが、もともとは統治領の返還が、現代香港の自治を象徴していたわけです。
英、そして仏は中東やインド・東南アジア・南米と各所で領地返還を返還してきているけれど、占領の方法論と返還のプロセスが、その解放国の命運そのものであると感じますね。

香港を、中国属でなく、国連本拠地のような完全独立国としてあげなかった元領主の責任は重い。
香港の人々、そして香港をビジネスや観光で訪れる人、周辺諸国の政治体制。 そのほとんどが中国返還を喜んでいなかったのではないでしょうか。(2018/11/09 11:32)

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「中国に飲み込まれる香港、強まる解放軍の存在感」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

第二の天安門が現実味を増していると感じます。
香港の観光ビジネスに陰りが出てくることも予想されますね。併合がそのまま街並みと空気を変えていくことは避けられず、もう夜な夜な街歩きできなくなるのかと思うと、寂しいです。


話は逸れますが、もともとは統治領の返還が、現代香港の自治を象徴していたわけです。
英、そして仏は中東やインド・東南アジア・南米と各所で領地返還を返還してきているけれど、占領の方法論と返還のプロセスが、その解放国の命運そのものであると感じますね。

香港を、中国属でなく、国連本拠地のような完全独立国としてあげなかった元領主の責任は重い。
香港の人々、そして香港をビジネスや観光で訪れる人、周辺諸国の政治体制。 そのほとんどが中国返還を喜んでいなかったのではないでしょうか。(2018/11/09 11:32)

香港もさりながら、国府が一番注目しているのはウイグル情勢かも知れない。一種の「ソフトな民族浄化」が進むウイグルと、赤化吸収の進む香港が、「もしもの時」の台湾の運命を予想させる。

トランプ共和党政権が大きく国府保護に動いたことは、あるいはロビー活動の成果かも知れない。そして米中経済戦争の激化こそが、中華民国政府の国益だろう。

モンゴルと並んで、中国大陸に厚い情報ネットワークを築いている総統府は、日本にとっても情報の玉手箱だろう。名目的な国交断絶状態とは別に、国防方面では今も日華連携は続いていよう。
そもそも戦後民国軍の参謀本部を創り上げたのは、帝国陸軍の「白団」であり、自衛隊創設に貢献した服部機関とも密な関係があった。
今も水面下で、関係は濃密であると信じたい。(2018/11/08 09:44)

イギリスの記者と違い、著者がビザを無事発行してもらい、中国各地を訪れることが可能なのはどういうことか。ジャーナリストとしての役割はほどほど、の自己規制か。毒にならぬものは放っておいてもらえる、ということか。著者が感じたことは、香港を訪れた経験がある人ならだれでも感じてることでは?もう少し、掘り下げた記事を求めるのは無理難題でしょうか。(2018/11/08 00:41)

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